不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。投与中の場合は投与を中止すること。
その他の副作用
次のような症状が投与中又は投与後もあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
1. **腎臓
1~5%未満
腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)
2. **腎臓
1%未満
乏尿
3. 消化器
1~5%未満
食欲不振
4. 過敏症
1~5%未満
皮疹(斑状丘疹性皮疹、蕁麻疹)
5. 過敏症
1%未満
そう痒、浮腫
6. 皮膚
1%未満
脱毛
7. 全身症状
頻度不明注)
温熱感、刺痛感
8. **その他
1%未満
月経異常、痙攣
9. その他
頻度不明注)
卵巣機能不全
注)自発報告または海外のみで認められている副作用については頻度不明とした。
高齢者への投与
成人26例を対象とした国内臨床試験において、65歳以上の高齢者は1例であり、報告された副作用は悪心・嘔吐、下痢、口内炎・粘膜炎であった(「臨床成績」の項参照)。一般に、高齢者では生理機能が低下していることが多いため、本剤投与前に患者の状態及び臓器機能を十分検討し確認すること。投与開始後は、患者の状態を慎重に観察すること。
なお、高齢者に本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植を施行するにあたっては、患者の全身状態を考慮し、慎重に患者を選択すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦(特に妊娠3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物試験で大量(1.0mg/kg以上)をラットに投与した場合、催奇形性が報告されており、また他のアルキル化剤(シクロホスファミド)で催奇形性を疑う症例報告がある。]
2.
授乳中の婦人に投与する場合には、授乳を中止させること。
小児等への投与
小児15例(1~14歳)を対象とした国内臨床試験において、小児に特徴的な副作用と考えられる症状等は認められなかった(「臨床成績」の項参照)。本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植を小児に施行するにあたっては、成長障害等の可能性を十分に考慮した上で行うこと。なお、低出生体重児、新生児又は乳児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
本剤の用法・用量は、患者の成熟リンパ球や骨髄細胞を除去し移植する造血幹細胞を生着させること、及び腫瘍性疾患において体内に残存する腫瘍細胞の除去を目指している。したがって、本剤投与後は重度の骨髄抑制状態となることから、致命的な感染症及び出血等を引き起こすことがあるので、用法・用量に定められている投与量を超えて投与しないこと。
徴候、症状
本剤の投与後は重度の骨髄抑制状態となる。本剤を急速に静脈内投与すると、嘔気及び嘔吐、下痢、口内炎等の発現が認められる。なお、海外において、卵巣癌注1)に対する本剤290mg/m2の単回静脈内投与後、嘔吐、下痢、振戦、呼吸困難、QT延長、低ナトリウム血症、高アミラーゼ血症、尿路感染症、重度の骨髄抑制等を発現し、投与6日後に突然死亡(死因:不整脈と推察された)した症例が報告されている1)。
処置
本剤は特有の解毒剤を有しておらず、本剤は血液透析により除去されないとの報告がある2)。本剤の過量投与が疑われた場合は、輸血、血液造血因子、抗感染症薬の投与等の支持療法を行うこと。また、必要に応じ無菌管理を考慮し、血液学的検査を頻回に行い、患者の状態を十分観察すること。
注1)アルケラン静注用50mgの効能・効果は白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、小児固形腫瘍における造血幹細胞移植時の前処置である。
適用上の注意
1. 投与経路
本剤は静脈内にのみ投与すること。
2. 調製
(1)
本剤の調製は、本剤の性状及び取扱いについて十分な知識のある医師及び薬剤師が直接又は医師の監督下のもと行うこと。
(2)
本剤は室温(約25℃)で用時調製すること。
(3)
糖類を含む輸液と配合すると分解しやすいので、希釈するときは日局生理食塩液を使用すること。
(4)
溶解後又は希釈後に混濁又は結晶が認められる場合は使用しないこと。
(5)
調製後の溶液は、沈殿することがあるので冷蔵しないこと。また、使用後の残液は廃棄すること。
(6)
溶解後、室温では経時的に安定性が低下するので速やかに投与を開始し、投与量と投与速度を勘案し遅くとも調製から1.5時間以内に投与を終了すること。
3. 投与時
(1)
本剤はアルキル化剤であり反応性が高いことから、他の注射剤との配合又は混注は行わないこと。
(2)
直接末梢静脈に投与すると薬液の漏出による局所の組織障害を起こすおそれがあるので、中心静脈よりゆっくりと投与することが望ましい。
(3)
投与方法は次のいずれか適当な方法で中心静脈内に投与すること。
1)
生理食塩液の管の側管からゆっくりと注入する。なお、溶液が粘稠のため薬液の注入前後に生理食塩液で管を洗い流すこと。
2)
点滴静注する。
その他の注意
1.
アルキル化剤(メルファランを含む)の投与患者に急性白血病が発生したとの報告がある。
2.
マウス(1回0.75及び1.5mg/kgを週3回、6ヵ月間、腹腔内投与)及びラット(1回0.9及び1.8mg/kgを週3回、6ヵ月間、腹腔内投与)におけるがん原性試験で、マウスでは肺腫瘍及びリンパ肉腫の発生、ラットでは腹膜肉腫の発生が報告されている。
薬物動態
1. 血漿中濃度注)
メルファランを多発性骨髄腫又はその他の悪性腫瘍患者に高用量(140~220mg/m2)静脈内投与したときの薬物動態を検討した報告では、いずれの報告においても薬物動態パラメータはほぼ同様の値が認められ、未変化体は血漿中からt1/2α6.5~16分、t1/2β41~83分で速やかに二相性に消失した3)~7)。投与24時間後には血漿中未変化体濃度は定量限界(20ng/mL)以下になった6)。
悪性腫瘍患者にメルファラン200mg/m2もしくは140mg/m2を2~20分間で静脈内投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりである。(表1参照)
造血悪性腫瘍患者4例にメルファラン220mg/m2を単回静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度推移を以下に示す3)。
15歳未満の小児悪性腫瘍患者15例及び15歳以上の成人悪性腫瘍患者11例にメルファラン140mg/m2を静脈内投与したとき