(図2)。
(4)
シリンジの先端のゴムキャップを外し、両頭針の短い方を取りつける。このとき長針側先端のカット面が投与時に上を向くように取りつける(図3)。
(5)
患者に投与する(図4)。
〔注意事項〕
○両頭針を取りつける際、プランジャーロッドを押さないようにして下さい。
○シリンジ中にごくわずかに気泡が含まれている場合があります。注射液を投与してもこの気泡は通常シリンジ内に残りますが、誤って投与することのないよう気泡の位置に注意しながら投与して下さい。
〔廃棄の方法〕
注射針にカバーをつけた後、針を外す。次にプランジャーロッドを取りつけたときと逆の方向に回し、取り外す。
フランジキャップを回して取り外し、シールドからシリンジを抜取り廃棄する。
使用上の注意
重要な基本的注意
診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することとし、投与量は最小限度にとどめること。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認前の臨床試験では、274症例(骨シンチグラム)、229症例(脳シンチグラム)中、副作用は認められなかった。
承認後の調査では、9,536症例中、副作用は認められなかった。(再審査対象外品目)
以下の副作用は、自発的に報告されたものである。
重大な副作用
ショック
まれに(0.1%未満)ショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 過敏症
0.1%未満
皮膚発疹
2. 循環器
0.1%未満
低血圧
3. 消化器
0.1%未満
悪心、嘔吐
4. その他
0.1%未満
結膜充血、気分不良、発熱
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人には、原則として投与しないことが望ましいが、診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(現在までのところ、十分な臨床試験成績が得られていない)。
適用上の注意
撮像前
静注後尿中に排泄されるので、特に骨盤部を対象とする場合はシンチグラフィ開始直前に排尿させた方が好ましい1)。
その他の注意
1.
シンチグラムの質には肥満や老年、腎機能障害が影響する可能性があるので注意を要する2)。
2.
血液透析患者では大関節周囲の骨や頭蓋骨・肋軟骨等の集積増加を示すことがある3),4)。
3.
Caの沈着のある腫瘍や代謝異常疾患の異所性石灰沈着の場合は、骨外集積を示すことがある5),6)。
4.
本品を投与した後コンドロイチン硫酸鉄コロイドを投与すると肝描出を認めることがある7)。
5.
(社)日本アイソトープ協会医学・薬学部会放射性医薬品安全性専門委員会の「放射性医薬品副作用事例調査報告」において、まれに血管迷走神経反応(血圧低下、顔面蒼白など)、アレルギー反応(発赤、発疹など)などがあらわれることがあると報告されている。
薬物動態
99mTc−リン酸化合物の骨への集積機序は現在十分解明されていない。しかし、X線写真が骨中のカルシウム量という静態を反映しているのに対して、骨シンチグラムは骨のミネラルのturn-overという動態を反映しており8)、このメカニズムの相違が両検査の感度の相違となっている。
メチレンジホスホン酸テクネチウム(99mTc)(99mTc-MDP)の血中よりの消失は、最初の2時間までは急速で、それ以降は緩やかで、投与後3時間では平均5.8%doseであり、尿中排泄は投与後6時間までで平均49.2%doseであると報告されている9)。また、投与後3時間での骨/軟部組織摂取比は、平均4.9と高値を示すと報告されており9)、骨以外の軟部組織への集積は非常に少ない10)。
投与後2〜3時間での骨/軟部組織摂取比は大差なく、投与後2時間で臨床的に満足出来る骨イメージが得られる9),11)〜14)。
99mTc−リン酸化合物が心筋梗塞や脳梗塞等の病巣に集積することは以前より良く知られているが、99mTc−リン酸化合物がこれら梗塞巣に取り込まれる機序については未解決の問題である。
99mTcO4−等では脳腫瘍集積の機序として血液脳関門の破壊による組織への浸透というメカニズムが考えられるが、99mTc−リン酸化合物では、それ以外に異常組織へのactiveな取込み機序が存在すると推定されている15)。
虚血性脳血管障害、特に脳梗塞では99mTc-MDPによるRIアンギオグラフィで特有のflip-flopパターンを呈することが多く16)、遅延(delayed)シンチグラムにて99mTcO4−に比し高い集積例が多い15),17)。脳シンチグラムが大脳血管支配領域に一致した帯状や楔状の集積をした場合は、脳梗塞と診断できることが多い17)。髄膜炎でも99mTcO4−に比し陽性率が高く、パーキンソン病ではシンチグラム上、大小不均一な多くの点状活性が散在した特異な所見が得られるという報告もある15)。
臨床成績
臨床試験の際、各種疾患患者の骨及び脳シンチグラフィを行い、明瞭なイメージが得られたものを有効例とした場合の有効率(有効例数/症例数)は次のとおりである。
臨床成績の表
骨シンチグラフィ
疾患名 有効例数/症例数 有効率
転移性骨腫瘍
(乳癌) 91/91 100%
(肺癌) 27/27 100%
(前立腺癌) 22/22 100%
(子宮癌) 12/12 100%
(上顎癌) 8/8 100%
(胃癌) 5/5 100%
(結腸癌) 4/4 100%
原発性骨腫瘍 14/14 100%
骨髄炎 9/9 100%
関節炎 4/4 100%
骨壊死 3/3 100%
その他骨疾患 18/18 100%
脳シンチグラフィ
疾患名 有効例数/症例数 有効率
脳梗塞 17/17 100%
転移性脳腫瘍
(脳腫瘍) 8/8 100%
(頭蓋骨腫瘍) 9/9 100%
原発性脳腫瘍 4/