持続静注併用療法
(1)
通常、成人にはレボホリナートとして1回100mg/m2 (体表面積) を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2 (体表面積) を静脈内注射するとともに、フルオロウラシルとして600mg/m2 (体表面積) を22時間かけて持続静脈内注射する。これを2日間連続して行い、2週間ごとに繰り返す。
(2) 通常、成人にはレボホリナートとして1回250mg/m2 (体表面積) を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして2600mg/m2 (体表面積) を24時間かけて持続静脈内注射する。1週間ごとに6回繰り返した後、2週間休薬する。これを1クールとする。
(3) 通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2 (体表面積) を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2 (体表面積) を静脈内注射するとともに、フルオロウラシルとして2400~3000mg/m2 (体表面積) を46時間かけて持続静脈内注射する。これを2週間ごとに繰り返す。
3. 治癒切除不能な膵癌に対するレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法
通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2 (体表面積) を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2 (体表面積) を静脈内注射するとともに、フルオロウラシルとして2400mg/m2 (体表面積) を46時間かけて持続静脈内注射する。これを2週間ごとに繰り返す。
用法及び用量に関連する使用上の注意
下痢、重篤な口内炎、重篤な白血球減少又は血小板減少のみられた患者では、それらの所見が回復するまで本療法を延期する。本療法を再開する場合には、フルオロウラシルの減量や投与間隔の延長等を考慮する (「重要な基本的注意」の項参照)。
(注射液の調製法)
レボホリナートを投与する際には、25mg製剤の場合は3~5mL、100mg製剤の場合は10~15mLの5%ブドウ糖液、生理食塩液又は電解質維持液等の溶解液を用いてレボホリナートの各バイアル内容物を溶解・採取した後、同一の溶解液を用いて全量を200~500mL (レボホリナートとして約0.75mg/mL) とし点滴静脈内注射する (「適用上の注意」の項参照)。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1. 骨髄抑制のある患者
[骨髄抑制の増悪により重症感染症が併発することがある。]
2. 感染症を合併している患者
[骨髄抑制により感染症が増悪することがある。]
3. 心疾患又はその既往歴のある患者
[症状を増悪又は再発させることがある。]
4. 肝障害のある患者
[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
5. 腎障害のある患者
[副作用が強くあらわれるおそれがある。]
6. 高度に進行した肝転移のある患者
[血小板減少があらわれることがある。]
7.消化管潰瘍又は出血のある患者
[症状を増悪させることがある。]
8. 水痘患者
[致命的な全身障害があらわれるおそれがある。]
9. 高齢者 (「高齢者への投与」の項参照)
10. 他の化学療法、放射線治療を受けている患者
[骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがある。]
11. 前化学療法を受けていた患者
[骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがある。]
重要な基本的注意
1. 本療法の施行に際しては、白血球、血小板の変動に十分注意し、投与当日の白血球数あるいは血小板数等の検査により重篤な骨髄抑制が認められた場合には、骨髄機能が回復するまで投与を延期すること。
2. 下痢のある患者は回復するまで投与を延期すること。
3. 国内では、本療法による手術後の補助化学療法については有効性、安全性は確立していない。
4. 骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、定期的 (特に投与初期は頻回) に臨床検査 (血液検査、肝機能・腎機能検査等) を行うなど、患者の状態を十分観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
5. 重篤な腸炎により脱水症状があらわれることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、脱水症状があらわれた場合には補液等の適切な処置を行うこと。
6. 感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
7. テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後、本療法を施行する場合は、少なくとも7日以上の間隔をあけること (「相互作用」の項参照)。
8. 高齢者に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
9. 生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤
(ティーエスワン)
臨床症状・措置方法
早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後少なくとも7日以内は本療法を施行しないこと。
機序・危険因子
ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇する。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
フェニトイン
臨床症状・措置方法
構音障害、運動失調、意識障害等のフェニトイン中毒があらわれることがある。
機序・危険因子
機序は不明であるがフルオロウラシルがフェニトインの血中濃度を上昇させる。
薬剤名等
ワルファリンカリウム
臨床症状・措置方法
フルオロウラシルがワルファリンカリウムの作用を増強させることがあるので、凝固能の変動に注意すること。
機序・危険因子
機序は不明である。
薬剤名等
他の化学療法、放射線治療
臨床症状・措置方法
血液障害、消化管障害等の副作用が増強することがあるので、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
副作用が相互に増強される。
薬剤名等
葉酸代謝拮抗剤
(スルファメトキサゾール・トリメトプリム等)
臨床症状・措置方法
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