タプコム配合点眼液 他氟前列素噻吗洛尔滴眼液 TAPCOM combination ophthalmic solution
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作成又は改訂年月
* 2014年11月改訂 (第2版)
2013年9月作成
日本標準商品分類番号
871319
日本標準商品分類番号等
-
国際誕生年月
-
2013年9月
薬効分類名
緑内障・高眼圧症治療剤
承認等
-
販売名
-
タプコム配合点眼液
販売名コード
1319822Q1021
承認・許可番号
-
承認番号
-
22500AMX01796000
-
商標名
-
TAPCOM combination ophthalmic solution
薬価基準収載年月
2014年11月
販売開始年月
2014年11月
貯法・使用期限等
貯法
-
気密容器、遮光、室温保存
-
使用期限
-
外箱及びラベルに記載(3年)
規制区分
劇薬
-
*処方箋医薬品
-
(注意-医師等の処方箋により使用すること)
組成
有効成分・含量(1mL中)
-
タフルプロスト 15μg
チモロールマレイン酸塩 6.83mg(チモロールとして5mg)
-
添加物
-
ポリソルベート80、濃グリセリン、エデト酸ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム、ベンザルコニウム塩化物、pH調節剤
性状
pH
-
6.7~7.2
-
浸透圧比
-
1.0~1.1
-
性状
-
無色澄明、無菌水性点眼剤
一般的名称
タフルプロスト・チモロールマレイン酸塩点眼液
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.気管支喘息、又はその既往歴のある患者、気管支痙攣、重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者[β-受容体遮断による気管支平滑筋収縮作用により、喘息発作の誘発・増悪がみられるおそれがある。]
-
2.コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(II、III度)、心原性ショックのある患者[β-受容体遮断による陰性変時・変力作用により、これらの症状を増悪させるおそれがある。]
-
3.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
|
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
緑内障、高眼圧症
効能又は効果に関連する使用上の注意
原則として、単剤での治療を優先すること。
用法及び用量
1回1滴、1日1回点眼する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
頻回投与により眼圧下降作用が減弱する可能性があるので、1日1回を超えて投与しないこと。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
-
肺高血圧による右心不全のある患者[β-受容体遮断による陰性変時・変力作用により、症状を増悪させるおそれがある。]
-
2.
-
うっ血性心不全のある患者[β-受容体遮断による陰性変時・変力作用により、症状を増悪させるおそれがある。]
-
3.
-
糖尿病性ケトアシドーシス及び代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]
-
4.
-
コントロール不十分な糖尿病のある患者[低血糖症状をマスクすることがあるので血糖値に注意すること。]
-
5.
-
無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者[類薬で嚢胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下を起こすとの報告がある。]
-
6.
-
眼内炎(虹彩炎、ぶどう膜炎)のある患者[類薬で眼圧上昇がみられたとの報告がある。]
-
7.
-
妊婦、産婦、授乳婦等[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1.
-
本剤は1mL中にタフルプロスト15μg及びチモロールマレイン酸塩6.83mg(チモロールとして5mg)を含む配合点眼液であり、タフルプロストとチモロールマレイン酸塩双方の副作用が発現するおそれがあるため、適切に本剤の使用を検討すること。
-
2.
-
全身的に吸収される可能性があり、β遮断剤全身投与時と同様の副作用があらわれることがあるので、留意すること。
-
3.
-
本剤の投与により、虹彩や眼瞼への色素沈着(メラニンの増加)による色調変化、あるいは眼周囲の多毛化があらわれることがある。これらは投与の継続によって徐々に進行し、投与中止により停止する。眼瞼色調変化及び眼周囲の多毛化については、投与中止後徐々に消失、あるいは軽減する可能性があるが、虹彩色調変化については投与中止後も消失しないことが報告されている。混合色虹彩の患者では虹彩の色調変化は明確に認められるが、暗褐色の単色虹彩の患者(日本人に多い)においても変化が認められている。特に片眼投与の場合、左右眼で虹彩の色調に差が生じる可能性がある。これらの症状については、長期的な情報が十分に得られていないので、患者を定期的に診察し、十分観察すること。投与に際しては、これらの症状について患者に十分説明し、また、眼瞼色調変化、眼周囲の多毛化の予防あるいは軽減のため、投与の際に液が眼瞼皮膚等についた場合には、よくふき取るか、洗顔するよう患者を指導すること。
-
4.
