膿痂疹(膿痂疹性湿疹を含む)、丹毒、蜂巣炎、リンパ管(節)炎、ひょう疽、化膿性爪囲(廓)炎、皮下膿瘍、汗腺炎、集簇性ざ瘡、感染性粉瘤、慢性膿皮症、肛門周囲膿瘍]に対する有効率は86.8%(531/612)であった。
また、浅在性化膿性疾患を対象とした二重盲検比較試験により、本剤の有用性が認められている。
(2) 外科・整形外科領域感染症
ブドウ球菌属等による乳腺炎に対する有効率は86.2%(25/29)であった。
(3) 呼吸器感染症
インフルエンザ菌、レンサ球菌属、肺炎球菌、ブドウ球菌属、クレブシエラ属、ブランハメラ・カタラーリス等による呼吸器感染症[咽喉頭炎(咽喉膿瘍)、急性気管支炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍)、慢性気管支炎、気管支拡張症(感染時)、慢性呼吸器疾患の二次感染]に対する有効率は80.0%(512/640)であった。
また、急性陰窩性扁桃炎、急性気管支炎及び慢性気道感染症を対象とした二重盲検比較試験により、本剤の有用性が認められている。
(4) 尿路感染症
大腸菌、ブドウ球菌属、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、レンサ球菌属等による単純性膀胱炎に対する有効率は95.9%(497/518)であった。
大腸菌、ブドウ球菌属等による前立腺炎及び副睾丸炎に対する有効率は各々58.3%(28/48)及び81.0%(17/21)であった。
淋菌性尿道炎に対する有効率は97.6%(123/126)であった。
また、急性単純性膀胱炎を対象とした二重盲検比較試験により、本剤の有用性が認められている。
(5) 眼科領域感染症
ブドウ球菌属等による眼科領域感染症(麦粒腫、瞼板腺炎)に対する有効率は84.4%(65/77)であった。
(6) 耳鼻科領域感染症
ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、クレブシエラ属、インフルエンザ菌等による耳鼻科領域感染症[外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎(耳下腺炎、顎下腺炎、舌下腺炎)]に対する有効率は74.1%(232/313)であった。
また、化膿性中耳炎を対象とした二重盲検比較試験により、本剤の有用性が認められている。
(7) 歯科口腔外科領域感染症
レンサ球菌属、ブドウ球菌属等による歯科口腔外科領域感染症(歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎)に対する有効率は85.8%(308/359)であった。
また、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎を対象とした二重盲検比較試験により、本剤の有用性が認められている。
薬効薬理
1. 抗菌作用
(1)
本剤は、吸収過程で腸管壁のエステラーゼにより脱エステル化され、生体内ではセフロキシムとして抗菌作用を発揮する。
セフロキシムはグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広い抗菌スペクトルを有し、レンサ球菌属、肺炎球菌、インフルエンザ菌、ペニシリナーゼ産生株を含む淋菌、ペプトストレプトコッカス属、プロピオニバクテリウム・アクネスに対しては特に強い抗菌力を示し、更に、ブドウ球菌属(メチシリン・セフェム耐性株を除く)、大腸菌、クレブシエラ属、ブランハメラ・カタラーリス、プロテウス・ミラビリスに対し優れた抗菌力を示す。4)6)16)~20)
(2)
セフロキシムはβ-lactamaseに対する抵抗性が強く、β-lactamase産生菌に対しても抗菌力を示す。21)
(3)
セフロキシムはマクロファージと協力的食菌・殺菌作用を示す。20)
2. 作用機序
細菌細胞壁の合成阻害(ペニシリン結合タンパクに対する結合親和性が高い)による殺菌作用を示す。20)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
セフロキシム アキセチル(Cefuroxime Axetil)
略号
CXM-AX
化学名
(1RS)-1-Acetoxyethyl(6R,7R)-3-carbamoyloxymethyl-7-[(Z)-2-furan-2-yl-2-(methoxyimino)acetylamino]-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate
分子式
C20H22N4O10S
分子量
510.47
構造式
性状
白色~黄白色の無晶性の粉末である。
ジメチルスルホキシドに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくく、水に極めて溶けにくい。
包装
オラセフ錠250mg(力価):100錠(両面アルミニウムPTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
小西孝之助ほか:J Antimicrob Chemother 1993;31(3):413-420
2)
小山 優ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1986;34(S-5):354-368
3)
第33回日本化学療法学会西日本支部総会,新薬シンポジウムI, Cefuroxime axetil(SN 407),大阪 1985
4)
久木田淳ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1986;34(S-5):967-1005
5)
中村 孝ほか:Jpn J Antibiot 1987;40(2):340-348
6)
重野芳輝ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1986;34(S-5):606-622
7)
島田純一郎ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1986;34(S-5):1056-1060
8)
鈴木恵三ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1986;34(S-5):717-735
9)
由良二郎ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1986;34(S-5):928-945
10)
大石正夫ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1986;34(S-5):1096-1103
11)
矢田浩二ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1986;34(S-5):1104-1107
12)
山本 忠ほか:歯科薬物療法 1989;8(3):246-254
13)
森島 丘ほか:歯科薬物療法 1989;8(3):267-273
14)
武田憲三ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1986;34(S-5):343-353
15)
日本化学療法学会雑誌(Chemotherapy)1986;34(S-5):Cefuroxime axetil 論文特集号を中心に集計
16)
五島瑳智子ほか:日本化学療法学会雑誌(Chemoth