ステーブラ錠0.1mg/ステーブラOD錠0.1mg
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作成又は改訂年月
** 2014年6月改訂(第11版)
* 2012年11月改訂
日本標準商品分類番号
87259
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
2007年4月
薬効分類名
過活動膀胱治療剤
承認等
販売名
ステーブラ錠0.1mg
販売名コード
2590013F1035
承認・許可番号
承認番号
21900AMZ00068
商標名
STAYBLA
薬価基準収載年月
2007年6月
販売開始年月
2007年6月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
外箱に表示(3年)
規制区分
処方せん医薬品注)
注)処方せん医薬品:注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量(1錠中)
イミダフェナシン・0.1mg
添加物
結晶セルロース、部分アルファー化デンプン、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、三二酸化鉄、カルナウバロウ
性状
剤形
フィルムコーティング錠
外形
表面
裏面
側面
直径(mm)
7.1
厚さ(mm)
3.5
質量(mg)
約140
色調
淡赤色~淡赤褐色又は淡赤紫色
識別コード(PTP包装)
販売名
ステーブラOD錠0.1mg
販売名コード
2590013F2031
承認・許可番号
承認番号
22200AMX00987
商標名
STAYBLA
薬価基準収載年月
2011年3月
販売開始年月
2011年4月
貯法・使用期限等
貯法
気密容器、室温保存(「取扱い上の注意」の項参照)
使用期限
外箱に表示(3年)
規制区分
処方せん医薬品注)
注)処方せん医薬品:注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量(1錠中)
イミダフェナシン・0.1mg
添加物
部分アルファー化デンプン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ステアリン酸マグネシウム、D-マンニトール、クロスポビドン、含水二酸化ケイ素
性状
剤形
素錠(口腔内崩壊錠)
外形
表面
裏面
側面
直径(mm)
7.6
厚さ(mm)
4.1
質量(mg)
約180
色調
白色
識別コード(PTP包装)
一般的名称
イミダフェナシン錠・イミダフェナシン口腔内崩壊錠
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
尿閉を有する患者〔抗コリン作用により排尿時の膀胱収縮が抑制され、症状が悪化するおそれがある。〕
2.
幽門、十二指腸又は腸管が閉塞している患者及び麻痺性イレウスのある患者〔抗コリン作用により胃腸の平滑筋の収縮及び運動が抑制され、症状が悪化するおそれがある。〕
3.
消化管運動・緊張が低下している患者〔抗コリン作用により胃腸の平滑筋の収縮及び運動が抑制され、症状が悪化するおそれがある。〕
4.
閉塞隅角緑内障の患者〔抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがある。〕
5.
重症筋無力症の患者〔抗コリン作用により、症状が悪化するおそれがある。〕
6.
重篤な心疾患の患者〔期外収縮等の心電図異常が報告されており、症状が悪化するおそれがある。〕
7.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果
過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
効能又は効果に関連する使用上の注意
1.
本剤を適用する際、十分な問診により臨床症状を確認するとともに、類似の症状を呈する疾患(尿路感染症、尿路結石、膀胱癌や前立腺癌等の下部尿路における新生物等)があることに留意し、尿検査等により除外診断を実施すること。なお、必要に応じて専門的な検査も考慮すること。
2.
下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、それに対する治療を優先させること。
用法及び用量
通常、成人にはイミダフェナシンとして1回0.1mgを1日2回、朝食後及び夕食後に経口投与する。効果不十分な場合は、イミダフェナシンとして1回0.2mg、1日0.4mgまで増量できる。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
イミダフェナシンとして1回0.1mgを1日2回投与し、効果不十分かつ安全性に問題がない場合に増量を検討すること。〔本剤を1回0.2mg1日2回で投与開始した場合の有効性及び安全性は確立していない。〕
2.
中等度以上の肝障害のある患者については、1回0.1mgを1日2回投与とする。(「慎重投与」及び「薬物動態」の項1.(4) 参照)
3.