-
本剤投与中に角膜上皮障害(点状表層角膜炎、糸状角膜炎、角膜びらん)があらわれることがあるので、しみる、そう痒感、眼痛等の自覚症状が持続する場合には、直ちに受診するよう患者に指導すること。
-
5.
-
本剤を閉塞隅角緑内障患者に投与する場合は、使用経験がないことから慎重に投与することが望ましい。
-
6.
-
縮瞳剤からチモロールマレイン酸塩製剤に切り替えた場合、縮瞳作用の消失に伴い、屈折調整を必要とすることがあることから、本剤投与の際も注意すること。
-
7.
-
本剤の点眼後、一時的に霧視があらわれることがあるため、その症状が回復するまで機械類の操作や自動車等の運転には従事させないよう注意すること。
相互作用
本剤はチモロールマレイン酸塩を配合するため以下の薬剤との併用に注意すること
併用注意
(併用に注意すること)
-
1. 薬剤名等
アドレナリン
ジピベフリン塩酸塩
-
臨床症状・措置方法
-
散瞳作用が助長されたとの報告がある。
-
機序・危険因子
-
機序不明
-
2. 薬剤名等
カテコールアミン枯渇剤:レセルピン等
-
臨床症状・措置方法
-
交感神経系に対し、過剰の抑制を来すことがあり、低血圧、徐脈を生じ、眩暈、失神、起立性低血圧を起こすことがある。
-
機序・危険因子
-
カテコールアミンの枯渇を起こす薬剤は、β遮断作用を相加的に増強する可能性がある。
-
3. 薬剤名等
β遮断剤(全身投与):アテノロール、プロプラノロール塩酸塩、メトプロロール酒石酸塩
-
臨床症状・措置方法
-
眼圧下降あるいはβ遮断剤の全身的な作用が増強されることがある。
-
機序・危険因子
-
作用が相加的にあらわれることがある。
-
4. 薬剤名等
カルシウム拮抗剤:ベラパミル塩酸塩、ジルチアゼム塩酸塩等
-
臨床症状・措置方法
-
房室伝導障害、左室不全、低血圧を起こすおそれがある。
-
機序・危険因子
-
相互に作用が増強される。
-
5. 薬剤名等
ジギタリス製剤:ジゴキシン、ジギトキシン
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臨床症状・措置方法
-
心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれるおそれがあるので、心機能に注意する。
-
機序・危険因子
-
相加的に作用(心刺激伝導抑制作用)を増強させる。
-
6. 薬剤名等
CYP2D6阻害作用を有する薬剤:キニジン硫酸塩水和物、選択的セロトニン再取り込み阻害薬
-
臨床症状・措置方法
-
β遮断作用(例えば心拍数減少、徐脈)の増強の報告がある。
-
機序・危険因子
-
これらの薬剤はチモロールの代謝酵素であるP450(CYP2D6)を阻害し、チモロールの血中濃度が上昇する可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内臨床試験の総症例379例中、副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められたのは94例(24.8%)であった。主な副作用は、睫毛の異常35件(9.2%)、結膜充血32件(8.4%)、点状角膜炎などの角膜上皮障害21件(5.5%)、眼瞼色素沈着9件(2.4%)、眼刺激8件(2.1%)等であった。(承認時)
重大な副作用
1. 虹彩色素沈着
(頻度不明)注)
虹彩色素沈着があらわれることがあるため、患者を定期的に診察し、虹彩色素沈着があらわれた場合には臨床状態に応じて投与を中止すること。
2. 眼類天疱瘡
(頻度不明)注)
眼類天疱瘡があらわれることがあるため、結膜充血、角膜上皮障害、乾性角結膜炎、結膜萎縮、睫毛内反、眼瞼眼球癒着等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 気管支痙攣、呼吸困難、呼吸不全
(いずれも頻度不明)注)
