トレアキシン点滴静注用100mg
--------------------------------------------------------------------------------
作成又は改訂年月
2013年3月改訂(第3版、承認条件の項を削除)
* 2012年4月改訂
日本標準商品分類番号
874219
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月
2010年7月
薬効分類名
抗悪性腫瘍剤
承認等
販売名
トレアキシン点滴静注用100mg
販売名コード
4219405D1021
承認・許可番号
承認番号
22200AMX00964000
商標名
TREAKISYM Injection
薬価基準収載年月
2010年12月
販売開始年月
2010年12月
貯法・使用期限等
貯法
遮光、室温保存
使用期限
外箱又はラベル表示の使用期限内に使用すること。
規制区分
劇薬
処方せん医薬品注1
注1:注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
成分・含量
1バイアル中ベンダムスチン塩酸塩100mg含有
添加物
D-マンニトール120mg
性状
剤形
凍結乾燥注射剤
色・形状
白色の結晶性粉末又は塊
pH
2.5~3.5(本剤1バイアルを注射用水40mLに溶解したとき)
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
約0.9
[本剤1バイアルに注射用水40mLを加えて内容物を溶かした後、生理食塩液に添加希釈し、250mLとした液(0.4mg/mL)]
一般的名称
ベンダムスチン塩酸塩
警告
1.
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
2.
骨髄抑制により感染症等の重篤な副作用があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]。
なお、本剤の使用にあたっては、添付文書を熟読のこと。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
2.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
効能又は効果
再発又は難治性の下記疾患
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫
マントル細胞リンパ腫
用法及び用量
通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として120mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、19日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない[「臨床成績」の項参照]。
2.
本剤による治療中に高度の骨髄抑制が認められた場合には、次のような目安により、適切に休薬、減量又は投与中止を考慮すること。
休薬
投与間隔又は投与量の調節
次サイクル投与開始にあたり、好中球数及び血小板数が下記の指標に回復するまで休薬すること。
指標
好中球数1,000/mm3以上及び血小板数75,000/mm3以上
減量又は中止
投与間隔又は投与量の調節
治療中に下記の指標に該当する骨髄抑制が認められた場合には、休薬の項の指標に回復したことを確認の上、次サイクルの投与を開始すること。その場合、以下のとおり減量又は投与中止を考慮すること。
・前サイクル投与量120mg/m2の場合:90mg/m2に減量
・前サイクル投与量90mg/m2の場合:60mg/m2に減量
・前サイクル投与量60mg/m2の場合:投与中止
なお、減量を行った場合には、以降投与量を維持し、増量しないこと。
指標
好中球数500/mm3未満又は血小板数25,000/mm3未満
3.
本剤による治療中に非血液毒性が認められた場合には、次のような目安により、適切に休薬、減量又は投与中止を考慮すること。
休薬
投与間隔又は投与量の調節
次サイクル投与開始にあたり、臨床検査値が下記の指標に回復するまで休薬すること。
指標
Grade 2注2以下の非血液毒性(総ビリルビン:2.0mg/dL未満、血清クレアチニン:2.0mg/dL未満)
減量又は中止
投与間隔又は投与量の調節
治療中に、下記の指標に該当する副作用が認められた場合には、休薬の項の指標に回復したことを確認の上、次サイクルの投与を開始すること。その場合、以下のとおり減量又は投与中止を考慮すること。
・前サイクル投与量120mg/m2の場合:90mg/m2に減量
・前サイクル投与量90mg/m2の場合:60mg/m2に減量
・前サイクル投与量60mg/m2の場合:投与中止
なお、減量を行った場合には、以降投与量を維持し、増量しないこと。
指標
Grade 3注2以上の非血液毒性
注2:NCI-CTCAE Version 3.0
4.
1日用量の調製方法
本剤1バイアルあたり40mLの注射用水で溶解する。患者の体表面積から換算した投与量を生理食塩液で希釈し、最終投与液を250mLに調製すること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
骨髄抑制のある患者
[骨髄抑制が増強されるおそれがある。]
2.
感染症を合併している患者
[骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある(「重大な副作用」の項参照)。]
3.