重度の腎障害のある患者については、1回0.1mgを1日2回投与とする。(「慎重投与」及び「薬物動態」の項1.(4) 参照)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
排尿困難のある患者〔抗コリン作用により、症状が悪化するおそれがある。〕
2.
不整脈のある患者〔抗コリン作用により、症状が悪化するおそれがある。〕
3.
肝障害のある患者〔主として肝で代謝されるため、副作用が発現しやすくなるおそれがある。(「薬物動態」の項1.(4)参照)〕
4.
腎障害のある患者〔腎排泄が遅延するおそれがある。〕
5.
認知症又は認知機能障害のある患者〔抗コリン作用により、症状が悪化するおそれがある。〕
6.
パーキンソン症状又は脳血管障害のある患者〔症状の悪化あるいは精神神経症状があらわれるおそれがある。〕
7.
潰瘍性大腸炎の患者〔中毒性巨大結腸があらわれるおそれがある。〕
8.
甲状腺機能亢進症の患者〔抗コリン作用により、頻脈等の交感神経興奮症状が悪化するおそれがある。〕
重要な基本的注意
1.
前立腺肥大症等の下部尿路閉塞疾患を有する患者に対しては、本剤投与前に残尿量測定を実施し、必要に応じて、専門的な検査をすること。投与後は残尿量の増加に注意し、十分な経過観察を行うこと。
2.
眼調節障害(羞明、霧視、眼の異常感等)、めまい、眠気があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に注意させること。
3.
過活動膀胱の症状を明確に認識できない認知症又は認知機能障害患者は本剤の投与対象とはならない。
4.
本剤投与により効果が認められない場合には、漫然と投与せず、適切な治療を考慮すること。
5.
OD錠(口腔内崩壊錠)は口腔内で崩壊するが、口腔の粘膜から吸収されることはないため、唾液又は水で飲み込ませること。(「適用上の注意」の項参照)
相互作用
本剤は、主として肝の薬物代謝酵素CYP3A4及びUGT1A4により代謝される。(「薬物動態」の項3.参照)
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
CYP3A4を阻害する薬剤(イトラコナゾール、エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)
臨床症状・措置方法
健康成人男性においてイトラコナゾールと併用したとき、本剤のCmaxは約1.3倍上昇し、AUCは約1.8倍に上昇したとの報告がある。(「薬物動態」の項6.(1)参照)
機序・危険因子
本剤は主としてCYP3A4で代謝されるので、これらの薬剤により本剤の代謝が阻害される。
2. 薬剤名等
抗コリン剤、抗ヒスタミン剤、三環系抗うつ剤、フェノチアジン系薬剤、モノアミン酸化酵素阻害剤
臨床症状・措置方法
口渇・口内乾燥、便秘、排尿困難等の副作用が強くあらわれることがある。
機序・危険因子
抗コリン作用が増強される。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時の臨床試験において副作用集計の対象となった1,172例中533例(45.5%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められ、主な副作用は口渇368例(31.4%)、便秘98例(8.4%)、羞明18例(1.5%)、霧視16例(1.4%)、眠気16例(1.4%)、胃不快感13例(1.1%)、トリグリセリド増加13例(1.1%)、γ-GTPの上昇12例(1.0%)であった。(承認時)
また、用法・用量追加の臨床試験において副作用集計の対象となった435例中215例(49.4%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められ、主な副作用は口渇・口内乾燥164例(37.7%)、便秘59例(13.6%)、残尿8例(1.8%)、尿中白血球陽性7例(1.6%)、腹部不快感6例(1.4%)、頭痛5例(1.1%)、排尿困難5例(1.1%)であった。(用法・用量追加時)
重大な副作用
1. 急性緑内障
眼圧亢進があらわれ、急性緑内障(0.06%)を生ずるとの報告があるので、観察を十分行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。
2. 尿閉
