(3)
本剤の投与後は輸血及び血液造血因子の投与等適切な支持療法を行うこと。
3.
感染症が増悪し致命的となることがあるので、重症感染症を合併している患者においては投与しないこと。
4.
本剤の投与に際しては、患者の状態を十分に観察し、水分補給や利尿剤の投与により十分な尿量を確保すること(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)。
5.
本剤の用量規制因子は下痢及び口内炎等の粘膜障害である。本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植の施行に先立ち、口腔内病巣の治療、口腔内及び腸内の殺菌等の適切な処置を行うこと。
6.
本剤を前処置剤として用いた造血幹細胞移植は、下記のことを踏まえ、患者に対する有益性及び危険性を考慮し十分説明した上で行うこと。
(1)
閉経前の女性においては、卵巣機能抑制の結果、一時的又は永久的な無月経及び不妊症に陥る可能性が高いとの報告がある。
(2)
動物試験(ラット及びイヌ)において精子形成抑制作用が認められたとの報告があるので、男性患者においては、一時的又は永久的な不妊症を起こす可能性がある。
(3)
造血幹細胞移植を施行した小児においては、成長障害等が起こる可能性がある。
(4)
本剤は動物試験(ラット及びマウス)において遺伝毒性が認められている。また、本剤を投与した患者において染色体異常が認められている。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
シクロスポリン、タクロリムス
臨床症状・措置方法
本剤投与後に移植片対宿主病(GVHD)予防のためシクロスポリン又はタクロリムスを投与した骨髄移植患者において腎不全等の腎障害が発現したとの報告がある。
機序・危険因子
機序は不明である。
2. 薬剤名等
ナリジクス酸
臨床症状・措置方法
ナリジクス酸服用中の小児患者に本剤(140mg/m2)の投与を開始したところ、その1~2日後に下痢(血便)を発現し死亡(剖検で出血性腸炎を認めた)したとの報告がある。
機序・危険因子
本剤との関連性は言及されていないが、ナリジクス酸による出血性腸炎を増強するおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内臨床試験において、安全性評価対象症例41例中、副作用は全例に合計164件報告され、主な副作用は下痢38例(92.7%)、口内炎・粘膜炎33例(80.5%)、悪心・嘔吐26例(63.4%)、AST(GOT)・ALT(GPT)上昇21例(51.2%)であった。また、成人及び小児における特徴的な副作用は認められなかった。
成人・小児両試験で共通して発現した有害事象は、消化器、肝臓、循環器、泌尿器の障害及び代謝異常であった。Grade3以上の副作用は、下痢4件(9.8%)、口内炎・粘膜炎15件(36.6%)、悪心・嘔吐8件(19.5%)、直腸潰瘍1件(2.4%)、AST(GOT)・ALT(GPT)上昇8件(19.5%)、心筋症1件(2.4%)、不整脈1件(2.4%)及び咽頭炎1件(2.4%)であった。感染症(感染症の疑いを含む)は35例(85.4%)にみられた。試験期間中(移植後3ヵ月以内)、重篤な有害事象が2例(MRSA感染による肺炎及び心筋症(増悪)各1例)にみられ、そのうち1例は死亡した(死因:MRSA腸炎からの肺炎)。また、追跡調査時(観察期間の範囲:69~1462日)に、14例の死亡が確認された。その死因は、原病悪化が10例、ジギタリス中毒による心室細動からの脳の低酸素症及び肺水腫が各1例、他の抗癌剤を前処置剤とした末梢血幹細胞移植の敗血症・播種性血管内凝固症候群による死亡が1例ならびに胆管細胞癌による死亡が1例であった。死因は胆管細胞癌の1例を除き、いずれも本剤との因果関係は「なし」と判定された。また、造血幹細胞移植後に臨床上問題となる合併症として、感染症による出血性膀胱炎が1件(成人・感染症)、溶血性尿毒症症候群が2件(いずれも小児・追跡調査時に判明)確認された。(承認時)
使用成績調査において、安全性評価対象症例389例中、臨床検査値異常を含む副作用は240例(61.7%)報告された。その主なものは、下痢93例(23.9%)、口内炎・粘膜炎等の粘膜障害81例(20.8%)、AST(GOT)・ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害76例(19.5%)、悪心72例(18.5%)、感染症70例(18.0%)、嘔吐53例(13.6%)であった(第7回安全性定期報告時)。
重大な副作用
1. 感染症及び出血等
本剤投与後は重度の骨髄抑制状態となり、その結果感染症(17.9%)及び出血(1.4%)等を引き起こし、致命的となることがある。本剤の投与後は患者の状態を十分に把握し、致命的な感染症の発現を抑制するため、感染症予防のための処置(抗感染症薬の投与等)を行い、必要に応じ無菌管理を行うこと。また、輸血及び血液造血因子の投与等適切な支持療法を行うこと。
2. ショック、アナフィラキシー様症状
ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明)があらわれることがあり、そのような症状に伴ってまれに心停止(頻度不明)が起こることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 胃腸障害
悪心(21.9%)、嘔吐(17.0%)及び下痢(30.5%)、口内炎・粘膜炎等の粘膜障害(26.5%)が高頻度にあらわれ、直腸潰瘍(0.2%)等の症状が起こることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
4. 重篤な肝機能障害、黄疸
AST(GOT)・ALT(GPT)の上昇、ビリルビン値上昇、Al-P上昇、LDHの上昇等を伴う肝機能障害(23.0%)や黄疸(0.2%)、また、黄疸、急激な体重増加、有痛性の肝腫大等を伴う肝中心静脈閉塞(症)(1.9%)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
5. 心筋症、不整脈
心筋症(0.2%)、不整脈(2.1%)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。投与中の場合は投与を中止すること。
6. 間質性肺炎、肺線維症
間質性肺炎(1.9%)、肺線維症(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。投与中の場合は投与を中止すること。
7. 溶血性貧血
溶血性貧血(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。投与中の場合は投与を中止すること。
その他の副作用
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