気管支痙攣、呼吸困難、呼吸不全があらわれることがあるため、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. 心ブロック、うっ血性心不全、脳虚血、心停止、脳血管障害
(いずれも頻度不明)注)
心ブロック、うっ血性心不全、脳虚血、心停止、脳血管障害があらわれることがあるため、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5. 全身性エリテマトーデス
(頻度不明)注)
全身性エリテマトーデスがあらわれることがあるため、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重大な副作用の注意
注:タフルプロストもしくはチモロールマレイン酸塩において報告がある副作用
その他の副作用
1. 眼
-
頻度不明注1
-
角膜知覚低下、複視、結膜浮腫、眼の異常感(違和感、ねばつき感、乾燥感等)、視力低下等の視力障害、眼底黄斑部の浮腫・混濁注2、眼瞼下垂、眼脂、羞明、眼重感、流涙、霧視
-
2. 眼
-
5%以上
-
睫毛の異常(睫毛が長く、太く、多くなる等)、結膜充血、点状角膜炎等の角膜上皮障害
-
3. 眼
-
1~5%未満
-
眼瞼色素沈着、眼刺激、そう痒感、眼瞼炎(眼瞼発赤・浮腫等)、乾性角結膜炎
-
4. 眼
-
0.1~1%未満
-
眼瞼部多毛、結膜下出血、結膜炎、異物感、眼痛、上眼瞼溝深化、虹彩炎
-
5. 循環器
-
頻度不明注1
-
失神、浮腫、レイノー現象、四肢冷感、動悸、徐脈等の不整脈、低血圧
-
6. 精神神経系
-
頻度不明注1
-
抑うつ、重症筋無力症の増悪、悪夢、感覚異常、めまい、不眠
-
7. 精神神経系
-
0.1~1%未満
-
頭痛
-
8. 消化器
-
頻度不明注1
-
下痢、消化不良、悪心、口渇、腹痛
-
9. 過敏症
-
頻度不明注1
-
眼瞼皮膚炎、紅斑
-
10. 過敏症
-
0.1~1%未満
-
発疹
-
11. その他
-
頻度不明注1
-
脱力感、耳鳴、不快、胸部圧迫感、倦怠感、咳、筋肉痛、尿蛋白陽性、血清カリウム上昇、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇、好酸球増加、尿酸上昇
-
12. その他
-
0.1~1%未満
-
尿糖陽性、白血球数減少
その他の副作用の注意
副作用が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
注1:タフルプロストもしくはチモロールマレイン酸塩において報告がある副作用
注2:無水晶体眼または眼底に病変のある患者等に長期連用した場合(定期的に視力測定、眼底検査を行うなど、観察を十分に行うこと)
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。なお、タフルプロストの動物実験において、妊娠ラットに静脈内投与した場合、30μg/kg/日(臨床用量※の2000倍)では催奇形性及び着床後胚死亡率の増加がみられ、10μg/kg/日(臨床用量※の約670倍)では胎児の発育に対する影響(胎児体重の低値及び胸骨未骨化)が認められた。妊娠ウサギにタフルプロストを静脈内投与した場合、0.1μg/kg/日(臨床用量※の約6.7倍)では流産、着床後胚死亡率の増加、黄体数・着床数の減少等が観察され、0.03μg/kg/日(臨床用量※の2倍)では催奇形性が認められた。妊娠・授乳ラットにタフルプロストを静脈内投与した場合、1μg/kg/日(臨床用量※の約67倍)では母動物の哺育不良及び出生児の4日生存率の低値が認められた。また、摘出ラット子宮を用いた実験では、タフルプロストの臨床用量※点眼投与時の推定血漿中濃度(30pg/mL未満)の約3.3倍、タンパク結合率にて換算した推定血漿中非結合型薬物濃度(0.24pg/mL未満)の約420倍で、子宮収縮への作用が認められている。]
-
-
※タフルプロスト点眼液0.0015%を60kgの患者の両眼に1回1滴(30μL)を点眼投与したときの投与量(0.015μg/kg/日)
-
2.
