処置を行うこと。
7) 間質性肺炎、好酸球性肺炎:
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
(2) その他の副作用
次のような副作用が認められた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
種類/頻度 頻度不明
皮膚注3) 発疹、そう痒感、蕁麻疹、多形紅斑
血液注4) 好酸球増多、白血球減少
肝臓 AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、LAP上昇、ビリルビン値上昇、γ-GTP上昇、黄疸
消化器 下痢・軟便、悪心・嘔吐、腹部不快感、黒毛舌
中枢神経 痙攣等の神経症状
菌交代 口内炎、カンジダ症
その他 発熱、ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
注3) 発現した場合には投与を中止すること。
注4) 定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5. 高齢者への投与
高齢者には、次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
(1) 高齢者では一般的に生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
(2) 高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1) アンピシリンの大量(3,000mg/kg/日)投与でラットに催奇形性が報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(2) 母乳中へ移行することが報告されているので、授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。
7. 小児等への投与
(1) 低出生体重児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
(2) 新生児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
(3) 1歳以下の小児では下痢・軟便の発現頻度が高いので、慎重に投与すること。
8. 臨床検査結果に及ぼす影響
(1) 本剤の投与により、ベネディクト試薬、あるいはフェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
(2) 妊婦へのアンピシリン投与により、総結合型エストリオール、エストリオール-グルクロニド、結合型エストロン、エストラジオールの一時的な血清中濃度の減少を呈することがあるので注意すること。
9. 過量投与
β-ラクタム系抗生物質製剤の脳脊髄液中濃度が高くなると、痙攣等を含む神経系の副作用を引き起こすことが考えられるので、腎障害患者に過量投与された場合は血液透析を用いて体内から除去すること。
10. 適用上の注意
(1) 調製時:
溶解後は速やかに使用すること(特にグルコース、フルクトース、キシリトール、マルトース水和物等の糖質含有溶解液に溶解した場合にはアンピシリンの力価が低下するので、速やかに使用し、保存しないこと)
(2) 投与時:
静脈内投与により、血管痛、血栓又は静脈炎を起こすことがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意し、注射速度をできるだけ遅くすること。
(3) 配合変化としてアンピシリンとアミノグリコシド系抗生物質製剤(ジベカシン硫酸塩、アルベカシン硫酸塩等)を混合すると力価が低下したとの報告がある。
併用に際しては投与部位を変える及び1時間以上投与間隔をあけるなど投与方法に注意すること。
薬効薬理
アンピシリンは、グラム陽性菌に加えて、大腸菌、インフルエンザ菌などのグラム陰性桿菌にも作用する。作用機序は細菌の細胞壁合成阻害であって、殺菌的に作用する1)。
スルバクタムは、β-ラクタマーゼのIc、II、III及びIVを強く、β-ラクタマーゼのIa及びVを軽度に不可逆的に不活性化し、これらの酵素によるアンピシリンの加水分解を防ぐことにより、アンピシリンに耐性を示すβ-ラクタマーゼ産生菌に対しても感性菌に対すると同様な抗菌力を示す効果が得られる。2)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
スルバクタムナトリウム(Sulbactam Sodium)
略号
SBT
化学名
Monosodium(2S,5R)-3,3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-
azabicyclo[3.2.0]heptane-2-carboxylate 4,4-dioxide
構造式
分子式
C8H10NNaO5S
分子量
255.22
性状
スルバクタムナトリウムは、白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。水に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
一般名
アンピシリンナトリウム(Ampicillin Sodium)
略号
ABPC
化学名
Monosodium(2S,5R,6R)-6-[(2R)-2-amino-2-phenylacetylamino]-3,3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo[3.2.0]heptane-2-carboxylate
構造式
分子式
C16H18N3NaO4S
分子量
371.39
性状
アンピシリンナトリウムは、白色~淡黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくい。
取扱い上の注意
「安定性試験」3)
ユナスピン静注用0.75g及び1.5g
最終包装製品を用いた長期保存試験(25℃、3年間)の結果、外観及び含量等は規格の範囲内であり、通常の市場流通下において3年間安定であることが確認された。
ユナスピン静注用3g
最終包装製品を用いた加速試験(40℃、75%RH、6ヶ月)の結果、外観及び含量等は規格の範囲内であり、通常の市場流通下において3年間安定であることが推測された。
包装
ユナスピン静注用0.75g:10バイアル
ユナスピン静注用1.5g:10バイアル
ユナスピン静注用3g:10バイアル
※主要文献
1)第十七改正日本薬局方解説書:C-447 廣川書店(