心疾患(心筋梗塞、重度の不整脈等)を合併する又は既往歴のある患者
[心疾患を悪化させるおそれがある。]
4.
肝障害のある患者
[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
5.
腎障害のある患者
[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
本剤の投与により骨髄機能が抑制され、感染症等の重篤な副作用が増悪又はあらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと[「警告」、「重大な副作用」の項参照]。
2.
*本剤の投与により、リンパ球減少が高頻度にあらわれ、重症の免疫不全が増悪又は発現することがあるので、頻回に臨床検査(血液検査等)を行うなど、免疫不全の兆候について綿密な検査を行うこと。異常が認められた場合には、減量・休薬等の適切な処置を行うとともにカンジダ等の真菌、サイトメガロウイルス等のウイルス、ニューモシスティス等による重症日和見感染に注意すること。また、本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の兆候や症状の発現に注意すること[「重大な副作用」の項参照]。
3.
生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
4.
アルキル化剤等の抗悪性腫瘍剤による前治療を有する患者において、本剤による治療後、二次発癌が発生したとの報告があるので、本剤の投与終了後も経過を観察するなど十分に注意すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
他の抗悪性腫瘍剤
臨床症状・措置方法
骨髄抑制等の副作用が増強することがある。
機序・危険因子
骨髄抑制作用を増強する可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内臨床試験における安全性評価対象例78例中78例(100%)に副作用(臨床検査値の異常を含む)が認められた。
主な自他覚症状は、悪心85.9%(67例)、食欲不振65.4%(51例)、便秘47.4%(37例)、嘔吐41.0%(32例)、疲労39.7%(31例)、発疹37.2%(29例)、発熱34.6%(27例)、静脈炎30.8%(24例)等であった。主な臨床検査値異常は、白血球数減少97.4%(76例)、リンパ球数減少92.3%(72例)、好中球数減少87.2%(68例)、血小板数減少76.9%(60例)、CD4リンパ球減少69.2%(54例)、赤血球数減少69.2%(54例)、ヘモグロビン減少69.2%(54例)、LDH上昇50.0%(39例)、C-反応性蛋白増加47.4%(37例)、IgM低下43.6%(34例)、AST(GOT)上昇38.5%(30例)、ALT(GPT)上昇35.9%(28例)、体重減少33.3%(26例)、IgA低下30.8%(24例)等であった。(承認時)
重大な副作用
1. 骨髄抑制
白血球減少(97.4%)、リンパ球減少(92.3%)、好中球減少(87.2%)、血小板減少(76.9%)、ヘモグロビン減少(69.2%)、赤血球減少(69.2%)、CD4リンパ球減少(69.2%)等の骨髄抑制があらわれることがあるので、頻回に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと[「警告」、「重要な基本的注意」、「用法及び用量に関連する使用上の注意」の項参照]。
2. *感染症
敗血症(頻度不明注3)、肺炎(1.3%)等の重度の感染症があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと[「重要な基本的注意」の項参照]。
3. 間質性肺疾患(1.3%)
間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い発熱、咳嗽、呼吸困難及び胸部X線検査異常等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. 腫瘍崩壊症候群(頻度不明注3)
腫瘍崩壊症候群があらわれ、急性腎不全に至るおそれがあるので、体内水分量を適切に維持し、血液生化学検査(特に尿酸及びカリウム)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5. *重篤な皮膚症状(頻度不明注3)
