角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 単回投与1)
閉経前健康成人女性(12例)に本剤40mgを朝食前に単回経口投与した時のレルゴリクスの血漿中濃度、薬物動態学的パラメータは下図及び表1のとおりであった。
また、閉経前健康成人女性(10例)にレルゴリクス1、5、10、20、40又は80mgを朝食絶食下で単回経口投与した時のレルゴリクスのCmax及びAUCはわずかに用量比を超えて上昇した。2)
(2) 反復投与2)
閉経前健康成人女性(8例)に本剤40mgを1日1回14日間朝食前に反復経口投与した時の投与1及び14日目におけるレルゴリクスの薬物動態学的パラメータは表2のとおりであった。
レルゴリクスの血漿中濃度は7日以内に定常状態に達し、最終投与時のCmax及びAUCはいずれも初回投与時の約2倍であった。
2. 吸収
(1) 食事の影響3)
閉経前健康成人女性(12例)に朝食絶食下、朝食前又は朝食後に本剤40mgを単回経口投与した時、朝食後投与では朝食絶食下投与と比較して、Cmax及びAUC120の幾何平均値の比はそれぞれ45.43%及び52.56%であり、顕著に低かった。一方、朝食前投与では朝食絶食下投与と比較して、Cmax及びAUC120の幾何平均値の比はそれぞれ113.06%及び84.68%であり、大きな違いはみられなかった。
(2) バイオアベイラビリティ4)
健康成人男性(6例)に朝食絶食下でレルゴリクス80mgを単回経口投与した時の絶対的バイオアベイラビリティは11.6%であった。(外国人データ)(本剤の承認用量は1日1回40mgである。)
(3) P-gp5)
レルゴリクスはP-gpの基質であった(in vitro)。
3. 分布6)
ヒト血漿中における[14C]レルゴリクスの血漿蛋白結合率は、0.05~5μg/mLの濃度範囲において68.2~70.8%であり、レルゴリクスの濃度に依存しなかった(in vitro)。
4. 代謝
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験において、レルゴリクスは主にCYP3A4及びCYP2C8により代謝された。7)
5. 排泄8)
健康成人男性(6例)に[14C]レルゴリクス80mgの液剤を単回経口投与した時、放射能の平均累積回収率は87.1%であった。放射能は主に糞中へ排泄され(82.7%)、尿中に排泄された放射能は4.4%であった。レルゴリクスの糞中及び尿中への排泄率は投与量の4.2%及び2.2%であった。(外国人データ)(本剤の承認用量は1日1回40mgである。)
6. 腎機能障害時の動態9)
重度腎機能障害患者(eGFR<30mL/min/1.73m2)(8例)に本剤40mgを単回経口投与した時、腎機能正常者と比較して、AUClastの幾何平均値の比は199%であったが、Cmaxは同程度であった。(外国人データ)
7. 肝機能障害時の動態10)
軽度肝機能障害患者(Child-Pughスコア:5~6)(8例)及び中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア:7~9)(8例)に本剤40mgを単回経口投与した時、肝機能正常者と比較して、AUC及びCmaxは同程度であった。(外国人データ)
8. 薬物間相互作用
(1) リファンピシン11)
健康成人男女(16例)に、リファンピシン(CYP3A4誘導剤及びP-gp誘導剤)600mgを1日1回反復投与時にレルゴリクス40mgを併用投与した時、レルゴリクス単独投与時と比較して、レルゴリクスのCmax及びAUC∞の幾何平均値の比は、それぞれ77.2%及び45.4%であった。消失半減期に影響はなかった。(外国人データ)
(2) エリスロマイシン、フルコナゾール、アトルバスタチン12,13)
健康成人男女(20例)に、エリスロマイシン(CYP3A4の中程度の阻害剤でありP-gp阻害剤)300mgを1日4回反復投与時にレルゴリクス20mgを併用投与した時、レルゴリクス単独投与時と比較して、レルゴリクスのCmax及びAUC∞の幾何平均値の比は、それぞれ617.95%及び624.66%であった。消失半減期に影響はなかった。(本剤の承認用量は1日1回40mgである。)
一方、健康成人男女(40例)に、フルコナゾール(CYP3A4の中程度の阻害剤)200mg又はアトルバスタチン(CYP3A4の弱い阻害剤)80mgを1日1回反復投与時にレルゴリクス40mgを併用投与した時、レルゴリクスの薬物動態に臨床的に問題となる影響はなかった。(外国人データ)
(3) DDI Cocktail試験14)
健康成人男女(16例)に、レルゴリクス20mgを1日1回反復投与時にCYP指標薬であるカフェイン(CYP1A2基質)、トルブタミド(CYP2C9基質)、デキストロメトルファン(CYP2D6基質)、ミダゾラム(CYP3A4基質)を併用投与した時、各CYP指標薬及びその代謝物の薬物動態に臨床的に問題となる影響はなかった。(外国人データ)(本剤の承認用量は1日1回40mgである。)
表1
Cmax
(ng/mL) Tmax
(h) AUC120
(ng・h/mL) AUC∞
(ng・h/mL) T1/2
(h)
29.05
(22.868) 1.500
(0.500-2.02) 130.2
(61.549) 139.1
(65.653) 45.42
(9.4669)
平均値(標準偏差)、Tmaxは中央値(最小値-最大値)
表2
Cmax
(ng/mL) Tmax
(h) AUCτ
(ng・h/mL) T1/2
(h)
投与1日目 13.90
(10.564) 0.50
(0.5-1.5) 52.18
(41.773) 16.01
(5.1135)
投与14日目 20.95
(15.447) 1.00
(0.5-2.0) 100.5
(44.178) 24.60
(7.404)
平均値(標準偏差)、Tmaxは中央値(最小値-最大値)
臨床成績
1.
過多月経を有する子宮筋腫患者を対象とした国内第III相試験(二重盲検比較試験)15)
月経周期の1~5日目から本剤40mgを1日1回朝食前に24週間経口投与した時、主要評価項目である投与6週後から12週後までのPBAC(pictorial blood loss assessment chart)スコア合計点が10点未満である症例の割合において、リュープロレリン酢酸 |