ところ、安定した降圧効果が得られた。なお、血清カリウム値が4.8mEq/L未満かつeGFRの低下率が投与開始前と比較して30%未満である場合に増量可能とした。
7. 原発性アルドステロン症患者12)
原発性アルドステロン症患者(44例)を対象に、エサキセレノン2.5~5mg(2.5mgより開始)を1日1回12週間投与したところ、安定した降圧効果が得られた。
表2
投与群 n トラフ時座位血圧(mmHg)
収縮期
投与前値注2) トラフ時座位血圧(mmHg)
収縮期
投与前からの変化量注3) トラフ時座位血圧(mmHg)
拡張期
投与前値注2) トラフ時座位血圧(mmHg)
拡張期
投与前からの変化量注3)
プラセボ群 85 156.7±9.04 -7.0[-9.5, -4.6] 96.8±4.95 -3.8[-5.2, -2.4]
エサキセレノン1.25mg群 82 156.4±9.05 -10.7[-13.2, -8.2] 97.2±5.48 -5.0[-6.4, -3.6]
エサキセレノン2.5mg群 84 156.4±8.43 -14.3[-16.8, -11.9] 98.6±5.62 -7.6[-9.1, -6.2]
エサキセレノン5mg群 88 157.4±9.04 -20.6[-23.0, -18.2] 97.2±5.43 -10.4[-11.8, -9.0]
注1)Last observation carried forward法により欠測値を補完
注2)mean±SD
注3)投与群を因子、投与前の基準血圧を共変量とした共分散分析による最小二乗平均値、[ ]は両側95%信頼区間
表3
投与群 n トラフ時座位血圧(mmHg)
収縮期
投与前値注1) トラフ時座位血圧(mmHg)
収縮期
投与前からの変化量注2) トラフ時座位血圧(mmHg)
拡張期
投与前値注1) トラフ時座位血圧(mmHg)
拡張期
投与前からの変化量注2)
エプレレノン50mg群 316 155.0±9.59 -12.1[-13.3, -10.9] 98.3±5.54 -6.1[-6.8, -5.4]
エサキセレノン2.5mg群 306 154.7±9.52 -13.7[-14.9, -12.5] 97.9±5.70 -6.8[-7.6, -6.1]
エサキセレノン5mg群 322 155.3±9.42 -16.9[-18.1, -15.7] 97.7±5.38 -8.4[-9.1, -7.7]
注1)mean±SD
注2)投与群を因子、投与前の基準血圧を共変量とした共分散分析による最小二乗平均値、[ ]は両側95%信頼区間
薬効薬理
1. 作用機序
エサキセレノンは非ステロイド構造を有するミネラルコルチコイド受容体ブロッカーであり、核内受容体であるミネラルコルチコイド受容体に選択的に結合し、レニン-アンジオテンシン系等により生成が促進される副腎皮質ホルモンのアルドステロンによるミネラルコルチコイド受容体の活性化を阻害する。過剰なミネラルコルチコイド受容体の活性化により、尿中ナトリウム及び水分の再吸収の促進などによる血圧上昇が起こり、心臓、血管、腎臓などの組織障害を促進することが知られている。エサキセレノンはミネラルコルチコイド受容体の活性化を抑制することで、降圧作用を発揮するものと考えられる。
2. 受容体結合の選択性
エサキセレノンは、ラット及びヒトのミネラルコルチコイド受容体に結合しアルドステロンの結合及び受容体活性化を阻害した。一方でグルココルチコイド受容体等、他のステロイドホルモン受容体に対する親和性を示さず、それぞれの特異的リガンドによる受容体活性化を阻害しなかった。またミネラルコルチコイド受容体を含むすべてのステロイドホルモン受容体に対する活性化能は認められなかった。
3. In vivoミネラルコルチコイド受容体阻害作用
(1) アルドステロンによる尿中ナトリウム/カリウム濃度比の低下に対する作用
両副腎摘出ラットにアルドステロンを皮下投与すると腎尿細管のミネラルコルチコイド受容体が活性化されナトリウム再吸収及びカリウム排泄が促進するため尿中ナトリウム/カリウム濃度比が低下する。エサキセレノンの単回経口投与は、アルドステロン投与による尿中ナトリウム/カリウム濃度比の低下を抑制した。
(2) カニクイザルの尿中電解質に対する作用
カニクイザルの腎尿細管のミネラルコルチコイド受容体を阻害するとナトリウム再吸収及びカリウム排泄が抑制され尿中ナトリウム/カリウム濃度比が増加する。エサキセレノンの単回経口投与は、尿中ナトリウム/カリウム濃度比を用量依存的に増加した。
4. 降圧作用13,14)
高血圧モデル動物(DOCA高血圧ラット、Dahl食塩感受性高血圧ラット)において、エサキセレノン投与は用量依存的かつ持続的な血圧上昇の抑制作用を示した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
エサキセレノン(Esaxerenone)
化学名
(5P)-1-(2-Hydroxyethyl)-N-[4-(methanesulfonyl)phenyl]-4-methyl-5-[2-(trifluoromethyl)phenyl]-1H-pyrrole-3-carboxamide
分子式
C22H21F3N2O4S
分子量
466.47
構造式
性状
白色の粉末である。
融点
187℃
分配係数
log D=3.4(pH7)
取扱い上の注意
ミネブロ錠1.25mg及びミネブロ錠2.5mgは、錠剤表面に使用色素による黄色の斑点がみられることがある。また、ミネブロ錠5mgは、錠剤表面に使用色素による赤色の斑点がみられることがある。
承認条件
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
包装
ミネブロ錠1.25mg
(PTP)100錠
ミネブロ錠2.5mg
(PTP)100錠
ミネブロ錠5mg
(PTP)100錠
主要文献及び文献請求先
主要文