-
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット:点眼投与)でタフルプロストは乳汁中へ移行することが報告されている。チモロールマレイン酸塩はヒト母乳中へ移行することがある。]
(参考)
チモロールマレイン酸塩の動物実験において、器官形成期のラットに500mg/kg/dayを経口投与した試験で骨化遅延が、マウスに1000mg/kg/day、ウサギに200mg/kg/dayを経口投与した試験で死亡胎児数の増加が認められている。
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
1. 投与経路
-
点眼用にのみ使用すること。
-
2. 投与時
患者に対し次の点に注意するよう指導すること。
-
(1)
-
薬液汚染防止のため、点眼のとき、容器の先端が直接目に触れないように注意すること。
-
(2)
-
点眼に際しては原則として患者は仰臥位をとり、患眼を開瞼させ結膜嚢内に点眼し、1~5分間閉瞼して涙嚢部を圧迫させた後開瞼する。
-
(3)
-
点眼したときに液が眼瞼皮膚等についた場合には、すぐにふき取るか、洗顔すること。
-
(4)
-
他の点眼剤と併用する場合には、少なくとも5分間以上の間隔をあけて点眼すること。
-
(5)
-
ベンザルコニウム塩化物によりコンタクトレンズを変色させることがあるので、コンタクトレンズを装用している場合は、点眼前にレンズを外し、点眼15分以上経過後に再装用すること。
薬物動態
点眼1日目タフルプロストカルボン酸体 Cmax(ng/mL):0.02480±0.00537
チモロール Cmax(ng/mL):1.409±0.344
チモロール AUCinf(ng・hr/mL):6.766±1.888
点眼7日目
タフルプロストカルボン酸体 Cmax(ng/mL):0.02223±0.01267
チモロール Cmax(ng/mL):1.293±0.551
チモロール AUCinf(ng・hr/mL):6.449±2.774
-
(平均値±標準偏差)
-
1. 血漿中濃度
健康成人32例に、本剤(1日1回)、0.0015%タフルプロスト点眼液(1日1回)、0.5%チモロール点眼液(1日2回)及び0.0015%タフルプロスト点眼液(1日1回)と0.5%チモロール点眼液(1日2回)の併用をそれぞれ1回1滴で両眼に7日間反復点眼し、タフルプロストの活性代謝物であるタフルプロストカルボン酸体及びチモロールの血漿中濃度を測定した。
本剤を反復点眼したときの血漿中タフルプロストカルボン酸体のCmaxは、点眼1日目及び7日目ともタフルプロスト単剤点眼及びタフルプロスト/チモロール併用点眼と同程度であった。また、本剤の点眼1日目及び7日目の血漿中チモロールについては、Cmax及びAUCinfともにチモロール単剤点眼及びタフルプロスト/チモロール併用点眼と同程度であった。
-
2. 動物における眼組織移行1)
(参考:ラット)
-
本剤をラットに単回点眼したときのタフルプロストカルボン酸体及びチモロールの房水中濃度は、0.5%チモロール点眼液と0.0015%タフルプロスト点眼液を5分間隔で併用(それぞれ単回点眼)したときと同様に推移した。
臨床成績
ベースライン(治療期開始時)の平均日中眼圧値本剤群(n=161):19.6±2.0
タフルプロスト群(n=163):19.2±2.1
併用群(n=163):19.3±2.2
-
治療期終了時(4週後又は中止時)の平均日中眼圧値
-
本剤群(n=161):17.0±2.4
タフルプロスト群(n=163):18.3±2.8
併用群(n=163):17.1±2.5
-
眼圧変化量
-
本剤群(n=161):-2.6±1.8
タフルプロスト群(n=163):-0.9±1.7
併用群(n=163):-2.2±1.8
-
本剤群との差[95%信頼区間]
-
タフルプロスト群(n=163):-1.7[-2.1~-1.3]
併用群(n=163):-0.3[-0.7~0.1]
-
-
(平均値±標準偏差)
-
ベースライン(治療期開始時)の平均日中眼圧値
-
本剤群(n=82):20.8±2.1
チモロール群(n=84):20.7±2.1
-
治療期終了時(4週後又は中止時)の平均日中眼圧値
-
本剤群(n=82):17.5±2.7
チモロール群(n=84):19.0±3.3
-
眼圧変化量
-
本剤群(n=82):-3.2±2.1
チモロール群(n=84):-1.7±2.1
-
本剤群との差[95%信頼区間]
-
チモロール群(n=84):-1.5[-2.2~-0.9]
-
-
(平均値±標準偏差)
-
1.
