、小児と成人の間で薬物動態パラメータに有意な違いは認められなかった4)。(表2参照)
2. 代謝注)
メルファランは、モノヒドロキシ体及びジヒドロキシ体に加水分解される。メルファランの加水分解に代謝酵素の関与は認められていない。ヒト血漿中及び尿中にメルファランを添加したとき、未変化体はそれぞれ半減期1.3~2.5時間(平均1.9±0.4時間)及び1.5~31.5時間(平均8.9±11.3時間)で消失した8)。
3. 排泄注)
悪性腫瘍患者にメルファラン220mg/m2を静脈内投与したとき、尿中未変化体排泄率は3.8~41.8%(平均21.3±17.1%)であり、総クリアランスは137~295mL/min/m2(平均205±66mL/min/m2)であった3)。
4. 血漿蛋白結合率注)
in vitroでのヒト血漿蛋白への結合率は0.33~16.7μMの濃度範囲で約55~76%であった9)。アルブミン及びα1-酸性糖蛋白との結合が認められた9),10)。γ-グロブリンとの結合は認められなかった9)。
5. 腎機能低下患者における薬物動態注)
28例の悪性腫瘍患者にメルファランを70~200mg/m2静脈内投与したとき、患者のEDTAクリアランス(CLEDTA)と総クリアランス(CL)の間に相関性(CL=217.7+3.68×CLEDTA、r=0.5326、p=0.0035)が認められた。また、造血幹細胞移植患者6)、卵巣癌患者11)、多発性骨髄腫患者等12)において、腎機能(クレアチニンクリアランス(CLCR)もしくはCLEDTA)と薬物動態パラメータの間に相関性が認められている。なお、CLCRとCL及び腎クリアランスの相関を認めなかったとの報告3)や、CLEDTAとAUC及びMRTの相関は認めたものの、消失半減期との相関は認めなかったとの報告13)もある。また、多発性骨髄腫に関しては、腎障害を有する患者に対して1日1回100mg/m2を2日間投与後に自家末梢血幹細胞移植を実施した結果、移植関連死亡は認められず、移植した幹細胞の生着、生存期間の延長、腎障害の改善等の良好な成績が得られた例も報告されている14),15)。これらの報告では水分補給や利尿薬投与等による尿量確保の管理に関しては不明確であるが、腎障害を有する患者では十分な尿量確保の管理が特に重要である。
注)いずれも外国人による成績である。本剤承認用量(1回)は60~100mg/m2である(「用法・用量」の項参照)。
薬物動態の表
表1
投与量
(mg/m2) 例数 Cmax
(μg/mL) t1/2α
(min) t1/2β
(min) Vc
(L) Vdss
(L) AUC
(μg・min/mL) CL
(mL/min)
140 11 13.5±5.4 8.7±3.9 81.1±63.5 16.4±6.2 39.8±20.7 505±128 522±145
200 16 21.1±14.7 9.1±8.2 68.0±32.1 19.9±14.6 41.6±17.2 615±167 641±184
平均値 27 - 8.9±6.7 73.3±46.8 18.5±11.9 40.9±18.4 - 592±177
表2
対象 t1/2β
(min) AUC
(μg・min/mL) CL
(L/min/m2) Vdss
(L/m2)
小児患者 36.8±17.2 346±122 0.447±0.170 16.0±5.5
成人患者 47.6±13.8 414±151 0.372±0.146 18.4±6.7
全平均 41.4±16.5 375±137 0.415±0.162 17.0±6.1
臨床成績
造血器腫瘍(以下、成人)及び小児がん(以下、小児)を対象に、のべ15施設41症例について実施した国内第II相試験成績は次の通り。
(1) 患者背景
(表3、表4参照)
(2) 骨髄(幹細胞)生着日
移植後、白血球数1000/mm3以上かつ好中球数500/mm3以上となった日を骨髄(幹細胞)生着日とした。(表5、表6参照)
(3) その他の有効性
(表7参照)
(4) 安全性
(表8参照)
臨床成績の表
表3 成人の患者背景
項目 症例数(%)
合計 26(100)
性別 男 18(69.2)
女 8(30.8)
年齢 Median[Min-Max] 44.0[20-65]
診断名 多発性骨髄腫 11(42.3)
白血病 5(19.2)
急性リンパ性白血病 3(11.5)
急性骨髄性白血病 1(3.8)
骨髄異形成症候群 1(3.8)
悪性リンパ腫 10(38.5)
非ホジキンリンパ腫 9(34.6)
ホジキンリンパ腫 1(3.8)
移植時病態※ 完全寛解期 9(34.6)
部分寛解期 14(53.8)
再発 |