尿閉(頻度不明※)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. **肝機能障害
AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害(頻度不明※)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。
重大な副作用(類薬)
1. 麻痺性イレウス
類似化合物(他の頻尿治療剤)において麻痺性イレウスがあらわれるとの報告があるので、観察を十分行い、著しい便秘、腹部膨満感等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 幻覚・せん妄
類似化合物(他の頻尿治療剤)において幻覚・せん妄があらわれるとの報告があるので、観察を十分行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
3. QT延長、心室性頻拍
類似化合物(他の頻尿治療剤)においてQT延長、心室性頻拍、房室ブロック、徐脈等があらわれるとの報告があるので、観察を十分行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 過敏症注)
0.1~5%未満
発疹、そう痒等
2. 精神神経系
0.1~5%未満
眠気、味覚異常、めまい、頭痛
3. *精神神経系
頻度不明※
しびれ、幻覚・せん妄
4. 消化器
5%以上
便秘
5. 消化器
0.1~5%未満
胃・腹部不快感、悪心、腹痛、腹部膨満、下痢、食欲不振、消化不良、胃炎、嘔吐、口唇乾燥、異常便、口内炎
6. 循環器
0.1~5%未満
動悸、期外収縮、血圧上昇
7. 呼吸器
0.1~5%未満
咽喉頭疼痛、咳嗽、咽喉乾燥、嗄声
8. 血液
0.1~5%未満
赤血球減少、白血球減少、血小板減少
9. 泌尿器・腎臓
0.1~5%未満
排尿困難、残尿、尿中白血球・赤血球陽性、尿路感染(膀胱炎、腎盂腎炎等)、尿中蛋白陽性、クレアチニン増加
10. 眼
0.1~5%未満
羞明、霧視、眼の異常感、眼球乾燥、眼精疲労、眼瞼浮腫、複視
11. 肝臓
0.1~5%未満
γ-GTP、アルカリホスファターゼ、AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビンの上昇
12. その他
5%以上
口渇・口内乾燥
13. その他
0.1~5%未満
トリグリセリド増加、浮腫、LDH増加、血中尿酸上昇、倦怠感、コレステロール増加、胸痛、背部痛、脱力感、皮膚乾燥
※:頻度不明は自発報告による。
注):発現した場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)において胎児への移行が報告されている。〕
2.
授乳婦には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。〕
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
症状
尿閉、散瞳、興奮、頻脈等
処置
胃洗浄又は活性炭投与を行い、次にアトロピン過量投与の場合と同様の処置を行う。また、尿閉に対しては導尿等、散瞳に対してはピロカルピン投与等、各症状に応じて適切な処置を行う。
適用上の注意
1. 薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
2. 服用時
(1)
OD錠(口腔内崩壊錠)は舌の上にのせ唾液を浸潤させ舌で軽くつぶし、崩壊後唾液のみで服用可能である。また、水で服用することもできる。
(2)
OD錠(口腔内崩壊錠)は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。
その他の注意
マウスに2年間経口投与したがん原性試験(30、100及び300mg/kg)において、雌雄の300mg/kg群で肝細胞腺腫の増加が認められたとの報告がある。また、ラットに2年間経口投与したがん原性試験(3、7、15及び30mg/kg)において、肝細胞腺腫の増加は認められなかったとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 単回投与
1) 食事の影響
