Rinderon(Betamethasone Sodium Phosphate)リンデロン注20mg(2%)/リンデロン注100mg(2%)
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作成又は改訂年月
**2011年5月改訂(第11版,事務連絡に基づく使用上の注意の項の改訂)
*2011年3月改訂
日本標準商品分類番号
872454
日本標準商品分類番号等
再審査結果公表年月(最新)
1991年12月
薬効分類名
合成副腎皮質ホルモン剤
承認等
販売名
リンデロン注20mg(2%)
販売名コード
YJコード
2454404A4039
承認・許可番号
承認番号
21700AMZ00535
欧文商標名
Rinderon
薬価基準収載年月
2005年6月
販売開始年月
1985年7月
貯法・使用期限等
貯 法
遮光・凍結を避け冷所保存
使用期限
外箱等に表示(使用期間2年)
規制区分
処方箋医薬品注1)
注1) 注意-医師等の処方箋により使用すること
*組成
成分・含量
1管(1mL)中
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム26.3mg
(ベタメタゾンとして20mgに相当)
添加物
塩化ナトリウム,クエン酸ナトリウム水和物,クエン酸水和物,水酸化ナトリウム,注射用水
性状
性状・剤形
無色澄明の液で,においはない。(注射剤)
pH
7.3~8.3
浸透圧比〔生理食塩液に対する比〕
約1
販売名
リンデロン注100mg(2%)
販売名コード
YJコード
2454404A5035
承認・許可番号
承認番号
21700AMZ00536
欧文商標名
Rinderon
薬価基準収載年月
2005年6月
販売開始年月
1985年7月
貯法・使用期限等
貯 法
遮光・凍結を避け冷所保存
使用期限
外箱等に表示(使用期間2年)
規制区分
処方箋医薬品注1)
注1) 注意-医師等の処方箋により使用すること
*組成
成分・含量
1管(5mL)中
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム131.6mg
(ベタメタゾンとして100mgに相当)
添加物
塩化ナトリウム,クエン酸ナトリウム水和物,クエン酸水和物,水酸化ナトリウム,注射用水
性状
性状・剤形
無色澄明の液で,においはない。(注射剤)
pH
7.3~8.3
浸透圧比〔生理食塩液に対する比〕
約1
一般的名称
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
原則禁忌
(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
1. 有効な抗菌剤の存在しない感染症,全身の真菌症の患者[免疫機能抑制作用により,症状が増悪することがある。]
2. 腎機能低下及び慢性腎不全のある重症感染症の患者[免疫機能を抑制するため,これらの症状が悪化することがある。]
3. 急性心筋梗塞を起こした患者[心破裂を起こしたとの報告がある。]
効能・効果
出血性ショックにおける救急,又は術中・術後のショック
用法・用量
通常,ベタメタゾンとして1回体重1kgあたり0.5~4mgを静脈内注射する。
なお,症状が改善しない場合には,適宜追加投与する。
**使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1. 消化性潰瘍の患者[肉芽組織増殖抑制作用により,潰瘍治癒(組織修復)が障害されるおそれがある。]
2. 糖尿病の患者[糖新生作用等により血糖が上昇し,糖尿病が増悪するおそれがある。]
3. 感染症の患者[免疫機能抑制作用により,感染症が増悪するおそれがある。]
4. 結核性疾患の患者[免疫機能抑制作用により,症状が増悪するおそれがある。]
5. 単純疱疹性角膜炎の患者[免疫機能抑制作用により,症状が増悪するおそれがある。]
6. 骨粗鬆症の患者[蛋白異化作用等により,骨粗鬆症が増悪するおそれがある。]
7. 精神病の患者[大脳辺縁系の神経伝達物質に影響を与え,症状が増悪するおそれがある。]
8. 後嚢白内障の患者[症状が増悪することがある。]
9. 緑内障の患者[眼圧の亢進により,緑内障が増悪するおそれがある。]
10. 高血圧症の患者[電解質代謝作用により,高血圧症が増悪するおそれがある。]
11. 電解質異常のある患者[電解質代謝作用により,電解質異常が増悪するおそれがある。]
12. 甲状腺機能低下のある患者[血中半減期が延長するとの報告があり,副作用があらわれるおそれがある。]
13. 肝硬変の患者[代謝酵素活性の低下等により,副作用があらわれやすい。]
14. 脂肪肝の患者[脂肪分解・再分布作用により,肝臓への脂肪沈着が増大し,脂肪肝が増悪するおそれがある。]
