発汗、脱力感、動悸、空腹感、ビタミンB12減少注8)
その他の副作用の注意
注3)頻度は国内及び外国臨床試験の集計結果に基づく。
注4)このような場合には投与を中止すること。
注5)自発報告又は同一成分含有の製剤において認められている副作用報告のため頻度不明
注6)乳酸アシドーシスの初期症状であることもあるので注意すること。
注7)このような場合には投与を中止すること。
注8)長期使用によりビタミンB12の吸収不良があらわれることがある。
高齢者への投与
高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすいので、以下の点に注意すること。
(1)
本剤の投与開始前、投与中は定期的に、特に慎重な経過観察が必要な場合にはより頻回に腎機能や肝機能を確認するなど十分に観察しながら慎重に投与すること。[メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄される(【薬物動態】の項参照)。また、肝機能の低下により乳酸の代謝能が低下する。]
(2)
腎機能や脱水症状等患者の状態に十分注意して投与の中止を検討すること。特に75歳以上の高齢者では、メトホルミンによる乳酸アシドーシスが多く報告されており、予後も不良であることが多いため、本剤投与の適否をより慎重に判断すること。
(3)
血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、年齢によっては実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFR等も考慮して、慎重に患者の状態を観察すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[メトホルミンでは、動物試験(ラット、ウサギ)で胎児への移行が認められており、一部の動物試験(ラット)で催奇形作用が報告されている。1)また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい。アログリプチンでは、動物試験(ラット)において、胎盤通過が報告されている。]
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[メトホルミン及びアログリプチンでは、動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
症状
メトホルミンにより乳酸アシドーシスが起こることがある。(「副作用」の乳酸アシドーシスの項参照)
処置
アシドーシスの補正(炭酸水素ナトリウム静注等)、輸液(強制利尿)、血液透析等の適切な処置を行う。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 単回投与(生物学的同等性)2)
健康成人(32例)にアログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg配合錠とアログリプチン25mg及びメトホルミン塩酸塩として500mg(単剤併用)をクロスオーバー法により絶食下で単回経口投与した時のアログリプチン及びメトホルミンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは下図及び表1,2のとおりであり、生物学的同等性が認められた。
(2) 食事の影響3)
健康成人(12例)にアログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg配合錠を絶食下又は朝食開始30分後に単回投与した時、アログリプチンのCmax、AUC0-infは絶食下投与と比較して食後投与でそれぞれ12.5%増加、1.4%減少し、メトホルミンのCmax、AUC0-infは絶食下投与と比較して食後投与でそれぞれ14.1%減少、1.8%減少した。
2. 蛋白結合率4)
[14C]アログリプチンを0.01~10μg/mLの濃度でヒト血漿に添加した時の蛋白結合率は、28.2~38.4%であった(in vitro )。
3. 代謝5,6,7)
アログリプチンはCYP2D6によりN-脱メチル化体の活性代謝物M-Iに、また、N-アセチル化により非活性代謝物M-IIに代謝されるが、M-I及びM-IIのAUCはそれぞれ血漿中アログリプチンの1%未満及び6%未満であり、いずれも微量代謝物であった。アログリプチンはCYP3A4/5に対して弱い阻害作用と弱い誘導作用を示したが、CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6を阻害せず、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19 を誘導しなかった(in vitro )。
メトホルミンはヒト体内では代謝されず、また、チトクロームP450 1A2、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4に影響を与えなかった(in vitro )。
4. 尿中排泄3)
健康成人(12例)にアログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg配合錠を絶食下又は朝食開始30分後に単回投与した時、投与72時間後までのアログリプチンの累積尿中排泄率は、それぞれ73.7%、74.5%であった。また、投与48時間後までのメトホルミンの累積尿中排泄率は、それぞれ50.6%、50.1%であった。
5. 加齢の影響8)
健康な高齢者(65歳以上85歳以下、8例)及び非高齢者(20歳以上35歳以下、8例)にアログリプチンとして25mgを単回投与した時、高齢者のCmax、AUCは、非高齢者と比較してそれぞれ47.7%、30.3%の増加であった。
6. 腎障害時の動態(外国人データ)9)
腎機能の程度が異なる成人にアログリプチンとして50mgを単回投与した時のAUCは、年齢と性別を対応させた健康成人と比較して、中等度腎機能障害者(Ccr=30~50mL/min、6例)では2.1倍、高度腎機能障害者(Ccr<30mL/min、6例)では3.2倍、末期腎不全罹患者(6例)では3.8倍増加した。また、アログリプチンは血液透析3時間後に投与量の7.2%が除去された。
(本剤はアログリプチンとして25mg/メトホルミン塩酸塩500mgの配合剤である。)
7. 肝障害時の動態(外国人データ)10)
中等度肝機能障害者(Child-Pugh※スコアが7~9、8例)及び健康成人(8例)にアログリプチンとして25mgを単回投与した時、中等度肝機能障害者のCmax、AUCは、健康成人と比較してそれぞれ7.7%、10.1%の減少であった。
※:ビリルビン、アルブミン、PT又はINR、肝性脳症、