健康成人男性12例にイミダフェナシン0.1mgを空腹時に単回経口投与した時、血漿中濃度は投与後1.5時間で最高に達し、その濃度は471pg/mLで、消失半減期は2.9時間であった。また、食後投与では空腹時投与に比しCmaxは1.3倍、AUC0-12は1.2倍であった。1)
(表1参照)
2) 生物学的同等性試験
健康成人男性を対象としたイミダフェナシン錠0.1mg(普通錠)及びイミダフェナシンOD錠0.1mg(口腔内崩壊錠)のクロスオーバー法による水なし(24例)及び水あり(24例)の空腹時単回経口投与における同等性試験において、それぞれ生物学的に同等であることが確認された。2)
1. 水なし投与試験
(表2参照)
2. 水あり投与試験
(表3参照)
(2) 反復投与
健康成人男性5例にイミダフェナシン0.25mgを1日2回5日間反復投与した時、初回投与後と最終回投与後の血漿中濃度推移はほぼ同様であった。また、薬物動態パラメータにも変動は認められず、反復投与による蓄積性は認められなかった。3)
(注)本剤の承認された用量は、異なる。(「用法・用量」の項参照)
(3) 高齢者
健康な非高齢男性6例及び65歳以上の高齢者9例にイミダフェナシン0.1mgを空腹時に単回経口投与した時、高齢者ではCmaxが非高齢男性に比べて1.2倍高かったが、AUC0-∞はほぼ同様であった。4,5)
(表4参照)
(4) 母集団薬物動態(PPK)解析
NONMEMによる母集団薬物動態解析には、吸収のラグタイムがある1次吸収を伴う2-コンパートメントモデルを用いた。長期投与試験及び増量長期投与試験の過活動膀胱患者(20~85歳)852例(軽度の肝機能障害患者101例、軽度の腎機能障害患者116例、中等度の腎機能障害患者14例を含む)と、健康成人(20~75歳)90例の計3,168時点の血漿中濃度を測定した。体重、年齢、性差、飲酒歴、喫煙歴、肝機能指標(AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、アルカリホスファターゼ、乳酸脱水素酵素、総ビリルビン)、腎機能指標(血清クレアチニン、血中尿素窒素)、血中アルブミン値とイミダフェナシンの経口クリアランス(CL/F)との関係を評価したところ、アルカリホスファターゼが正常な患者に対して軽度異常患者のCL/Fは4%低かった。また、非高齢者に対して高齢者のCL/Fは14%低かった。腎機能指標(血清クレアチニン、血中尿素窒素)を含むその他の共変量はCL/Fに影響を及ぼさなかった。6)
(表5参照)
なお、増量長期投与試験を含む臨床試験の0.2mg/日及び0.4mg/日投与例において、中等度以上の肝障害患者及び重度の腎障害患者での使用経験はなかった。
2. 吸収(参考:外国人でのデータ)
外国人健康成人男性において、イミダフェナシンは消化管からほぼ100%吸収され、絶対バイオアベイラビリティは57.8%であった。7)
3. 代謝
イミダフェナシンは経口投与後に約40%が肝臓で初回通過効果を受ける。血漿中主代謝物は、メチルイミダゾール基が酸化されたM-2、またM-2のメチルイミダゾール基が環開裂を受けたM-4及び未変化体のN-グルクロン酸抱合体であるM-9であった。M-2及びM-4への代謝には主としてCYP3A4が、M-9への代謝には主としてUGT1A4が関与する。8)
また、イミダフェナシン及びその主代謝物M-2、M-4、M-9は、ヒトCYP分子種(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4)を阻害しなかった(in vitro)。8)
4. 排泄(参考:外国人でのデータ)
外国人健康成人男性6例に、[14C]イミダフェナシンを0.25mgの用量で空腹時に単回経口投与した時、投与量の95%が投与後192時間までに尿及び糞中に排泄された(尿中65.6%、糞中29.4%)。未変化体の尿中排泄率は10%未満であり、糞中への未変化体の排泄は認められなかった。9)
(注)本剤の承認された用量は、異なる。(「用法・用量」の項参照)
5. 蛋白結合
血漿蛋白結合率は、87.1~88.8%であり、主結合蛋白はアルブミン及びα1-酸性糖蛋白であった。
6. 薬物相互作用
(1) イトラコナゾール
健康成人男性10例に対して、イトラコナゾール200mgを1日1回9日間反復投与時に、イミダフェナシン0.1mgを経口投与した時、イミダフェナシンのCmax及びAUC0-∞は単独投与時と比較して、それぞれ1.3倍及び1.8倍に上昇した。10)
(2) ジゴキシン
