な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]。
2. 授乳婦
授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること[ヒト母乳中へごくわずか移行する。]。
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。
過量投与
1. 症状
(1)
本剤の過量投与により、眠気と嘔吐がもっとも頻繁にみられ、また、torsades de pointes、QT延長、心電図変化、持続性勃起、呼吸停止、痙攣発作、立ちくらみ、ふらつきが発現することが報告されている。
(2)
本剤の過量投与の患者に次の薬剤を併用した症例で死亡例が報告されている。
アルコール、アモバルビタール、クロルジアゼポキシド、メプロバメート又はアルコール・抱水クロラール・ジアゼパム
2. 処置
本剤に対する解毒剤はないので、過量投与の症状があらわれた場合には、胃洗浄、輸液等の適切な処置を行うこと。
適用上の注意
薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]。
その他の注意
1.
海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、本剤を含む複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。
2.
主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報告がある。
3.
電気ショック療法との併用は、経験がないため避けること。
薬物動態
1. 血中濃度1)
健常人にトラゾドン塩酸塩50mg及び100mgを食後に単回経口投与したとき、血漿中トラゾドン濃度は投与3~4時間後に最高値に達し、半減期6~7時間で消失する。
健常人にトラゾドン塩酸塩25mgを1日3回14日間反復経口投与したときの血漿中トラゾドン濃度は投与2日目から定常状態に達する。
2. 代謝、排泄
健常人にトラゾドン塩酸塩を経口投与したときの尿中には、オキソトリアゾロピリジンプロピオン酸(TPA)が最も多く、他に4-ヒドロキシ体のグルクロン酸抱合体、ジヒドロジオール体等が認められる。未変化体は極めて少量である。1)
授乳期婦人(外国)における試験では、血漿中トラゾドン濃度は50mg単回経口投与2時間後に最高になり、その後二相性で減少する。乳汁中トラゾドン濃度は血漿中濃度の約1/10で、血漿中濃度とほぼ並行して推移する。2)
(参考) 吸収・分布・代謝・排泄3)
トラゾドン塩酸塩を経口投与した場合、主として小腸から良好かつ速やかに吸収され(ラット、イヌ)、直ちに各組織に分布したが、消失は速やかであった。また、胎仔への移行は少なかった。血漿中と尿中の主な代謝物はTPA、4-ヒドロキシ体、ジヒドロジオール体、N-オキシド体、m -クロロフェニルピペラジンならびにそれらの抱合体であった。尿中への排泄率は約40%(ラット、イヌ)であり、一部腸肝循環することが示唆された。
臨床成績
精神科及び内科・心療内科における各種うつ病・うつ状態を対象とした二重盲検比較試験及び一般臨床試験が全国131施設において合計1,040例で実施された。
本剤のうつ病・うつ状態に対する有効率は52%(538/1,040)であった。
なお、比較試験の結果、有用性が認められた。4~13)
薬効薬理
1.ラット脳シナプトゾームを用いた実験で、ノルアドレナリンよりもセロトニンに対して強い取り込み阻害作用を示した。14)
2.ラットでのin vivo試験において、ノルアドレナリン取り込み阻害作用はほとんど認められなかった。14)
3.ラット脳を用いたin vitroの実験において、α1及びα2受容体ならびにセロトニン受容体に対して親和性を示す15)が、ドーパミン受容体及びムスカリン性アセチルコリン受容体に対する親和性はほとんどなかった。16)
4.低用量では、セロトニンにより誘発されるマウス首振り行動 (head twitch) を抑制し15)、フェンフルラミンによるラット後肢屈曲反射亢進を抑制した17)ことからセロトニン受容体遮断作用を有すると考えられる。高用量では、それ自体で後肢屈曲反射を亢進したことからセロトニン受容体に対する直接的な刺激作用を有すると考えられる。
5.ラットを用いた実験において、ノルアドレナリンによる昇圧反応を抑制したことから、α受容体遮断作用を有すると考えられる。18)
6.ラットを用いた実験において、25日間の連続投与によりβ受容体への[3H]-ジヒドロアルプレノロール結合量が減少し、β受容体の感受性が低下したと考えられる。19)
7.従来の三環系抗うつ薬と異なり、ラットを用いた抗レセルピン作用18)、マウスを用いたメタンフェタミンの作用増強効果を示さず20)、強制遊泳試験においても副作用が認められず、マウスを用いた抗コリン作用もほとんど認められなかった。20)
8.健常人における定量脳波試験において、100mg投与1時間後にthymoleptic型の脳波変化を示すが、低域α波の増加と速波の減少が特徴的であった。トラゾドン塩酸塩の作用特性は精神賦活作用よりも抗不安・鎮静作用が強いと考えられる。21)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
トラゾドン塩酸塩 (Trazodone Hydrochloride)
化学名
2-[3-[4-(m -Chlorophenyl)-1-piperazinyl]propyl]-s -triazolo[4,3-a]pyridin-3(2H )-one hydrochloride
分子式
C19H22ClN5O・HCl
分子量
408.32
構造式
性状
白色の結晶性の粉末で、においはない。水にやや溶けやすく、メタノール、エタノール(95)又はクロロホルムにやや溶けにくく、アセトニトリルに溶けにくく、無水酢酸に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
取扱い上の注意
着色することがあるので、高温多湿を避けて保存すること。
包装
レスリン錠25:
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