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)及び皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、口腔粘膜の発疹、口内炎等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6. ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明注3)
ショック及びアナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
血液
10%以上
イムノグロブリン(IgA、IgM、IgG)低下、CD4/CD8比低下
血液
10%未満
貧血、発熱性好中球減少症、溶血性貧血、好酸球増加、ヘモグロビン増加、好中球増加、白血球増加、CD4/CD8比上昇
心・血管障害
10%以上
静脈炎、血管障害(血管痛)
心・血管障害
10%未満
不整脈(房室ブロック、洞性頻脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮等)、心不全、動悸、左室機能不全、潮紅、高血圧、低血圧、静脈血栓症、ほてり、心電図QT延長、心電図T波振幅減少、脈拍異常
心・血管障害
頻度不明注3
心嚢液貯留、頻脈、心筋梗塞、心肺不全、循環虚脱、出血
眼
10%未満
結膜炎、眼瞼紅斑、角膜炎、流涙増加、眼充血、強膜出血、眼そう痒症
消化器
10%以上
便秘、下痢、悪心、胃不快感、口内炎、嘔吐
消化器
10%未満
腹部膨満、腹痛、口唇炎、口内乾燥、消化不良、おくび、舌炎、痔核、口腔内潰瘍形成、舌障害、肛門出血、消化管運動過剰、びらん性十二指腸炎、口腔障害
消化器
頻度不明注3
潰瘍性食道炎、胃腸出血
肝臓
10%以上
ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、血中ビリルビン上昇、γ-GTP上昇等の肝機能異常
感染症
10%以上
鼻咽頭炎
感染症
10%未満
膀胱炎、ヘルペスウイルス感染、帯状疱疹、インフルエンザ、口腔カンジダ症、咽頭炎、副鼻腔炎、水痘、ウイルス性咽頭炎、外陰部炎、外陰部腟カンジダ症、口腔感染、好中球減少性感染
代謝・栄養系
10%以上
食欲不振、LDH上昇、総蛋白低下、ALP上昇
代謝・栄養系
10%未満
高血糖、クロール上昇、低カルシウム血症、カリウム低下、カリウム上昇、ナトリウム低下、尿中ブドウ糖陽性、ALP低下
筋骨格系
10%未満
関節痛、背部痛、筋肉痛、頚部痛、四肢痛、筋骨格硬直
精神神経系
10%以上
味覚異常、頭痛
精神神経系
10%未満
浮動性めまい、体位性めまい、知覚過敏、感覚鈍麻、嗅覚錯誤、無感情、不眠症、気分変化
精神神経系
頻度不明注3
眠気、失声症、錯感覚、末梢性ニューロパチー、抗コリン作動性症候群、運動失調、脳炎
泌尿器
10%以上
クレアチニン上昇
泌尿器
10%未満
頻尿、蛋白尿、BUN低下、BUN上昇、尿酸上昇、尿中ウロビリン陽性
呼吸器
10%未満
アレルギー性胞隔炎、咳嗽、呼吸困難、鼻出血、しゃっくり、胸水、湿性咳嗽、アレルギー性鼻炎、鼻漏、上気道の炎症、口腔咽頭不快感、口腔咽頭痛
呼吸器
頻度不明注3
肺機能異常、肺線維症、原発性異型肺炎
皮膚注4
10%以上
そう痒症、発疹(37.2%)
皮膚注4
10%未満
ざ瘡様皮膚炎、湿疹、多汗症、皮膚疼痛、点状出血、全身性皮疹、そう痒性皮疹、皮膚びらん、皮膚剥脱、蕁麻疹、色素沈着障害、皮膚乳頭腫
皮膚注4
頻度不明注3
脱毛症、紅斑、皮膚炎、斑状丘疹状皮疹
注射部位
10%以上
注射部位反応(発赤、血管外漏出)
注射部位
10%未満
注射部位疼痛、圧痛、硬結
その他
10%以上
疲労、倦怠感、発熱、血清アルブミン低下、C-反応性蛋白増加、体重減少
その他
10%未満
無力症、悪寒、熱感、低体温、浮腫、過敏症、節足動物刺傷アレルギー、不規則月経、腫瘍疼痛、耳管閉塞、尿中血陽性、体重増加
その他
頻度不明注3
粘膜の炎症、疼痛、多臓器不全、無月経、不妊症
その他の副作用の注意
以上のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
注3:国外において報告された頻度を算出できない副作用を頻度不明として記載した。
注4:必要に応じて、皮膚科を受診するよう患者を指導すること。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
[妊娠マウスに投与したところ、胎児毒性及び催奇性が認められたとの報告がある。]
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[使用経験がない。]
3.
