本剤のバイアルは1回使い切りである。溶解後は8時間以内に使用すること。バイアル中の未使用残液は適切に廃棄すること。
14.2.1 静脈内投与
他の薬剤の混入を避けるため、本剤投与のためのルートを留置して実施すること。他の薬剤が投与されているルートを用いての投与は行わないこと。また、延長チューブを使用した際は、投与後速やかに日局生理食塩液でフラッシングを行うこと。
14.2.2 皮下投与
繰り返し皮下投与する場合には、左右の大腿部、腹部等に交互に投与するなど同一注射部位を避けること。
15. その他の注意
15.2 非臨床試験に基づく情報
15.2.1 動物(サル及びイヌ)を用いた試験において、ボルテゾミブを体表面積換算で臨床推奨用量の約2~3倍量を静脈内投与することにより、心拍数増加、心筋収縮力減弱及び低血圧が認められ、死に至った。この心筋収縮力減弱及び低血圧の状態においても、陽性変力作用を示す薬剤あるいは昇圧剤投与に対する反応は認められた。イヌの試験において、致死用量ではQTc間隔の軽度な延長が認められた。6)
15.2.2 動物実験(ラット)において、0.20及び0.15mg/kg(1.20及び0.90mg/m2)群で精巣-精上皮の変性/萎縮及び低用量から卵巣黄体の単細胞壊死が認められた7) 。
15.2.3 チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いたin vitro染色体異常試験で、評価を行った最低用量である3.125µg/mL以上で染色体異常誘発性(構造的染色体異常)を示した8) 。
16. 薬物動態
16.1 血中濃度
16.1.1 単独投与
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に、ボルテゾミブ0.7、1.0又は1.3mg/m2(各n=3、6又は5~7)を単独で、1日1回、週2回、2週間(1、4、8、11日目)静脈内投与したときの1日目及び11日目における血漿中ボルテゾミブ濃度を検討した。
各用量群の血漿中濃度推移は類似しており、速やかな分布相とそれに続く緩やかな長い消失相を特徴とする二相性の低下を示した。また、最終消失相における分布容積(Vz)より、ボルテゾミブの組織移行性が良好であることが示唆された。投与日間での比較の結果、1日目と比較し、11日目において、消失半減期(t1/2)の延長、全身クリアランス(CL)の低下が各用量群で見られた。このことに伴い、投与終了時の血漿中濃度(C0)並びに血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)も1日目より11日目で高値を示した。一方、用量間での比較の結果、C0に用量相関性は認められなかったが、AUCに関しては各試験日において、個体間でのばらつきは大きいが、用量相関性が認められた。9) ,10)
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者にボルテゾミブを0.7、1.0又は1.3mg/m2で静脈内投与したときの各試験日における血漿中ボルテゾミブの薬物動態パラメータ(解析法:ノンコンパートメントモデル)
薬物動態
パラメータ
試験日
0.7mg/m2(n=3)
1.0mg/m2(n=6)
1.3mg/m2(n=5~7)注)
平均値
SD
平均値
SD
平均値
SD
C0(ng/mL)
1
73.75
7.89
144.92
179.31
185.84
57.65
11
130.68
71.97
147.19
72.33
187.03
54.31
AUC(ng・hr/mL)
1
14.04
0.70
28.58
24.86
46.50
19.89
11
112.01
47.74
108.39
52.32
186.60
49.79
t1/2(hr)
1
3.31
0.88
6.81
8.81
16.11
20.75
11
64.59
30.29
32.46
12.91
57.39
24.92
CL(L/hr)
1
83.35
10.52
105.41
75.66
51.97
18.99
11
11.77
4.67
19.63
14.50
12.10
3.73
Vz(L)
1
406.92
154.03
520.08
349.87
894.41
682.35
11
978.51
263.13
731.69
242.35
957.81
350.40
注)1日目:n=7、11日目:n=5
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者にボルテゾミブを0.7、1.0又は1.3mg/m2で静脈内投与したときの各試験日における血漿中ボルテゾミブ濃度推移(平均値+SD)
16.1.2 単独又は併用投与
造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者に、ボルテゾミブ0.7、1.0又は1.3mg/m2(各n=6、5~6又は3~4)を単独又はメルファラン及びプレドニゾロン併用で静脈内投与したときの血漿中ボルテゾミブ濃度を検討した。その結果、血漿中ボルテゾミブの薬物動態はボルテゾミブ単独投与時とメルファラン及びプレドニゾロン併用で大きく異ならなかった。
造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者にボルテゾミブ0.7、1.0又は1.3mg/m2を単独(B)又はメルファラン及びプレドニゾロン併用(VMP)で静脈内投与したときの血漿中ボルテゾミブ濃度推移(平均値+SD)
造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者にボルテゾミブ0.7、1.0又は1.3mg/m2を単独又はメルファラン及びプレドニゾロン併用で静脈内投与したときの血漿中ボルテゾミブの薬物動態パラメータ(解析法:ノンコンパートメントモデル)
薬物動態
パラメータ
投与法
0.7mg/m2(n=6)
1.0mg/m2(n=5~6)注1)
1.3mg/m2(n=3~4)注2)
平均値
SD
平均値
SD
平均値
SD
C0.08h(ng/mL)
単独
45.43
10.09
59.42
18.89
120.3
24.53
併用
34.40
5.799
69.50