したとき、デキストロメトルファン単剤投与時と比べて、デキストロメトルファンのAUClast及びCmaxはそれぞれ、855%及び874%増加した。
(3) ラベプラゾール(外国人データ)6)
健康成人24例を対象にラベプラゾール40mg(反復投与)と本剤45mg(単回投与)を併用したとき、ダコミチニブのAUC96及びCmaxは、本剤単剤投与時と比べて、それぞれ39%及び51%低下した。
(4) 制酸剤(外国人データ)13)
進行固形癌患者8例において制酸薬(水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウム経口懸濁液;400mg/5mL)(単回投与)と本剤45mg(単回投与)を併用したとき、本剤単剤投与時と比べて、ダコミチニブのAUCinfは5%増加し、Cmaxは12%低下した。
(5) In vitro試験14,15)
本剤はUGT1A1、P-gp、BCRP又はOCT1の阻害作用を示した。
注)本剤の承認用法・用量は1日1回45mgを経口投与する。[「用法・用量」の項参照]
表1
投与量
(mg) N Cmax
(ng/mL) AUCinf
(ng・h/mL) Tmax
(h) t1/2
(h)
15注) 3 7.74
(31) 646.9
(24) 24.0
(6.0-24.0) 61.1
(15.4)
30注) 3 11.1
(55) 765, 1210a) 8.0
(8.0-24.0) 66.9, 129a)
45 7 17.6
(71) 1543
(29) 6.0
(4.0-24.0) 80.0
(12.3)
N:例数、Cmax:最高血漿中濃度、AUCinf:0時間から無限大時間までの血漿中濃度‐時間曲線下面積、Tmax:最高血漿中濃度到達時間、t1/2:終末相の消失半減期
Tmaxは中央値(最小値-最大値)、t1/2は算術平均値(標準偏差)それ以外は幾何平均値(算術変動係数%)
a)N=2
表2
投与量
(mg) N Cmax
(ng/mL) Cmin
(ng/mL) AUCtau
(ng・h/mL) Tmax
(h)
15a),注) 2 29.5, 34.4 21.9, 27.7 627, 799 6.0, 24.0
30注) 3 63.5
(19) 46.9
(18) 1333
(21) 4.0
(0.0-8.0)
45 6 79.5
(21) 63.6
(20) 1768
(20) 8.0
(4.0-8.0)
N:例数、Cmax:最高血漿中濃度、AUCtau:投与間隔tauの血漿中濃度‐時間曲線下面積、Tmax:最高血漿中濃度到達時間、Cmin:最低血漿中濃度
Tmaxは中央値(最小値-最大値)それ以外は幾何平均値(算術変動係数%)
a)N=2
臨床成績
EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第III相試験16)
化学療法歴のないEGFR遺伝子の活性型変異注1)陽性注2)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌注3)患者を対象に、本剤の有効性及び安全性をゲフィチニブと比較することを目的とした非盲検無作為化国際共同第III相試験が実施された。452例(日本人81例)を本剤群227例(日本人40例)及びゲフィチニブ群225例(日本人41例)に無作為に割り付け、本剤45mg又はゲフィチニブ250mgを1日1回経口投与した。
主要評価項目である独立画像中央判定委員会評価による無増悪生存期間の中央値は、本剤群で14.7ヵ月(95%信頼区間:11.1, 16.6)、ゲフィチニブ群で9.2ヵ月(95%信頼区間:9.1, 11.0)であり、ゲフィチニブ群に比べて本剤群で統計的に有意な無増悪生存期間の延長が認められた(ハザード比[95%信頼区間]:0.589[0.469, 0.739]、p値<0.0001:層別ログランク検定)(2016年7月29日データカットオフ)。
独立画像中央判定委員会評価による無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(ITT集団)
注1)EGFR遺伝子の活性型変異であるエクソン19の欠失(Ex19del)又はエクソン21の変異(L858R)が腫瘍組織検体で確認された患者が組み入れられた。
注2)therascreen EGFR変異検出キットRGQ「キアゲン」等が使用された。
注3)非小細胞肺癌のうち、腺癌又は腺癌の特殊型の組織型の癌が確認された患者が組み入れられた。また、脳転移のある患者は除外された。
薬効薬理
抗腫瘍効果17)
本剤は、in vitro試験において、野生型EGFRを有するヒト非小細胞肺癌由来NCI-H125細胞株、EGFR活性型変異(Ex19del)を有するヒト非小細胞肺癌由来HCC827及びHCC4006細胞株、並びにEGFR活性型変異(L858R)を有するヒト非小細胞肺癌由来NCI-H1975細胞株の増殖を抑制した。
本剤は、in vivo試験において、NCI-H125及びNCI-H1975細胞株をそれぞれ皮下移植した重症複合型免疫不全(SCID)マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。
作用機序17)
本剤は、活性型変異(Ex19del及びL858R)を有するEGFR等のチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ダコミチニブ水和物
化学名
(2E)-N-{4-[(3-Chloro-4-fluorophenyl)amino]-7-methoxy-quinazolin-6-yl}-4-(piperidin-1-yl)but-2-enamide monohydrate
分子式
C24H25ClFN5O2・H2O
分子量
487.95
構造式
性状
本品は白色~微黄色の粉末である。
分配係数(log D)
4.2(pH7.4、1-オクタノール/水)
承認条件
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
包装
ビジンプロ錠15mg:30錠(PTP)10錠/シート×3シート
ビジンプロ錠45mg:10錠(PTP)10錠/シート×1シート
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料:ラットを用いた胚・胎児発生試験 [L2