24 時間かけて中心静脈内に持続注入する。
なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
本剤にはナトリウムイオン約14mEq/L、クロルイオン約94mEq/L が含まれているので、大量投与時又は電解質液を併用する場合には電解質バランスに注意すること。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
高度のアシドーシスのある患者[症状が悪化するおそれがある。]
2.
うっ血性心不全のある患者[循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。]
副作用
副作用等発現状況の概要
慢性肝障害患者では、総症例3,324 例中、副作用が報告されたのは、35 例(1.1%)で、発現件数は52 件であった(再評価終了時、1998 年3 月)。
[参考]急性肝障害患者への効能・効果は再評価結果で削除された(1998 年3 月)。急性肝障害患者では、総症例330 例中、発熱が1 例(0.3%)報告された。
重大な副作用
1. 低血糖
(頻度不明):
低血糖があらわれることがあるので1,2)、発現時には速やかにブドウ糖注射液の投与を行うこと。
また、このような患者では栄養管理を十分に行うことが望ましい。
2. 高アンモニア血症
(頻度不明):
高アンモニア血症があらわれたとの報告がある3)。
本剤適用時に本症が発現し遷延する場合には、本剤を含む窒素源の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
過敏症
(頻度不明)
〔発疹等〕
消化器
(0.1 ~5%未満)
悪心・嘔吐等
循環器
(頻度不明)
〔胸部不快感、動悸等〕
代謝異常
(頻度不明)
一過性の血中アンモニア値の上昇
大量・急速投与
(頻度不明)
〔アシドーシス〕
その他
(頻度不明)
〔悪寒、発熱〕
その他
(0.1%未満)
血管痛、頭痛
〔〕:総合アミノ酸製剤でみられる副作用(第一次再評価結果その15、1979年)
その他の副作用の注意
副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
窒素源の経口摂取に加えて本剤を含むアミノ酸製剤を投与したところ(窒素源の総投与量160g)、高アンモニア血症を呈したとの報告がある3)(重大な副作用の項参照)。
適用上の注意
1. 投与前:
(1)
投与に際しては、感染に対する配慮をすること(患者の皮膚や器具消毒)。
(2)
寒冷期には体温程度に温めて使用すること。
(3)
開封後直ちに使用し、残液は決して使用しないこと。
2. 投与時:
(1)
ゆっくり静脈内に投与すること。
(2)
血管痛があらわれた場合には、注射部位を変更すること。また場合によっては、投与を中止すること。
薬物動態
(参考)ラット
14C‐アミノ酸を含む本剤をラットの静脈内に投与した結果、放射能は速やかに組織内に移行してほぼ全身に分布し、6 時間後には50 ~ 70%が蛋白画分に取り込まれた。
組織内蛋白画分に取り込まれた全アミノ酸由来の放射能に対する分岐鎖アミノ酸由来の放射能の比率は、脳において最も高い値を示した。
また、72 時間後までの投与量に対する排泄率は、呼気中41.7%、尿中5.9%、糞中2.6%であった4)。
臨床成績
肝性脳症を伴う慢性肝障害患者に本剤を投与し、その臨床効果を検討した。その結果、意識レベルの指標となる昏睡度は速やかに改善され、血中アンモニア濃度の低下が認められた。また、書字・描図試験、はばたき振戦、Number Connection Test、指南力試験、計算力試験、脳波所見等の精神・神経検査において、改善が認められた5,6)。
肝性脳症に対する有効率は次のとおりであった5 ~ 14)。
疾患名
肝硬変脳症
有効率※
73.3%(198/270)
疾患名
原発性肝癌脳症
有効率※
62.2%(56/90)
疾患名
その他の肝性脳症
有効率※
62.5%(5/8)
合計
有効率※
70.4%(259/368)
※意識水準低下の消失や明らかな改善を認めた例、あるいは昏睡度(Davidson 分類)がI 度以上改善された例を有効例とした。
薬効薬理
1.
肝性脳症モデルとして用いた門脈-下大静脈吻合ラットにおいて、血漿中及び脳内のフィッシャー比が是正され、脳内モノアミン代謝異常が正常化された。また、睡眠覚醒リズム異常も改善された15)。
2.
アンモニアを負荷した門脈-下大静脈吻合ラットにおいて、血漿中及び脳内のフィッシャー比が是正され、血中アンモニア値の低下、脳内モノアミン代謝並びに脳波の改善が認められた16)。
取扱い上の注意
1.
製品の安定性を保持するため脱酸素剤を封入しているので、ソフトバッグを包んでいる外袋は使用時まで開封しないこと。
2.
温度変動により結晶が析出することがあるが、この場合は常温(15 ~ 25℃)付近で振とうすることにより溶解して使用できる。
3.
外袋が破損したものや、内容液に着色や振とうで溶解しない結晶が認められるものは使用しないこと。
4.
注射針はゴム栓の○印にまっすぐ刺すこと。斜めに刺すと注射針が容器頸部を貫通し、液漏れの原因となることがある。
5.
ソフトバッグ製品は、原則として連結管を用いたタンデム方式による投与はできない。
6.
包装内に水滴が認められるものや内容液が混濁しているものは使用しないこと。
7.
容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
包装
アミノレバン点滴静注
200mL 20 袋 ソフトバッグ入り
500mL 20 袋 ソフトバッグ入り
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
植村一幸,他:日本消化器病学会雑誌 1993;90(9):2127-2131
2)
松岡正敬,他:北里医学 1993;23:503-504
3)
宮本俊八,他:JJPEN 1996;18(10):819-824
4)
新宮平三,他:医薬品研究 19