.05±0.16
Cmax(ng/mL):3896±1132
AUC0-∞(ng・hr/mL):6435±1018
T1/2(hr):1.844±0.387
平均値±標準偏差
2. 排泄
尿中主要代謝物はベンゼン環が水酸化を受けた一水酸化体及び二水酸化体の硫酸抱合体である。3)
3. 蛋白結合率
ヒト血清に対する蛋白結合率は90.1%である(in vitro、平衡透析法)。3)
臨床成績
1.
二重盲検比較試験において本剤の有用性が認められている。また、糖尿病性末梢神経障害に伴う自覚症状及び神経機能の改善度について対照群との間に有意の差が認められている。4)
2.
二重盲検比較試験を含む臨床試験において、自覚症状の改善率は39.4%(100/254例)、機能試験改善率は27.5%(64/233例)、全般改善率は39.0%(98/251例)である。5)
薬効薬理
1. 作用機序
本剤はアルドース還元酵素を特異的に阻害し、神経内ソルビトールの蓄積を抑制することにより、糖尿病性末梢神経障害における自覚症状及び神経機能異常を改善する。
2. 薬理作用
(1) アルドース還元酵素阻害作用
1)
ラットの坐骨神経、水晶体、網膜、ウサギ水晶体及びヒト胎盤より抽出したアルドース還元酵素に対して強い阻害作用が認められている。50%阻害濃度は1.0~3.9×10-8Mである(in vitro)。6~8)
2)
アルドース還元酵素以外の糖代謝系酵素に対しては10-5Mでほとんど阻害作用を示さない(in vitro)。7)
3)
本剤の酵素阻害様式は偏拮抗阻害であり、また、その作用は可逆的である。6,7)
(2) ソルビトール蓄積抑制作用
1)
糖尿病性神経障害患者にエパルレスタット150mg/日を4週間経口投与すると、赤血球内ソルビトール値の有意な低下が認められている。9)
2)
高濃度グルコース存在下で、ラットの坐骨神経、赤血球、水晶体及びヒト赤血球内ソルビトールの蓄積を抑制する。50%抑制濃度は1.5~5×10-6Mである(in vitro)。6,7)
3)
ストレプトゾトシン糖尿病ラットの坐骨神経内ソルビトールの蓄積を抑制する。10,11)また、高フルクトース食を負荷したストレプトゾトシン糖尿病ラットの坐骨神経、網膜及び赤血球内ソルビトール蓄積を抑制する。12)
(3) 運動神経伝導速度改善作用
1)
ストレプトゾトシン糖尿病ラットの尾部神経の運動神経伝導速度の低下を抑制10)あるいは改善11)する。また、高フルクトース食を負荷したストレプトゾトシン糖尿病ラットの尾部神経の運動神経伝導速度を改善する。12)
2)
自然発症糖尿病ラットの尾部神経の運動神経伝導速度を改善する。13)
(4) 自律神経機能に対する作用
1)
ストレプトゾトシン糖尿病ラットの副交感神経機能の指標である心電図R-R間隔変動の異常を抑制する。14)
2)
ストレプトゾトシン糖尿病ラットの交感神経機能の指標である心臓のノルエピネフリンのturn-overの低下を改善する。15)
(5) 神経の形態学的変化に対する作用
1)
ストレプトゾトシン糖尿病ラットの坐骨神経の総有髄神経線維密度の低下を抑制する。14)また、腓腹神経の髄鞘の厚さ、軸索面積及び軸索真円率の低下を抑制する。16)
2)
ストレプトゾトシン糖尿病ラットの軸索流の異常を改善する。17)
(6) 神経血流に対する作用
ストレプトゾトシン糖尿病ラットの坐骨神経血管の血流を有意に改善し、虚血状態をあらわす坐骨神経内の乳酸含量の上昇を有意に抑制する。18)
(7) 神経ミオイノシトール含量に対する作用
高フルクトース食を負荷したストレプトゾトシン糖尿病ラットの坐骨神経ミオイノシトール含量の低下を抑制する。16,18)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
エパルレスタット(Epalrestat)
**化学名
2-{(5Z)-5-[(2E)-2-Methyl-3-phenylprop-2-en-1-ylidene]-4-oxo-2-thioxothiazolidin-3-yl}acetic acid
**構造式
分子式
C15H13NO3S2
分子量
319.40
**性状
本品は黄色~だいだい色の結晶又は結晶性の粉末である。
本品はN,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
本品は光により徐々に退色し、分解する。
本品は結晶多形が認められる。
融点
222~227℃
分配係数
2200(pH4、n-オクタノール/緩衝液)
50(pH6、n-オクタノール/緩衝液)
11(pH8、n-オクタノール/緩衝液)
包装
キネダック錠50mg:100錠(PTP)、420錠(PTP)、500錠(PTP)、1,000錠(PTP)、1,050錠(PTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
宮本茂敏ほか:現代医療,18(増III):40,1986
2)
町井浩司ほか:現代医療,28:1273,1996
3)
宮本茂敏ほか:現代医療,18(増III):82,1986
4)
後藤由夫ほか:医学のあゆみ,152:405,1990
5)
小野薬品工業:〈糖尿病性末梢神経障害〉臨床成績集計(社内資料)
6)
寺島 宏ほか:J.Pharmacol.Exp.Ther.229:226,1984
7)
寺島 宏ほか:現代医療,18(増III):1,1986
8)
横山万里子ほか:アルドース還元酵素阻害作用(社内資料)
9)
中埜幸治ほか:医学のあゆみ,152:137,1990
10)
吉川隆一ほか:Metabolism,33:212,1984
11)
吉川隆一ほか:Diabetologia,24:290,1983
12)
堀田 饒ほか:Diabetologia,28:176,1985
13)
柿崎正栄ほか:現代医療,16:1274,1984
14)
浅野次義ほか:糖尿病,26:1105,1983
15)
吉田俊秀ほか:Diabetes,36:6,1987
16)
堀田 饒ほか:糖尿病,29(Suppl.1):22,1986
17)
鬼頭昭三ほか:Hiroshima J.Med.Sci.,35:109,1986