健康成人男性12例に対して、イミダフェナシン(0.1mgを1日2回)とジゴキシン(負荷用量0.25mg、維持用量0.125mgを1日1回)を8日間併用投与した時、ジゴキシンのCmax、AUC0-24及び定常状態のトラフ濃度は、単独投与時とほぼ同様であった。11)
(参考)動物における分布〔ラット〕
イミダフェナシンをラットに単回経口投与した時、膀胱組織中濃度は1時間後に最大値を示し、1.8時間の半減期で血清中濃度よりも緩徐に消失した。膀胱におけるCmax及びAUC0-12は、それぞれ血清中の10.7及び25.4倍高い値を示した。
表1
投与条件 Tmax(hr) Cmax(pg/mL) AUC0-12(pg・hr/mL) T1/2(hr)
空腹時 1.5 471±107 2230±540 2.9±0.2
食後 1.3 611±113 2690±470 2.9±0.2
平均値±標準偏差、Tmaxのみ中央値
表2
製剤 Tmax(hr) Cmax(pg/mL) AUC0-12(pg・hr/mL) T1/2(hr)
OD錠 1.4±0.7 487±137 1830±492 3.09±0.46
普通錠 1.1±0.3 552±140 1810±467 3.04±0.41
平均値±標準偏差
表3
製剤 Tmax(hr) Cmax(pg/mL) AUC0-12(pg・hr/mL) T1/2(hr)
OD錠 1.0±0.2 495±99.8 1810±449 3.08±0.44
普通錠 1.0±0.2 541±119 1860±381 3.15±0.52
平均値±標準偏差
表4
Tmax(hr) Cmax(pg/mL) AUC0-∞(pg・hr/mL) T1/2(hr)
非高齢 1.5 382±106 2010±1050 2.6±0.7
高齢 1.0 445±136 2140±480 3.1±0.4
平均値±標準偏差、Tmaxのみ中央値
表5
母集団パラメータ 推定値(95%信頼区間) 個体間変動
全身クリアランス(L/hr) 23.1(21.2-25.0) 32.4%
中心コンパートメントの分布容積(L) 109(102-116) 23.3%
コンパートメント間のクリアランス(L/hr) 3.50(2.95-4.05)
末梢コンパートメントの分布容積(L) 44.3(33.8-54.8)
吸収速度定数(1/hr) 3.07(2.55-3.59) 136.7%
吸収のラグタイム(hr) 0.436(0.422-0.450)
個体内変動 37.3%
臨床成績
1. プラセボ対照二重盲検比較試験※
過活動膀胱患者を対象として、イミダフェナシン0.1mgを1日2回12週間経口投与する試験を実施した。主要評価項目である1週間あたりの合計尿失禁回数の投与前値に対する変化率において、イミダフェナシン群はプラセボ群に対し有意な改善効果を示した。また、1日あたりの平均排尿回数及び1日あたりの平均尿意切迫感回数の投与前値に対する変化についても、プラセボ群に対し有意な改善効果を示した。12)
(表6参照)
※:プラセボに対する優越性及びプロピベリン塩酸塩に対する非劣性の検証を目的とした第III相比較試験の成績より抜粋
プラセボ群143例、イミダフェナシン群318例
2. 長期投与試験
過活動膀胱患者を対象とし、イミダフェナシン0.1mgを1日2回52週間経口投与する試験を実施した。1週間あたりの合計尿失禁回数、1日あたりの平均排尿回数及び1日あたりの平均尿意切迫感回数の投与前値に対する変化において改善が認められ、投与52週間後まで減弱することなく維持された。13)
(表7参照)
3. 増量長期投与試験
過活動膀胱患者を対象とし、イミダフェナシン0.1mgを1日2回12週間経口投与し、その後増量基準※に従い、増量例はイミダフェナシン0.2mgを1日2回52週間経口投与し、非増量例はイミダフェナシン0.1mgを1日2回40週間経口投与する試験を実施した。0.4mg/日に増量した結果、1週間あたりの合計尿失禁回数、1日あたりの平均排尿回数及び1日あたりの平均尿意切迫感回数の投与前値に対する変化において改善が認められ、その効果は64週間後(増量52週間後)まで減弱することなく維持された。14)
(表8参照)
※増量基準:投与12週後の来院時において、過活動膀胱のいずれの症状も正常化の定義(1日あたりの尿意切迫感の平均回数:0回(消失)、1日あたりの平均排尿回数:8回未満、1週間あたりの合計切迫性尿失禁回数:0回(消失))を満たさない場合を参考に、治験担当医師が増量を必要と判断し、かつ被験者も増量を希望した場合に増量した。ただし、投与12週後の来院時までに中等度以上の副作用が発現した場合は、増量しないこととした。