妊娠する可能性のある女性患者には、本剤の投与期間中及び治療終了後3カ月間は妊娠を避けるように指導し、避妊させること。本剤を投与されている男性患者は、投与期間中は避妊させること。また、投与後6カ月までは避妊することが望ましい。[妊娠マウスに投与したところ、胎児毒性及び催奇性が認められたとの報告がある。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[使用経験がない。]
過量投与
国内外の臨床経験において、報告されている最高単回投与量は280mg/m2である。
(1) 徴候・症状
280mg/m2を投与した患者4例中3例で、投与後7及び21日目に用量制限毒性と考えられる心電図の変化が認められた。この変化は、QT延長(1例)、洞性頻脈(1例)、ST及びT波の偏位(2例)、左脚前枝ブロック(1例)等であった。
(2) 処置
過量投与時の特異的な解毒剤は知られていない。必要に応じて支持療法を行うこと。
適用上の注意
1. 調製時
(1)
本剤が体部に付着した場合には、直ちに石鹸及び多量の水で十分に洗い、眼は水で洗浄すること。
(2)
本剤の溶解に際しては、必ず注射用水を使用し、溶解液の希釈に際しては、必ず生理食塩液を使用すること。
2. 投与時
(1)
点滴静注に際し、投与液が血管外に漏れると、投与部位に紅斑、腫脹、疼痛、壊死を起こすことがあるので、投与液が血管外に漏れないように投与すること。血管外に漏れた場合は、速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(2)
調製後は、3時間以内に投与を終了すること。
薬物動態
1. 血漿中濃度1)
日本人患者に、本剤90又は120mg/m2/日を1時間かけて点滴静注したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
[本剤の承認された1回用量は120mg/m2(体表面積)である。]
(表1参照)
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫又はマントル細胞リンパ腫患者にベンダムスチン塩酸塩90又は120mg/m2/日を1時間点滴静注したときの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移
2. 分布2)
本剤のヒト血漿蛋白への結合率はin vitro試験で約94~96%であり、α1酸性糖蛋白(<6%)よりもアルブミン(80~92%)への結合率が高かった。
3. 代謝
ヒト肝ミクロソームによるin vitro試験において、本剤はCYP1A2によってgamma-hydroxybendamustine[M3]及びN-des-methylbendamustine[M4]に代謝され、また、非酵素的加水分解を受けることが確認された3)。
日本人患者に本剤120mg/m2/日を点滴静注したとき、M3及びM4の平均AUCは、M3で未変化体の6.3%、M4で1.2%であった1)。
本剤は主としてグルタチオン抱合を受けた後、システイン抱合体そしてメルカプツール酸抱合体の代謝経路を経て代謝されると推定されている4,5)。
4. 排泄1)
日本人患者に本剤120mg/m2/日を点滴静注したとき、未変化体、M3及びM4の24時間尿中排泄率は、それぞれ投与量の1.6%、0.2%及び0.1%であった。
(参考)
ラットに[14C]ベンダムスチンを静脈内投与後168時間までの尿・糞中放射能排泄率は尿中36.5%、糞中49.0%であり、イヌにおいては尿中22.2%、糞中66.4%であった。
5. 肝機能又は腎機能障害者における薬物動態6)
がん患者において、肝・腎機能正常の場合と肝機能障害(肝への浸潤・転移が30%~70%)又は腎機能障害(クレアチニンクリアランスが 60mL/min以下)がある場合を比較するために、本剤120mg/m2/日を30分点滴静注後の薬物動態を評価した。肝・腎機能正常、肝機能障害及び腎機能障害者における薬物動態パラメータは以下のとおりであった(海外データ)。
(表2参照)
薬物動態の表
表1
Dose
(mg/m2) 例数 t1/2
(hr) Tmax
(hr) Cmax
(ng/mL) AUC0-t
(ng・hr/mL) Vz
(mL) CL
(mL/hr)
90 3 0.53±0.09 0.8±0.3 7250±3303 8327±3626 15075±4491 20246±8185
120 6 0.47±0.05 0.9±0.2 8616±4488 10212±5759 17532±10578 25963±15531
(平均値±標準偏差)
表2
例数 Tmax
(min) Cmax
(ng/mL) t1/2
(min) AUC0-t
(hr・ng/mL)
肝・腎機能正常 12 29.6±7.2 10780±7024 28.2±15.9 11654±10590
肝機能障害注5 12 29.6±4.0 9893±3335 26.9±7.6 8868±4260
腎機能障害注6 12 31.3±10.0 9749±2542 26.4±6.4 8013±3404
(平均値±標準偏差)
注5:総ビリルビン0.5~2.0mg/dLの患者
