また、高カロリー輸液療法を施行中の患者では、基礎疾患及び合併症に起因するアシドーシスが発現することがあるので、症状があらわれた場合には高カロリー輸液療法を中断し、アルカリ化剤の投与等の処置を行うこと。
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
電解質代謝異常のある患者[症状が悪化するおそれがある。]
(1)
高カリウム血症(乏尿、アジソン病、高窒素血症等)の患者
(2)
高リン血症(副甲状腺機能低下症等)の患者
(3)
高マグネシウム血症(甲状腺機能低下症等)の患者
(4)
高カルシウム血症の患者
2.
肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれのある患者[アミノ酸の代謝が十分に行われないため、症状が悪化するおそれがある。]
3.
重篤な腎障害のある患者[水分、電解質の過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。また、アミノ酸の代謝産物である尿素等が滞留し、症状が悪化するおそれがある。]
4.
アミノ酸代謝異常症の患者[投与されたアミノ酸が代謝されず、症状が悪化するおそれがある。]
5.
遺伝性果糖不耐症の患者[果糖が正常に代謝されず、低血糖症等が発現し、さらに肝不全や腎不全が起こるおそれがある。]
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
経口・経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない場合の水分、電解質、カロリー、アミノ酸補給
用法及び用量
アミノトリパ1号輸液
本品は経中心静脈栄養法の開始時で、耐糖能が不明の場合や耐糖能が低下している場合の開始液として、あるいは侵襲時等で耐糖能が低下しており、ブドウ糖を制限する必要がある場合の維持液として用いる。
用時に隔壁を開通して上室液と下室液をよく混合し、開始液とする。
通常、成人には1 日1700mL の開始液を24 時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
なお、症状、年齢、体重に応じて適宜増減する。
アミノトリパ2 号輸液
本品は経中心静脈栄養法の維持液として用いる。
用時に隔壁を開通して上室液と下室液をよく混合し、維持液とする。
通常、成人には1 日1800mL の維持液を24 時間かけて中心静脈内に持続点滴注入する。
なお、症状、年齢、体重に応じて適宜増減する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
高カロリー輸液療法施行中にビタミンB1欠乏により重篤なアシドーシスが起こることがあるので、本剤を投与する場合には、必ず必要量(1日3mg以上を目安)のビタミンB1を併用すること。
混合方法(必ず混合すること)
[開封]
(1)バッグを外袋より取り出す。
[開通]
(2)下室を両手で押して隔壁を開通する。
(本品に輸液を混注する場合は、開通後に行うこと。)
[混合]
(3)上室と下室を交互に押して、よく混合する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
菌血症の患者[カテーテルが二次感染巣となることがあり、敗血症さらには敗血症性ショックを起こすおそれがある。]
2.
心不全のある患者[循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。]
3.
腎不全のある患者[水分、電解質の調節機能が低下しているので、慎重に投与すること。]
4.
閉塞性尿路疾患により尿量が減少している患者[水分、電解質の過負荷となり、症状が悪化するおそれがある。]
5.
脱水症の患者[本症には適切な水分、電解質管理が必要であり、本剤の投与により水分、電解質等に影響を与え、症状が悪化するおそれがある。]
6.
尿崩症の患者[本症には適切な水分、電解質管理が必要であり、本剤の投与により電解質等に影響を与え、症状が悪化するおそれがある。]
7.
糖尿病の患者[ブドウ糖の組織への移行が抑制されているので、高血糖を生じ症状が悪化するおそれがある。]
8.
重症熱傷のある患者[水分、電解質代謝等が著しく障害されており、慎重に投与する必要がある。]
9.
高度のアシドーシスのある患者[症状が悪化するおそれがある。]
10.
膵障害(膵炎、膵硬化症、膵腫瘍等)のある患者[糖代謝異常等を伴うことがあり、慎重に投与する必要がある。]
11.
肝障害のある患者[キシリトールの大量を急速投与すると、肝障害があらわれるおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
本剤に配合されているアミノ酸の組成は高カロリー輸液療法用の栄養輸液として固定しているので、重篤な肝障害、腎障害等の特殊な輸液組成を必要とする疾患には使用しないこと。
2.
高血糖、尿糖があらわれるおそれがあるので、アミノトリパ1号輸液から開始するなど糖濃度を徐々に高めること。
3.
急激な投与中止により低血糖を起こすおそれがあるので、投与を中止する場合には糖濃度を徐々に下げること。
4.
インスリンの投与のみでしか血糖管理ができない患者(インスリン依存性糖尿病患者)には、ブドウ糖製剤を用いる方が望ましい。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
ジギタリス製剤
ジゴキシン等
臨床症状・措置方法
不整脈等の症状があらわれた場合には、投与を中止すること。
機序・危険因子
カルシウムにはジギタリス製剤の作用を増強することが知られている。
副作用
副作用等発現状況の概要
総症例189 例中、臨床検査値異常を含む副作用が報告されたのは5 例(2.6%)で、発現件数は5 件であった(承認時、1994 年)。
重大な副作用
アシドーシス
重篤なアシドーシスがあらわれることがある(【警告】の項参照)。
その他の副作用
過敏症
頻度不明
{発疹等}
代謝異常
0.1 ~ 5%未満
高血糖(高浸透圧性利尿、口渇)、[高カリウム血症]
消化器
0.1 ~ 5%未満
〔悪心・嘔吐〕
肝臓
0.1 ~ 5%未満
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇
肝臓
0.1%未満
〔総ビリルビンの上昇〕
腎臓
0.1 ~ 5%未満
〔BUN の上昇〕
大量・急速投与
頻度不明
〈脳浮腫、肺水腫、末梢の浮腫、水中毒〉
{} 総合アミノ酸製剤でみられる副作用(第一次再評価結果その15、1979 年)