嘔吐,神経過敏等の症状があらわれることがある.〕
2.
本剤投与中は授乳を避けさせること.〔ヒト母乳中に移行し,乳児に神経過敏を起こすことがある.〕
小児等への投与
小児には慎重に投与すること.(「慎重投与」の項参照)
過量投与
1.
症状
テオフィリン血中濃度が高値になると,血中濃度の上昇に伴い,消化器症状(特に悪心,嘔吐)や精神神経症状(頭痛,不眠,不安,興奮,痙攣,せん妄,意識障害,昏睡等),心・血管症状(頻脈,心室頻拍,心房細動,血圧低下等),低カリウム血症その他の電解質異常,呼吸促進,横紋筋融解症等の中毒症状が発現しやすくなる.なお,軽微な症状から順次発現することなしに重篤な症状が発現することがある.
2.
処置
過量投与時の処置には,テオフィリンの除去,出現している中毒症状に対する対症療法がある.消化管内に残存するテオフィリンの除去として催吐,胃洗浄,下剤の投与,活性炭の経口投与等があり,血中テオフィリンの除去として輸液による排泄促進,活性炭の経口投与,活性炭を吸着剤とした血液灌流,血液透析等がある.なお,テオフィリン血中濃度が低下しても,組織に分布したテオフィリンにより血中濃度が再度上昇することがある.
1)
痙攣,不整脈の発現がない場合
1.
服用後短時間しか経過していないと思われる場合,嘔吐を起こさせることが有効である.服用後1時間以内の患者では特に有効である.
2.
下剤を投与する.ただし,体液,電解質の異常に注意すること.
3.
活性炭を反復投与し,テオフィリン血中濃度をモニターする.
4.
痙攣の発現が予測されるようなら,フェノバルビタール等の投与を考慮する.ただし,フェノバルビタールは呼吸抑制作用を示すことがあるので,使用に際しては注意すること.
2)
痙攣の発現がある場合
1.
気道を確保する.
2.
酸素を供給する.
3.
痙攣治療のためにジアゼパム静注等を行う.痙攣がおさまらない場合には全身麻酔薬投与を考慮する.
4.
バイタルサインをモニターする.血圧の維持及び十分な水分補給を行う.
3)
痙攣後に昏睡が残った場合
1.
気道を確保し,酸素吸入を行う.
2.
大口径の胃洗浄チューブを通じて下剤及び活性炭の投与を行う.
3.
テオフィリン血中濃度が低下するまでICU管理を継続し,十分な水分補給を続ける.活性炭を反復経口投与しても血中濃度が下がらない場合には,活性炭による血液灌流,血液透析も考慮する.
4)
不整脈の発現がある場合
1.
不整脈治療としてペーシング,直流除細動,抗不整脈薬の投与等適切な処置を行う.
2.
バイタルサインをモニターする.血圧の維持及び十分な水分補給を行う.また,電解質異常がある場合はその補正を行う.
適用上の注意
薬剤交付時
(1)
本剤は徐放性製剤なので,かまずに服用するよう指導すること.
(2)
水とともに経口投与するよう指導すること.
(3)
本剤を飲みにくい場合には,割線で2分して服用するよう指導すること.
(4)
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること.〔PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている.〕
薬物動態
1. 吸収20,21)
(1)
健康成人にテオドール錠100mg×2錠(テオフィリンとして200mg)を単回経口投与した場合の薬物動態パラメータは下表のとおりである.(薬物動態の表(1)参照)
(2)
健康成人にテオドール錠100mg×2錠(テオフィリンとして200mg)を12時間ごとに9回連続投与した場合のテオフィリン血中濃度は,下図のように6回目投与後ほぼ定常状態に達した.
(3)
健康高齢者及び健康非高齢者にテオドール錠100mg×2錠(テオフィリンとして200mg)を12時間ごとに9回連続経口投与した場合の薬物動態パラメータは下表のとおりである.(薬物動態の表(2)参照)
2. 代謝20,22)
健康成人にテオドール錠100mg×2錠(テオフィリンとして200mg)を経口投与した場合,テオフィリンは主として肝臓で代謝され,尿中代謝物は1,3-dimethyluric acid,1-methyluric acid及び3-methylxanthineが同定された.
テオフィリンの代謝にはP450の分子種のうちCYP1A2が主たる分子種として,3A4や2E1がマイナーな分子種として関与することが示唆されている.
3. 排泄20)
テオドール錠100mg×2錠(テオフィリンとして200mg)を投与後48時間に健康成人の尿中に排泄される未変化のテオフィリンは投与量の約8%,代謝物は約80%であった.
<参考>23)
ラットに14C-theophyllineを経口投与した場合,テオフィリン及びその代謝物が特異的に分布,蓄積する臓器は認められなかった.
薬物動態の表
(1)薬物動態パラメータ(単回経口投与)
健康成人(n=6)
Cmax(μg/mL) 3.0±0.5
tmax(h) 7.2±1.6
AUC0→∞(μg・h/mL) 53.9±10.8
(2)薬物動態パラメータ(連続経口投与)
健康非高齢者(n=16) 健康高齢者(n=16)
Cmax(μg/mL) 8.7±2.2 10.3±2.3
tmax(h) 3.9±1.4 4.8±1.7
AUC96→108(μg・h/mL) 93.1±25.5 111.6±24.7
臨床成績
(1日2回投与)2~10)
気管支喘息患者を対象に実施された二重盲検比較試験を含む国内臨床症例394例中,脱落,除外例を除いた348例のうち,改善以上と評価されたのは232例(66.7%)であった.
(1日1回投与)15~19)
1日2回分割投与法との気管支喘息患者を対象に実施された多施設二重盲検交叉比較試験の概要は下表のとおりで