手術時は投与を中断することが望ましい。手術後の投与再開は患者の状態に応じて判断すること。
相互作用
本剤に関わる主要な代謝反応はエステラーゼによる加水分解であり、加水分解産物はその後グルクロン酸抱合酵素(UGT)によりグルクロン酸抱合体に代謝される。また、本剤はP-糖蛋白の基質である。
[「薬物動態」の項参照]
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
P-糖蛋白阻害剤(エリスロマイシン、シクロスポリン等)
臨床症状・措置方法
ケトコナゾールとの併用によりニンテダニブのAUCが約1.6倍、Cmaxが約1.8倍に上昇した。
P-糖蛋白阻害剤との併用時は観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与の中断、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。
[「薬物動態」の項参照]
機序・危険因子
本剤はP-糖蛋白の基質であり、P-糖蛋白の阻害により本剤の曝露が上昇する可能性がある。
薬剤名等
P-糖蛋白誘導剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン、セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、 セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等)
臨床症状・措置方法
リファンピシンとの併用によりニンテダニブのAUCが約50%、Cmaxが約60%まで減少した。
P-糖蛋白誘導剤との併用により、本剤の作用が減弱する可能性がある。P-糖蛋白誘導作用のない又は少ない薬剤の選択を検討すること。
[「薬物動態」の項参照]
機序・危険因子
本剤はP-糖蛋白の基質であり、P-糖蛋白の誘導により本剤の曝露が低下する可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤の臨床試験は1529例の特発性肺線維症患者を対象に実施された。
第III相国際共同試験の2試験(試験1199.32及び試験1199.34)は1061例を対象に実施され、638例に本剤が投与された。これらの2試験は、本剤150mgの1日2回投与で52週間の無作為化、二重盲検のプラセボ対照により実施された。試験全体での主な副作用は、下痢342例(53.6%)、悪心122例(19.1%)、肝酵素上昇67例(10.5%)及び腹痛65例(10.2%)であった。日本人126例中76例に本剤が投与され、主な副作用は、下痢51例(67.1%)、肝酵素上昇21例(27.6%)、食欲減退11例(14.5%)、悪心9例(11.8%)であった。(承認時)
重大な副作用
1. 重度の下痢(3.3%注1))
重度の下痢があらわれることがある。下痢症状がみられる場合は速やかに補液やロペラミド等の止瀉剤投与を行い、本剤による治療の中断を検討すること。これらの対症療法にもかかわらず持続するような重度の下痢の場合は、本剤による治療を中止し、再投与は行わないこと。
[「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照]
2. 肝機能障害(0.9%注1))
肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を実施し観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中断し、適切な処置を実施すること。
[「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な基本的注意」の項参照]
3. 血栓塞栓症(静脈血栓塞栓(頻度不明)、動脈血栓塞栓(0.5%注1)))
血栓塞栓事象があらわれることがある。血栓塞栓症の徴候がみられる場合は本剤による治療の中断を検討し、適切な処置を行うこと。
4. **血小板減少(頻度不明)
血小板減少があらわれ、出血に至った重篤な症例も報告されているため、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
5. 消化管穿孔(0.2%注1))
消化管穿孔があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行い、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
6. 間質性肺炎(頻度不明)
本剤の癌を対象とした臨床試験で間質性肺炎がみられており、胸部画像検査や呼吸機能検査で急激な悪化等の薬剤性の間質性肺炎の徴候がみられる場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注1)特発性肺線維症を対象とする第III相国際共同試験(試験1199.32及び試験1199.34)の全体集団の発現率に基づく。
その他の副作用
代謝及び栄養障害
10%以上
食欲減退(14.5%)
代謝及び栄養障害
5%以上10%未満
体重減少
血管障害
5%未満
高血圧
胃腸障害
10%以上
下痢(67.1%)、悪心 (11.8%)
胃腸障害
5%以上10%未満
腹痛
胃腸障害
5%未満
嘔吐、便秘
肝胆道系障害
10%以上
肝酵素上昇(AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTP上昇等)(27.6%)
肝胆道系障害
5%未満
高ビリルビン血症
皮膚及び皮下組織障害
5%未満
発疹
神経障害
5%未満
頭痛
その他
5%未満
出血
以上のような副作用があらわれた場合には、必要に応じて減量又は治療の中断を行うなど適切な処置を行うこと。注2)
注2)特発性肺線維症を対象とする第III相国際共同試験(試験1199.32及び試験1199.34)の日本人部分集団の発現率に基づく。
高齢者への投与
高齢者では一般に生理機能が低下しているため慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
[動物(ラット、ウサギ)を用いた生殖発生毒性試験で催奇形性作用及び胚・胎児致死作用が認められている。]
2.
妊娠可能な女性は本剤の投与中及び投与終了の少なくとも3カ月後までは適切な避妊措置をとること。
3.
授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせること。
[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児における本剤の安全性、有効性は確立していない。
[使用経験がない。]
適用上の注意
服用時
1.
服薬を忘れた場合は、次の服薬スケジュール(朝又は夕方)から推奨用量で再開すること。本剤の1日最大用量300mgを超えて服薬しないこと。
2.
カプセ