注6:透析患者5例を含む、クレアチニンクリアランスが9.05~35.73mL/minの患者
臨床成績
国内で実施された臨床試験成績7)
癌化学療法又は抗体療法の治療歴を有する低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫又はマントル細胞リンパ腫の患者を対象に、本剤を単独で最大6サイクルまで投与された臨床成績は以下のとおりであった。
臨床成績の表
疾患名 例数 奏効率
(完全寛解+部分寛解/例数) 完全寛解率
(完全寛解/例数) 1年無増悪生存率
低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫 58例 89.7%
(52/58例) 65.5%
(38/58例) 70.4%
マントル細胞リンパ腫 11例 100%
(11/11例) 72.7%
(8/11例) 90.0%
薬効薬理
1. 抗腫瘍作用8)
ベンダムスチン塩酸塩は、in vitro試験において、ヒト低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫由来細胞株(DOHH-2)及びマントル細胞リンパ腫由来細胞株(Z-138、REC-1)に対して、細胞増殖抑制作用を示した。また、ベンダムスチン塩酸塩は、SCIDマウスの皮下にDOHH-2細胞株を異種移植したin vivo試験において、腫瘍増殖抑制作用を示した。
2. 作用機序
ベンダムスチン塩酸塩は、アルキル化作用によりDNAを損傷し9)、p53依存性10),11)及び非依存性12),13)のアポトーシス誘導、並びに有糸分裂期のチェックポイント阻害による分裂期崩壊誘導10)といった複数の機序を介して、殺細胞作用を示す。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ベンダムスチン塩酸塩
(Bendamustine Hydrochloride)(JAN)
化学名
4-{5-[Bis(2-chloroethyl)amino]-1-methyl-1H-benzoimidazol-2-yl}butanoic acid monohydrochloride
構造式
分子式
C16H21Cl2N3O2・HCl
分子量
394.72
性状
ベンダムスチン塩酸塩は、白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。
メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、2-プロパノール又はアセトニトリルに溶けにくく、アセトン又はクロロホルムに極めて溶けにくく及び酢酸エチルにほとんど溶けない。
取扱い上の注意
1.
包装開封後もバイアルを箱に入れて保存すること。
2.
調製時には、手袋を着用することが望ましい。
包装
100mg/1バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
〔文献請求番号〕
1)
社内資料:薬物動態〔国内第1相臨床試験(2006001試験)〕〔TRA-0100〕
2)
社内資料:薬物動態〔海外非臨床試験(KLG/06試験)〕〔TRA-0002〕
3)
社内資料:薬物動態〔海外非臨床試験(DM-2008-006試験)〕〔TRA-0106〕
4)
Teichert J. et al.:Drug Metab. Dispos., 33, 984(2005)〔TRA-0058〕
5)
Teichert J. et al.:Drug Metab. Dispos., 37, 292(2009)〔TRA-0075〕
6)
社内資料:薬物動態〔海外臨床試験(98B03試験)〕〔TRA-0003〕
7)
Ohmachi K. et al.:Cancer Sci., 101, 2059(2010)〔TRA-0087〕
8)
社内資料:薬効薬理〔ベンダムスチンのヒト低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫由来細胞株及びマントル細胞リンパ腫由来細胞株に対する細胞増殖抑制作用〕〔TRA-0099〕
9)
Strumberg D. et al.:Anticancer Drugs, 7, 415(1996)〔TRA-0012〕
10)
Leoni L. M. et al.:Clin. Cancer Res., 14, 309(2008)〔TRA-0010〕
11)
Gaul L. et al.:J. Cancer Res. Clin. Oncol., 134, 245(2008)〔TRA-0013〕
12)
Roue G. et al.:Clin. Cancer Res., 14, 6907(2008)〔TRA-0014〕
13)
Alonso R. et al.:Blood, 114, 1563(2009)〔TRA-0015〕
文献請求先
エーザイ株式会社 お客様ホットライン
フリーダイヤル 0120-419-497
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
シンバイオ製薬株式会社
東京都港区新橋5-23-7
販売元
エーザイ株式会社