表6
評価項目 投与群 投与前注) 4週間後 12週間後又は中止時
1週間あたりの合計尿失禁回数
(変化率:%) プラセボ群 17.55±11.18 -33.50±51.34 -49.50±57.22
1週間あたりの合計尿失禁回数
(変化率:%) イミダフェナシン群 18.56±14.81 -48.67±44.75## -68.24±36.90###
1日あたりの平均排尿回数
(変化量:回) プラセボ群 11.47±2.50 -1.04±1.74 -1.08±1.62
1日あたりの平均排尿回数
(変化量:回) イミダフェナシン群 11.20±2.28 -1.19±1.58 -1.52±1.70#
1日あたりの平均尿意切迫感回数
(変化率:%) プラセボ群 5.42±3.57 -20.83±46.24 -35.63±53.71
1日あたりの平均尿意切迫感回数
(変化率:%) イミダフェナシン群 4.87±2.90 -34.58±43.83## -53.39±41.35###
平均値±標準偏差 #:p<0.05、##:p<0.01、###:p<0.001 [ vs プラセボ ]
注):投与前は各評価項目とも実測値(回)
表7
評価項目 投与前注) 12週間後 28週間後 52週間後又は中止時
症例数 364 355 355 363
1週間あたりの合計尿失禁回数
(変化率:%) 14.53±14.47 -55.92±72.52# -70.83±50.56# -83.51±35.48#
1日あたりの平均排尿回数
(変化量:回) 11.56±2.81 -1.65±2.12# -2.05±2.26# -2.35±2.14#
1日あたりの平均尿意切迫感回数
(変化率:%) 4.84±3.18 -45.81±53.37# -55.67±48.65# -70.53±38.37#
平均値±標準偏差 #:p<0.05 [ vs 投与前値 ]
注):投与前は各評価項目とも実測値(回)
表8 〔増量長期投与試験 0.4mg/日(増量例)での成績〕
評価項目 投与前注) 12週間後 24週間後(増量12週間後) 64週間後(増量52週間後)又は中止時
症例数 159 159 158 159
1週間あたりの合計尿失禁回数
(変化率:%) 14.01±13.29 -22.92±75.22### -69.97±42.93### -79.30±41.01###
1日あたりの平均排尿回数
(変化量:回) 11.86±2.44 -0.82±1.70### -2.03±2.01### -2.11±2.06###
1日あたりの平均尿意切迫感回数
(変化率:%) 4.96±2.99 -23.67±43.29### -58.58±40.25### -65.62±38.69###
平均値±標準偏差 ###:p<0.001 [ vs 投与前値 ]
注):投与前は各評価項目とも実測値(回)
薬効薬理
1. 作用機序
膀胱収縮は、アセチルコリンにより誘発され、膀胱平滑筋のムスカリン性アセチルコリン受容体サブタイプM3を介していることが知られている。また、膀胱の神経終末からのアセチルコリン遊離はムスカリン性アセチルコリン受容体サブタイプM1刺激により促進されると考えられている。
イミダフェナシンはin vitroにおいて受容体サブタイプM3及びM1に対して拮抗作用を示し、膀胱においてはM1拮抗によるアセチルコリン遊離抑制とM3拮抗による膀胱平滑筋収縮抑制作用を示す。唾液腺の分泌抑制作用に比べ膀胱の収縮抑制作用が相対的に強く、臨床における本剤の有効性と安全性に寄与していることが推察される。15)
2. 薬理作用
(1) ムスカリン性アセチルコリン受容体サブタイプに対する作用(in vitro)
1)
ウサギ及びモルモットの摘出組織標本を用いて精管(M1)、心房(M2)及び回腸(M3)におけるムスカリン性アゴニストの反応に対する拮抗作用を検討した結果、心房(M2)に比べ回腸(M3)及び精管(M1)に強い拮抗作用を示した(in vitro)。ヒト主代謝物は、ムスカリン性アセチルコリン受容体に対する拮抗作用を示さなかった。16)
2)
受容体結合試験において、組み換えヒトムスカリン受容体サブタイプM1、M2及びM3に対する拮抗作用を検討した結果、M3及びM1受容体に高親和性を示した。16)
3)