15. 重症筋無力症の患者[使用当初,一時症状が増悪することがある。]
16. 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1. 本剤の投与により,誘発感染症,続発性副腎皮質機能不全,消化管潰瘍,糖尿病,精神障害等の重篤な副作用があらわれることがあるので,本剤の投与にあたっては次の注意が必要である。
(1) 特に,本剤投与中に水痘又は麻疹に感染すると,致命的な経過をたどることがあるので,次の注意が必要である。
1) 本剤投与前に水痘又は麻疹の既往や予防接種の有無を確認すること。
2) 水痘又は麻疹の既往のない患者においては,水痘又は麻疹への感染を極力防ぐよう常に十分な配慮と観察を行うこと。感染が疑われる場合や感染した場合には,直ちに受診するよう指導し,適切な処置を講ずること。
3) 水痘又は麻疹の既往や予防接種を受けたことがある患者であっても,本剤投与中は,水痘又は麻疹を発症する可能性があるので留意すること。
(2) ショック状態の患者には,ショック症状が改善すれば,直ちに投与を中止すること。
(3) 連用後,投与を急に中止すると,ときに発熱,頭痛,食欲不振,脱力感,筋肉痛,関節痛,ショック等の離脱症状があらわれることがあるので,投与を中止する場合には,徐々に減量するなど慎重に行うこと。離脱症状があらわれた場合には,直ちに再投与又は増量すること。
2. 副腎皮質ホルモン剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において,B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎があらわれることがある。本剤の投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど,B型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること。異常が認められた場合には,本剤の減量を考慮し,抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。なお,投与開始前にHBs抗原陰性の患者において,B型肝炎ウイルスによる肝炎を発症した症例が報告されている。
3. 本剤の長期あるいは大量投与中の患者,又は投与中止後6ヵ月以内の患者では,免疫機能が低下していることがあり,生ワクチンの接種により,ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので,これらの患者には生ワクチンを接種しないこと。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
バルビツール酸誘導体
フェノバルビタール
フェニトイン
リファンピシン
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱することが報告されているので,併用する場合には用量に注意すること。
機序・危険因子
バルビツール酸誘導体,フェニトイン,リファンピシンはCYPを誘導し,本剤の代謝が促進される。
2. 薬剤名等
サリチル酸誘導体
アスピリン,アスピリンダイアルミネート,サザピリン等
臨床症状・措置方法
併用時に本剤を減量すると,サリチル酸中毒を起こすことが報告されているので,併用する場合には用量に注意すること。
機序・危険因子
本剤はサリチル酸誘導体の腎排泄と肝代謝を促進し,血清中のサリチル酸誘導体の濃度が低下する。
3. 薬剤名等
抗凝血剤
ワルファリンカリウム
臨床症状・措置方法
抗凝血剤の作用を減弱させることが報告されているので,併用する場合には用量に注意すること。
機序・危険因子
本剤は血液凝固促進作用がある。
4. 薬剤名等
経口糖尿病用剤
ブホルミン塩酸塩,クロルプロパミド,アセトヘキサミド等
インスリン製剤
臨床症状・措置方法
経口糖尿病用剤,インスリン製剤の効果を減弱させることが報告されているので,併用する場合には用量に注意すること。
機序・危険因子
本剤は肝臓での糖新生を促進し,末梢組織での糖利用を抑制する。
5. 薬剤名等
利尿剤(カリウム保持性利尿剤を除く)
フロセミド,アセタゾラミド,トリクロルメチアジド等
臨床症状・措置方法
低カリウム血症があらわれることがあるので,併用する場合には用量に注意すること。
機序・危険因子
本剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用がある。
6. 薬剤名等
シクロスポリン
臨床症状・措置方法
他の副腎皮質ホルモン剤の大量投与で,シクロスポリンの血中濃度が上昇するとの報告があるので,併用する場合には用量に注意すること。
機序・危険因子
副腎皮質ホルモン剤はシクロスポリンの代謝を抑制する。
