レリクス1.5~30μg/kgを静脈内持続投与したとき、デガレリクスの尿中未変化体排泄率は17.2~19.8%であった。また、健康成人男性8例にデガレリクス1mgを静脈内持続投与したとき、デガレリクスの尿中未変化体排泄率は31.2%であった。
(注)本剤の承認された投与方法は皮下投与である。
4. 蛋白結合9)(外国人データ)
健康成人男性6例にデガレリクス30μg/kgを静脈内持続投与し、投与終了後1~24時間に採取したサンプルを使用したex vivo試験では、血漿中デガレリクス濃度が3.83~98.60ng/mLの範囲における血漿蛋白結合率は85.3~92.4%であった。In vitro試験において、デガレリクスは主にアルブミン及びα1-酸性糖蛋白に結合した。
(注)本剤の承認された投与方法は皮下投与である。
5. バイオアベイラビリティ6)(外国人データ)
健康高齢男性30例に総投与量として3.7~49.4μg/kgを48時間静脈内持続投与した際の血漿中濃度及び前立腺癌患者409例にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を皮下投与し、初回投与4週後より、4週ごとにデガレリクス維持用量80mg(20mg/mL)又は160mg(40mg/mL)を皮下投与した際の血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析において、バイオアベイラビリティの母集団平均は、投与液濃度が20及び40mg/mLのとき、それぞれ0.584及び0.356と推定された。
(注) 本剤の承認された投与方法は皮下投与で、用法・用量は「2回目以降は、デガレリクスとして80mgを皮下投与」である。
薬物動態の表
表1 初回投与後の薬物動態パラメータ
n Cmax
(ng/mL) Tmaxa)
(day) AUC0-28day
(ng・day/mL) C28day
(ng/mL)
136 75.03±45.25 0.96[0.73-27.98] 735±306b) 14.43±5.21
平均値±標準偏差
a)中央値[最小値-最大値]
b)n=135
表2
投与群 n Cmax
(ng/mL) AUC
(ng・h/mL) t1/2a)
(h) CL
(L/h)
健康成人 8 57.4±4.77 322±45.2 16.6[12.8-25.2] 3.17±0.472
軽度肝機能低下患者
(Child-Pughスコア6以下) 8 48.8±10.4 292±42.1 18.9[15.8-24.0] 3.49±0.476
中等度肝機能低下患者
(Child-Pughスコア7~9) 8 40.0±5.13 272±59.8 17.9[14.0-24.8] 3.84±0.894
平均値±標準偏差
a)平均値[最小値-最大値]
臨床成績
前立腺癌患者を対象に、初回用量を240mg(40mg/mL)、以後4週ごとに維持用量80mg(20mg/mL)を1年間投与した試験における、有効性評価項目結果は下表のとおりである3)10)。(「臨床成績の表」表3参照)
また、国内第II相試験における抗腫瘍効果(奏効率)は下表のとおりである3)。(「臨床成績の表」表4参照)
臨床成績の表
表3
国内第II相試験b) 海外第III相比較試験:デガレリクス 海外第III相比較試験:リュープロレリンc)
(対照薬)
累積去勢率a) 94.9%
(130/136) 97.2%
(202/207) 96.4%
(194/201)
95%CI 90.9~98.9% 93.5~98.8% 92.5~98.2%
a)Kaplan-Meier法を用いて推定した、投与開始4週目から52週目まで去勢レベル(血清テストステロン値≦0.5ng/mL)への抑制が達成された患者の割合
b)本試験の主要評価項目は累積去勢率ではなく、投与開始4週目から52週目まで去勢レベル(血清テストステロン値≦0.5ng/mL)への抑制が達成された患者の割合であり、94.5%(104/110)であった。(効果不十分による中止18例、有害事象による中止7例、その他中止1例の合計26例を解析除外)
c)対照薬であるリュープロレリンは筋肉内注射製剤であり、国内製剤とは異なる。この試験で用いられた用法・用量は4週に1回、7.5mgの筋肉内投与である。(国内のリュープロレリンの承認用法・用量は4週に1回、3.75mgの皮下投与である。)
表4
評価時期 4週 12週 24週 52週
奏効率d) 77.4%
(103/133) 90.8%
(119/131) 88.0%
(110/125) 84.5%
(93/110)
d)「前立腺癌の非観血的治療効果判定基準」における評価。奏効率はCR(Complete Response)+PR(Partial Response)の患者の割合を示す。
薬効薬理
1. 作用機序11)12)
デガレリクスはGnRH※アンタゴニストである。下垂体GnRH受容体と可逆的に結合することにより、下垂体からの黄体形成ホルモン(LH)の放出を抑制する結果、精巣からのテストステロン分泌を抑制する。この下垂体性腺系機能抑制により、デガレリクスは前立腺癌の増殖を抑制すると考えられる。
※性腺刺激ホルモン放出ホルモン
2. 下垂体性腺系機能抑制作用12)13)
デガレリクスを正常雄性ラット及びサルに単回皮下投与することで、LH及び卵胞刺激ホルモン(FSH)の血中濃度を低下させ、血清テストステロン値を外科的去勢と同程度まで低下させた。
3. 抗腫瘍作用14)15)
デガレリクスは、ラット及びヒト前立腺癌担癌モデルにおいて、アンドロゲン依存性に増殖する前立腺癌に対して、外科的去勢と同程度の腫瘍