ピシリン耐性菌を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
2.
**高度の腎障害のある成人患者に本剤を投与する場合は、本剤の投与量及び投与間隔を調節する等、慎重に投与すること[「慎重投与」の項参照]。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
2.
本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者
3.
**高度の腎障害のある患者[「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照]
4.
経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがあるので観察を十分に行うこと。]
5.
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
6.
1歳以下の小児[「小児等への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1.
本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
(1)
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
(2)
投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
(3)
投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
2.
本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、腎機能、血液等の検査を行うことが望ましい。
3.
1歳以下の小児に投与する場合には、下痢・軟便の発生に注意し、慎重に投与すること[「小児等への投与」の項参照]。
相互作用
スルバクタム、アンピシリンともほとんど代謝されず、未変化体として主に尿中に排泄される。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
アロプリノール
臨床症状・措置方法
アンピシリンとの併用により、発疹の発現が増加するとの報告がある。
機序・危険因子
機序不明だが薬剤性の発疹がアロプリノールとアンピシリンを併用していた67例の入院患者のうち22.4%に認められ、アンピシリン単独服用例の1,257例では7.5%に認められた。
またアンピシリンを併用しないアロプリノール服用患者283例のうち2.1%が薬剤性発疹を経験したという報告がある。
薬剤名等
抗凝血薬
臨床症状・措置方法
ペニシリン注射液が血小板の凝集・凝固に影響を与え、出血傾向を増強するおそれがある。
機序・危険因子
抗凝血作用とペニシリン注射液の血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される可能性がある。
薬剤名等
経口避妊薬
臨床症状・措置方法
アンピシリンとの併用により避妊効果が減弱したとの報告がある。
機序・危険因子
本剤は腸内細菌叢を変化させる可能性があり、それにより経口避妊薬の腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられている。
薬剤名等
メトトレキサート
臨床症状・措置方法
ペニシリンとの併用により、メトトレキサートのクリアランスが減少するおそれがある。
機序・危険因子
メトトレキサートの尿細管分泌が阻害され、体内からの消失が遅延し、メトトレキサートの毒性が増強する可能性がある。
薬剤名等
プロベネシド
臨床症状・措置方法
併用により、本剤の血中濃度上昇、血中濃度半減期の延長、本剤の持つ毒性リスクの上昇のおそれがある。
機序・危険因子
プロベネシドの尿細管分泌抑制作用により本剤の排泄が遅延するおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
(頻度不明)
1. ショック、アナフィラキシー
ショック、アナフィラキシーを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 血液障害
無顆粒球症、貧血(溶血性貧血を含む)、血小板減少等の重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
4. 急性腎不全、間質性腎炎
急性腎不全、間質性腎炎等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5. 偽膜性大腸炎
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
6. 肝機能障害
肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
7. 間質性肺炎、好酸球性肺炎
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
その他の副作用
次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
皮膚注2)
頻度不明
発疹、そう痒感、蕁麻疹、多形紅斑
血液注3)
頻度不明
好酸球増多、白血球減少
肝臓
頻度不明
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、LAP上昇、ビリルビン値上昇、γ-GTP上昇、黄疸
消化器
頻度不明
下痢・軟便、悪心・嘔吐、腹部不快感、黒毛舌
中枢神経
頻度不明
痙攣等の神経症状
菌交代
頻度不明
口内炎、カンジダ症
その他
頻度不明
発熱、ビタミンK欠乏症