7. 薬剤名等
エリスロマイシン
臨床症状・措置方法
本剤の作用が増強されるとの報告があるので,併用する場合には用量に注意すること。
機序・危険因子
本剤の代謝が抑制される。
8. 薬剤名等
非脱分極性筋弛緩剤
パンクロニウム臭化物,ベクロニウム臭化物
臨床症状・措置方法
筋弛緩作用が減弱又は増強するとの報告があるので,併用する場合には用量に注意すること。
機序・危険因子
機序は不明
9. 薬剤名等
リトドリン塩酸塩
臨床症状・措置方法
併用により肺水腫があらわれることがある。
機序・危険因子
体内の水分貯留傾向が促進される。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時における安全性評価対象例245例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は1例(0.4%)に認められた。1例は消化管出血であった1)。
再審査終了時における安全性評価対象例3164例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は35例(1.11%)に認められた。主なものは,肝機能障害4件等であった2)。
重大な副作用
次の症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
1. ショック,アナフィラキシー(0.1%未満):ショック,アナフィラキシーがあらわれることがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,全身潮紅,血管浮腫,蕁麻疹等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
2. 誘発感染症,感染症の増悪(頻度不明):誘発感染症,感染症の増悪があらわれることがある。また,B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎があらわれることがある。観察を十分に行い,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
3. 続発性副腎皮質機能不全,糖尿病(頻度不明)
4. 消化管潰瘍,消化管穿孔(頻度不明):消化管潰瘍,消化管穿孔があらわれるとの報告があるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
5. 膵炎(頻度不明)
6. 精神変調,うつ状態(頻度不明)
7. 骨粗鬆症,大腿骨及び上腕骨等の骨頭無菌性壊死,ミオパチー(頻度不明)
8. 緑内障,後嚢白内障(頻度不明):連用により眼圧亢進,緑内障,後嚢白内障を来すことがあるので,定期的に検査をすることが望ましい。
その他の副作用
次の症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
肝臓注1
0.1~5%未満
AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇,Al-P上昇等
内分泌系
頻度不明
月経異常,クッシング症候群様症状等
消化器
頻度不明
嘔気等
精神神経系
頻度不明
多幸症,不眠,頭痛等
筋・骨格
頻度不明
筋肉痛,関節痛等
脂質・蛋白質代謝
頻度不明
満月様顔貌,窒素負平衡等
体液・電解質
頻度不明
浮腫,血圧上昇,低カリウム性アルカローシス等
眼
頻度不明
中心性漿液性網脈絡膜症等による網膜障害,眼球突出等
血液
頻度不明
白血球増多等
皮膚
頻度不明
ざ瘡,そう痒,脂肪織炎等
その他
頻度不明
発熱,疲労感,創傷治癒障害,しゃっくり
注1:異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
高齢者に長期投与した場合,感染症の誘発,糖尿病,骨粗鬆症,高血圧症,後嚢白内障,緑内障等の副作用があらわれやすいので,慎重に投与すること。
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[新生児に副腎不全を起こすことがある。また,血圧上昇,心筋壁の肥厚を起こすとの報告がある。動物試験で催奇形作用(口蓋裂)が報告されている3)。]
小児等への投与
1. 低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児の発育抑制があらわれることがあるので,観察を十分に行うこと。
2. 長期投与した場合,頭蓋内圧亢進症状があらわれることがある。
適用上の注意
1. アンプルカット時:アンプルカット時に異物の混入を避けるため,アンプルの首部の周りをエタノール綿等で清拭しカットすること。
