慮すること。
4.
下痢及び皮膚の副作用があらわれた場合には、患者の状態に応じて休薬あるいは対症療法を施すなど適切な処置を行うこと。
5.
無酸症など著しい低胃酸状態が持続する状態では、本剤の血中濃度が低下し作用が減弱するおそれがある。(「相互作用」及び「有効成分に関する理化学的知見」の項参照)
6.
臨床試験において無力症が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意するよう指導すること。
7.
非臨床試験において本剤によるQT延長の可能性が示唆されていることから、必要に応じて心電図検査を実施すること。(「その他の注意」の項参照)
相互作用
相互作用の概略
in vitro試験において、本薬は薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝されることが示唆されているので、本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意して投与すること。CYP3A4活性を阻害する薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、CYP3A4誘導剤との併用により、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。一方、本薬はin vitro試験においてCYP2D6を阻害することが示唆されているので、CYP2D6により代謝される他の薬剤の血中濃度を増加させる可能性がある(本剤とメトプロロールの併用では、メトプロロールのAUCは平均で35%増加した)。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
CYP3A4誘導剤
フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン、バルビツール酸系薬物、セイヨウオトギリソウ(St.John'sWort、セント?ジョーンズ?ワート)含有食品等
臨床症状?措置方法
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。本剤とリファンピシンを併用したとき、本剤のAUCが単独投与時の約17%に減少した。
機序?危険因子
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記薬剤のようなCYP3A4誘導剤との併用で、本剤の代謝が亢進し血中濃度が低下する可能性がある。
2. 薬剤名等
CYP3A4阻害剤
アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール等)、マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン等)、リトナビル、インジナビル硫酸塩エタノール付加物、ジルチアゼム塩酸塩、ベラパミル塩酸塩等
グレープフルーツジュース
臨床症状?措置方法
本剤の血中濃度が増加し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがある。本剤とイトラコナゾールを併用したとき、本剤のAUCが約80%増加した。
機序?危険因子
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記のようなCYP3A4阻害剤等との併用で、本剤の代謝が阻害され血中濃度が増加する可能性がある。
3. 薬剤名等
プロトンポンプ阻害剤
オメプラゾール等
H2-受容体拮抗剤
ラニチジン塩酸塩等
臨床症状?措置方法
著しい低胃酸状態が持続することにより、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。制酸剤を用いて約6~7時間にわたり胃内pHを5以上で維持したところ、本剤のAUCが約50%減少した。
機序?危険因子
本剤の溶解性がpHに依存することから、胃内pHが持続的に上昇した条件下において、本剤の吸収が低下し、作用が減弱するおそれがある。
4. 薬剤名等
ワルファリン
臨床症状?措置方法
INR上昇や出血があらわれたとの報告がある。本剤とワルファリンを併用する場合には、定期的にプロトロンビン時間又はINRのモニターを行うこと。
機序?危険因子
機序は不明。
副作用
副作用等発現状況の概要
特別調査「イレッサ錠250プロスペクティブ調査」1)において、安全性評価対象症例3,322例中1,867例(56.2%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹568例(17.1%)、肝機能異常369例(11.1%)、下痢367例(11.1%)、急性肺障害?間質性肺炎は193例(5.8%)等であった。急性肺障害?間質性肺炎193例のうち、75例が死亡し、安全性評価対象症例数3,322例中の死亡率は2.3%、急性肺障害?間質性肺炎発現症例数193例中の死亡率は38.9%であった。(2004年8月報告時)
国内第III相製造販売後臨床試験(V-15-32)2)において、安全性評価対象症例244例中233例(95.5%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹158例(64.8%)、下痢113例(46.3%)、皮膚乾燥84例(34.4%)等であった。なお、急性肺障害?間質性肺炎は13例(5.3%)で、そのうち死亡例は3例であった。日本人114例を含むアジア国際共同第III相臨床試験(IPASS)3)において、安全性評価対象症例607例中538例(88.6%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹?ざ瘡394例(64.9%)、下痢254例(41.8%)、皮膚乾燥143例(23.6%)等であった。なお、急性肺障害?間質性肺炎は8例(1.3%)で、そのうち死亡例は3例であった。(効能?効果の一部変更承認時)
重大な副作用
1.
急性肺障害、間質性肺炎(1~10%未満):急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
重度の下痢(1%未満):重度の下痢があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、速やかに適切な処置を行うこと。
3.
脱水(1%未満):下痢、嘔気、嘔吐又は食欲不振に伴う脱水があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、速やかに適切な処置を行うこと。なお、脱水により腎不全に至った症例も報告されていることから、必要に応じて電解質や腎機能検査を行うこと。
4.
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(1%未満)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(1%未満)、多形紅斑(1%未満):中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5.
肝炎(1%未満)、肝機能障害(10%以上)、黄疸(1%未満)、肝不全(1%未満):肝炎、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH、γ-GTP、Al-P、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあり、肝不全に至った症例も報告されているので、本剤投与中は1~2ヵ月に1回、あるいは患者の状態に応じて肝機能検査を実施するなど観察を十分に行い、重度の肝機能検査値変動が認められた場合には、