-
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者487例を対象とした無作為化盲検比較試験(対照薬:0.0015%タフルプロ
ト点眼液1日1回[以下、タフルプロスト群]あるいは0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回/0.5%チモロール点眼液1日2回の併用[以下、併用群])において、導入期に0.0015%タフルプロスト点眼液を4週間1日1回点眼後、治療期(二重盲検期)に本剤(1日1回)あるいは各対照薬を4週間点眼したとき、本剤のタフルプロスト群に対する優越性(p<0.001)が示された(ベースラインを共変量とした共分散分析)。また併用群に劣らない眼圧下降作用が示された(表1、図1)。2)
-
-

図1 眼圧の推移(平均値±標準偏差)
-
2.
-
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者166例を対象とした無作為化盲検比較試験(対照薬:0.5%チモロール点眼液1日2回[以下、チモロール群])において、導入期に0.5%チモロール点眼液を4週間1日2回点眼後、治療期(二重盲検期)に本剤(1日1回)あるいは対照薬を4週間点眼したとき、本剤のチモロール群に対する優越性(p<0.001)が示された(ベースラインを共変量とした共分散分析)(表2、図2)。3)
-
-

図2 眼圧の推移(平均値±標準偏差)
-
3.
-
正常眼圧緑内障を含む開放隅角緑内障又は高眼圧症患者136例を対象とした長期点眼試験において、導入期に0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回、0.5%チモロール点眼液1日2回、あるいは0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回/0.5%チモロール点眼液1日2回の併用の3群をそれぞれ4週間点眼後、治療期に本剤を52週間1日1回点眼した。0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回及び0.5%チモロール点眼液1日2回からの本剤への切り替えでは、治療期のすべての測定時点において、治療期開始時(0週)と比較して有意な眼圧下降を示した(P<0.001)。0.0015%タフルプロスト点眼液1日1回/0.5%チモロール点眼液1日2回の併用から本剤への切り替えでは、治療期開始時(0週)と比較して眼圧値に有意な変動はなく、52週まで安定した眼圧推移を示した(図3)。4)
-
-

図3 治療期開始時(0週)からの眼圧変化量(平均値±標準偏差)
薬効薬理
1. 眼圧下降作用
-
本剤をサルに単回点眼したとき、有意な眼圧下降作用が認められ、この作用は配合成分の各単剤(0.0015%タフルプロスト点眼液及び0.5%チモロール点眼液)の眼圧下降作用よりも有意に強い作用であった。5)
-
2. 作用機序
-
本剤の配合成分であるタフルプロストの活性代謝物(タフルプロストカルボン酸体)は、プロスタノイドFP受容体作動薬である。一方の配合成分であるチモロールマレイン酸塩は、非選択的β-受容体遮断剤である。両剤は異なる作用機序により眼圧下降作用を示す。
-
(1) タフルプロスト
-
タフルプロストの活性代謝物であるタフルプロストカルボン酸体は、プロスタノイドFP受容体に対して高い親和性(Ki=0.40nM)を示した。サルを用いて、0.005%タフルプロスト点眼液を1日1回3~5日間反復点眼したときの房水動態をフルオロフォトメトリー法、Two-level constant pressure perfusion法及び125I-131I標識アルブミン灌流法により検討したところ、房水産生量に変化は認められず、ぶどう膜強膜流出量を有意に増大させた。6)
-
(2) チモロールマレイン酸塩
-
眼圧下降の正確な作用機序の詳細は明らかではないが、サル7)、健康成人8)でのフルオロフォトメトリー試験及び緑内障患者でのトノグラフィー試験9),10)において、チモロールマレイン酸塩の眼圧下降作用は主に房水産生の抑制によることが示唆されている。
-
(1)
-
ウサギに0.0015%タフルプロスト点眼液を1日1回28日間反復点眼し、レーザースペックル法で測定したところ、視神経乳頭部組織血流量の有意な増加が認められた。11)
-
(2)
-
健康成人に0.0015%タフルプロスト点眼液を単回点眼したとき、傍視神経乳頭網膜動脈の血流速度及び傍視神経乳頭網膜の組織血流量の有意な増加が認められた。12)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
タフルプロスト(Tafluprost)
-
化学名
-
1-Methylethyl(5Z)-7-{(1R,2R,3R,5S)-2-[(1E)-3,3-difluoro-4-phenoxy-1-butenyl]-3,5-dihydroxycyclopentyl}-5-heptenoate
-
構造式
-

-
分子式
-
C25H34F2O5
-
分子量
-