ラット摘出膀胱のM3及びM1受容体に拮抗しアセチルコリン遊離及び膀胱収縮に対して抑制効果を示した。16,17)
(2) 膀胱に対する作用(in vivo)
1)
律動的膀胱収縮を用量依存的に低下させた(ラット)。18)
2)
カルバコールにより誘発した膀胱容量の減少を、用量依存的に抑制した(ラット)。18)
(3) 膀胱選択性
1)
ラットを用いた検討において、律動的膀胱収縮抑制作用とカルバコール刺激唾液分泌抑制作用との作用比は、プロピベリン塩酸塩に比べ約10倍大きく、イミダフェナシンは高い膀胱選択性を示した。18)
2)
ラットのモリス水迷路を用いた空間認知機能の評価において、イミダフェナシンのM1受容体拮抗作用により空間認知機能が障害される可能性は低いと推測された。18)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
イミダフェナシン(Imidafenacin)
化学名
4-(2-Methyl-1H-imidazol-1-yl)-2,2-diphenylbutanamide
構造式
分子式
C20H21N3O
分子量
319.40
性状
本品は白色の結晶又は結晶性の粉末である。
本品は酢酸(100)に溶けやすく、N,N-ジメチルホルムアミド又はメタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、アセトニトリルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融点
192~196℃
分配係数
0.0664(pH4.03、1-オクタノール/緩衝液)
4.47(pH6.08、1-オクタノール/緩衝液)
240(pH8.07、1-オクタノール/緩衝液)
取扱い上の注意
【ステーブラOD錠0.1mg】
アルミピロー開封後は、湿気を避けて保存すること。
包装
ステーブラ錠0.1mg:100錠(PTP)、500錠(PTP、バラ)
ステーブラOD錠0.1mg:100 錠(PTP)、500 錠(PTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
島田英世ほか:臨床医薬, 23:273, 2007
2)
島田英世ほか:臨床医薬, 27:171, 2011
3)
島田英世ほか:臨床医薬, 23:249, 2007
4)
島田英世ほか:臨床医薬, 23:233, 2007
5)
島田英世ほか:臨床医薬, 23:263, 2007
6)
**Hasegawa C. et al.:Drug Metab. Pharmacokinet., 28:203, 2013
7)
Ohno T.et al.:Br.J.Clin.Pharmacol.,65:197,2008
8)
Kanayama N.et al.:Xenobiotica,37:139,2007
9)
Ohmori S.et al.:Drug Metab.Dispos.,35:1624,2007
10)
Ohno T.et al.:J.Clin.Pharmacol.,48:330,2008
11)
Nakade S.et al.:Drug Metab.Pharmacokinet.,23:95,2008
12)
Homma Y.et al.:Int.J.Urol.,16:499,2009
13)
Homma Y.et al.:Int.J.Urol.,15:986,2008
14)
山口 脩ほか:薬理と治療,37:909,2009
15)
小林文義ほか:日本排尿機能学会誌,18:292,2007
16)
Kobayashi F.et al.:Arzneim.Forsch.Drug Res.,57:92,2007
17)
宇野隆司ほか:日薬理誌,131:379,2008
18)
Kobayashi F.et al.:Arzneim.Forsch.Drug Res.,57:147,2007
文献請求先
*小野薬品工業株式会社 医薬情報部 くすり相談室
〒541-8564 大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号
電話 0120-626-190
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売
小野薬品工業株式会社
大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号