と低下が認められた.また,血清カルシウム濃度(Mean±SD)は,投与開始時9.02±0.69mg/dL,投与終了時9.22±0.61mg/dLと変化は認められず,本剤の臨床的有用性が確認された12).
(2) 一般臨床試験
高リン血症を呈する腹膜透析患者45例を対象として本剤★)を1日750mgから投与を開始し,1日2,250mgまで適宜増減した結果,血清カルシウム濃度を上昇させることなく血清リン濃度(Mean±SD)が投与開始時7.16±1.21mg/dLから投与終了時5.54±1.31mg/dLと低下した13).
(3) 長期投与試験
高リン血症を呈する血液透析患者145例を対象として本剤★)を1日750mgから投与を開始し,1日4,500mgまで適宜増減して3年間投与した結果,血清リン濃度低下効果が維持された患者も認められた6).
(注:本剤の承認された最高用量は1日2,250mgである.)
2. *保存期の慢性腎臓病患者を対象とした試験
(1) 比較試験
高リン血症を呈する保存期の慢性腎臓病患者141例(本剤★)86例,プラセボ55例)を対象とした比較試験において,本剤を1日750mgから投与を開始し,1日2,250mgまで適宜増減した.その結果,血清リン濃度(Mean±SD)は,本剤投与群において,投与開始時6.17±1.30mg/dLから投与終了時5.14±1.43mg/dLと低下が認められた.一方,プラセボ投与群では,投与開始時は6.15±1.04mg/dL,投与終了時は6.10±1.05mg/dLであった.
投与開始時から終了時(8週時)の血清リン濃度変化量の最小二乗平均値の差[95%信頼区間]は-0.97mg/dL[-1.37mg/dL,-0.58mg/dL]であり,本剤のプラセボに対する優越性が示された(P<0.0001,共分散分析モデル)14).
(2) 長期投与試験
高リン血症を呈する保存期の慢性腎臓病患者123例を対象とした長期投与試験において,本剤★)を1日750mgから投与を開始し,最高1日2,250mgまで投与した結果,血清リン濃度低下効果が維持された患者も認められた.なお,本剤の投与期間(平均値±標準偏差)は173.6±121.6日であった7).
★)チュアブル錠
薬効薬理
1. 作用機序
炭酸ランタンは,消化管内で食物由来のリン酸イオンと結合して不溶性のリン酸ランタンを形成し,腸管からのリン吸収を抑制することにより,血中リン濃度を低下させる15).
2. リン結合作用
in vitro試験において,炭酸ランタンをリン酸ナトリウム溶液中で反応させた結果,リン除去率はpH3で97.5%,pH5で97.1%及び pH7で66.6%であった16).
3. 血清リン濃度低下作用
5/6腎摘出ラットに炭酸ランタンを6週間反復投与したとき,血清リン濃度は溶媒対照群に比して有意に低下した17).
4. 生物学的同等性試験
顆粒剤500mgとチュアブル錠500mgを,クロスオーバー法により日本人健康成人男子に1日3回4日間食直後に経口投与し(4日目のみ朝食直後に単回投与),生物学的同等性を検討した.
その結果,顆粒剤500mgはチュアブル錠500mgと生物学的に同等であることが示された18).
(下表参照)
投与開始前値及び治験1日目から3日目(3日間)の平均24時間尿中リン排泄量(n=59, 算術平均値±算術標準偏差)(単位:mmol)
顆粒剤500mg チュアブル錠500mg
投与開始前値※ 22.67±3.25 22.41±3.18
治験1日目から3日目の平均値 18.17±3.43 17.88±3.29
※:治験 -2日目及び -1日目の平均24時間尿中リン排泄量
有効成分に関する理化学的知見
一般名
炭酸ランタン水和物(Lanthanum Carbonate Hydrate)JAN
化学名
Lanthanum carbonate hydrate
分子式
La2(CO3)3・xH2O(x=主として4)
分子量
529.90(4水和物)
性状
本品は白色~ほとんど白色の粉末である.
本品は水又は有機溶媒にはほとんど溶けない.
取扱い上の注意
湿気により,製品の品質が影響を受けるので,アルミニウム袋の状態で保存すること.
包装
顆粒剤
250mg アルミニウム袋 120包(3包×40)
600包(3包×200)
500mg アルミニウム袋 120包(3包×40)
600包(3包×200)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
*慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン, 2012
2)
Wappelhorst, O. et al.:Nutrition, 18(4), 316(2002)
3)
高原 由姫他:バイエル薬品社内資料[薬物動態(単回投与)](2008)
4)
高原 由姫他:バイエル薬品社内資料[薬物動態(反復投与)](2008)
5)
Pennick, M. et al.:J. Clin. Pharmacol., 46(7), 738(2006)
6)
重松 隆他:バイエル薬品社内資料[長期投与試験](2008)
7)
*重松 隆他:バイエル薬品社内資料[保存期の慢性腎臓病患者を対象とした長期投与試験](2013)
8)
重松 隆他:バイエル薬品社内資料[骨生検試験](2009)
9)
Finn, W. F.:バイエル薬品社内資料[海外長期投与試験](2005)
10)
Matthews, A.:バイエル薬品社内資料[チトクロームP450(CYP)分子種(in vitro)](2000)
11)
Bullivant, C. A.:バイエル薬品社内資料[血漿蛋白結合(in vitro)](2000)
12)
重松 隆他:バイエル薬品社内資料[二重盲検比較試験](2007)
13)
重松 隆他:バイエル薬品社内資料[腹膜透析患者を対象とした一般臨床試験](2007)
14)
*重松 隆他:バイエル薬品社内資料[保存期の慢性腎臓病患者を対象とした二重盲検試験](2012)
15)
Harrison, T. S. et al.:Drugs, 64(9), 985(2004)
16)
Fenn, P. D.:バイエル薬品社内資料[リン結合作用(in vitro)](2001)
17)
Shen, V.:バイエル薬品社内資料[血清リン濃度低下作用](2001)
18)
金谷久美子他:バイエル薬品社内資料[生物学的同等性](2010)
文献請求先
主要文献に記載 |