2. 静脈内注射時:静脈内注射により,血管痛,血栓,静脈炎を起こすことがあるので,これを予防するため,注射部位,注射方法等について十分注意し,その注射速度はできるだけ遅くすること。
薬物動態
1. 吸収
(1) 血漿中濃度
脳外科手術患者にベタメタゾン100mgに相当するベタメタゾンリン酸エステルナトリウム注を静脈内注射したときのベタメタゾンリン酸エステルナトリウムは,投与直後に高い血漿中濃度を示したが,その後急速に減少し,1時間後には690±480ng/mL(mean±S.E.),2時間後には40±40ng/mLであった。一方,遊離型ベタメタゾンの血漿中濃度は極めて徐々に減少し,1時間後には1230±160ng/mL,2時間後には940±110ng/mL,3時間後には790±40ng/mLであった4)。(測定法:HPLC)
(2) 薬物動態パラメータ
健康成人8例にベタメタゾン8mgに相当するベタメタゾンリン酸エステルナトリウム注10.6mgを単回静脈内注射したとき,ベタメタゾンのT1/2は335±51min,AUC0-∞は46.3±8.6μg・min/mLであった5)。(測定法:HPLC)(mean±S.D.)(外国人によるデータ)
2. 代謝
ベタメタゾンの一部はC-6位が代謝され6β-水酸化体になる。その主な代謝酵素はCYP3A4である6),7)。
3. 排泄
脳外科手術患者にベタメタゾン100mgに相当するベタメタゾンリン酸エステルナトリウム注を静脈内注射したとき,6時間までの尿中に遊離ベタメタゾン及びベタメタゾングルクロン酸抱合体はほぼ同量排泄され,両方を併せた累積尿中排泄率は約5%であった4)。(測定法:HPLC)
4. その他
血漿蛋白結合率:64±6.0%5)(測定法:HPLC)(mean±S.D.,10例)(外国人によるデータ)
臨床成績
承認時における有効性評価対象例は出血性ショック56例,術中ショック87例であり,有効率はそれぞれ78.6%(44例),78.2%(68例)であった1)。
薬効薬理
作用機序
ショックに対する本剤の作用機序として,ライソゾーム膜の安定化,循環動態の改善,心血管作動物質の産生阻止,代謝系の改善及びショック肺発生の予防等が報告されている8)~10)。
有効成分に関する理化学的知見
一般的名称:ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(JAN)
[日局]
Betamethasone Sodium Phosphate
化学名:9-Fluoro-11β,17,21-trihydroxy-16β-methylpregna-1,4-diene-3,20-dione 21-(disodium phosphate)
分子式:C22H28FNa2O8P
分子量:516.40
化学構造式:

性状:白色~微黄白色の結晶性の粉末又は塊で,においはない。
水に溶けやすく,メタノールにやや溶けにくく,エタノール(95)に溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
吸湿性である。
融点:約213 ℃(分解)
包装
リンデロン注20mg(2%):1mL 5管
リンデロン注100mg(2%):5mL 5管
主要文献及び文献請求先
主要文献
〔文献請求番号〕
1)
塩野義製薬集計;山村秀夫ほか:救急医学,1983,7(7),855〔198302045〕を含む計5文献
2)
厚生省薬務局:新医薬品等の副作用のまとめ,1992,p.2,薬務公報社,東京
3)
長谷川靖彦ほか:応用薬理,1974,8(6),705〔197400194〕
4)
松木明知ほか:基礎と臨床,1984,18(3),1081〔198402367〕
5)
Petersen,M.C.et al.:Eur.J.Clin.Pharmacol.,1983,25(5),643〔198302347〕
6)
千葉寛:治療,1994,76(9),2214〔199401231〕
7)
宮崎達男:ステロイドホルモン(清水直容編),1988,pp.50-51,中外医学社,東京
8)
小川龍:麻酔,1975,24(13),1358〔197500620〕
9)
石田亨一ほか:臨牀と研究,1980,57(12),4068〔198001127〕
10)
砂盛誠ほか:最新医学,1981,36(2),341〔198101358〕
文献請求先
塩野義製薬株式会社 医薬情報センター
〒541-0045大阪市中央区道修町3丁目1番8号
電話0120-956-734
FAX 06-6202-1541
http://www.shionogi.co.jp/med/
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
塩野義製薬株式会社
〒541-0045大阪市中央区道修町3丁目1番8号
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