452.53
-
性状
-
無色~淡黄色の粘性液体である。
エタノール、ジエチルエーテル又はアセトニトリルに極めて溶けやすく、水にほとんど溶けない。
-
一般名
-
チモロールマレイン酸塩(Timolol Maleate)
-
化学名
-
(2S)-1-[(1,1-Dimethylethyl)amino]-3-(4-morpholin-4-yl-1,2,5-thiadiazol-3-yloxy)propan-2-ol monomaleate
-
構造式

-
分子式
-
C13H24N4O3S・C4H4O4
-
分子量
-
432.49
-
融点
-
約197℃(分解)
-
性状
-
白色~微黄白色の結晶性の粉末である。
酢酸(100)に溶けやすく、水又はエタノール(99.5)にやや溶けやすい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
包装
プラスチック点眼容器:2.5mL×5本、2.5mL×10本
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
-
上田健治 他:あたらしい眼科 30, 1761(2013)〔63727〕
-
2)
-
桑山泰明 他:あたらしい眼科 30, 1185(2013)〔63728〕
-
3)
-
桑山泰明 他:あたらしい眼科 30, 1773(2013)〔63729〕
-
4)
-
DE-111点眼液の開放隅角緑内障又は高眼圧症を対象としたオープンラベルによる長期投与試験-第III相-, 参天製薬(株)社内資料〔63730〕
-
5)
-
Effects of the topical administration of DE-111 ophthalmic solutions on intraocular pressure in ocular normotensive monkeys, 参天製薬(株)社内資料〔63731〕
-
6)
-
Takagi Y. et al.:Exp. Eye Res. 78, 767(2004)〔60134〕
-
7)
-
Miichi, H. et al.:Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 24, 1269(1983)〔54285〕
-
8)
-
新家 真 他:日本眼科学会雑誌 84, 1436(1980)〔54286〕
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9)
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藤永 豊 他:眼科臨床医報 74, 409(1980)〔54279〕
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10)
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玉田康房 他:日本眼科紀要 31, 1667(1980)〔54287〕
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11)
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Akaishi T. et al.:J. Ocul. Pharmacol. Ther. 26,181(2010)〔60770〕
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12)
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0.0015% DE-085(タフルプロスト)点眼液の健康成人男性を対象とした臨床薬理試験-眼血流動態を指標とした検討-, 参天製薬(株)社内資料〔60771〕
文献請求先
文献請求先・製品に関するお問い合わせ先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
参天製薬株式会社 医薬事業部 医薬情報室
〒533-8651(個別郵便番号) 大阪市東淀川区下新庄3-9-19
TEL 0120-921-839 06-6321-7056
受付時間 9:00~17:00(土・日・祝日を除く)
長期投与医薬品に関する情報
本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、2015年11月末日までは、1回14日分を限度として投薬すること。
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
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製造販売元
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参天製薬株式会社
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大阪市北区大深町4-20