会:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン20121)
(1) テオフィリン1回投与量の目安(通常の用法は、1日2回投与とされている)
年齢:6ヵ月未満
テオフィリン1回投与量の目安:原則として投与しない
年齢:6ヵ月~1歳未満
テオフィリン1回投与量の目安:3mg/kg
年齢:1歳~2歳未満
テオフィリン1回投与量の目安:4~5mg/kg
年齢:2歳~15歳
テオフィリン1回投与量の目安:4~5mg/kg
(2) 注意すべき投与対象等
2歳以上の重症持続型の患児を除き、他剤で効果不十分な場合等に、患児の状態(発熱、痙攣等)等を十分に観察するなど適用を慎重に検討し投与する。なお、2歳未満の熱性痙攣やてんかん等のけいれん性疾患のある児には原則として推奨されない。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
てんかんの患者[中枢刺激作用によって発作を起こすことがある。]
2.
甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進に伴う代謝亢進、カテコールアミンの作用を増強することがある。]
3.
急性腎炎の患者[腎臓に対する負荷を高め、尿蛋白が増加するおそれがある。]
4.
うっ血性心不全の患者[テオフィリンクリアランスが低下し、テオフィリン血中濃度が上昇することがあるので、血中濃度測定等の結果により減量すること。]
5.
肝障害のある患者[テオフィリンクリアランスが低下し、テオフィリン血中濃度が上昇することがあるので、血中濃度測定等の結果により減量すること。]
6.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
7.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、産婦、授乳婦(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
8.
小児
(1)
小児、特に乳幼児は成人に比べて痙攣を惹起しやすく、また、テオフィリンクリアランスが変動しやすいのでテオフィリン血中濃度のモニタリングを行うなど慎重に投与すること。なお、次の小児にはより慎重に投与すること。
1)
てんかん及び痙攣の既往歴のある小児[痙攣を誘発することがある。]
2)
発熱している小児[テオフィリン血中濃度の上昇や痙攣等の症状があらわれることがある。]
3)
6ヵ月未満の乳児[乳児期にはテオフィリンクリアランスが一定していない。6ヵ月未満の乳児ではテオフィリンクリアランスが低く、テオフィリン血中濃度が上昇することがある。]
(2)
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
重要な基本的注意
1.
テオフィリンによる副作用の発現は、テオフィリン血中濃度の上昇に起因する場合が多いことから、血中濃度のモニタリングを適切に行い、患者個々人に適した投与計画を設定することが望ましい。
2.
副作用が発現した場合には減量又は投与を中止し、テオフィリン血中濃度を測定することが望ましい。
3.
小児、特に乳幼児に投与する場合には、保護者等に対し、発熱時には一時減量あるいは中止するなどの対応を、あらかじめ指導しておくことが望ましい。
4.
小児では一般に自覚症状を訴える能力が劣るので、本剤の投与に際しては、保護者等に対し、患児の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には速やかに主治医に連絡するなどの適切な対応をするように注意を与えること。
相互作用
本剤は主として肝薬物代謝酵素CYP1A2で代謝される。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
他のキサンチン系薬剤
アミノフィリン水和物
コリンテオフィリン
ジプロフィリン
カフェイン水和物等
中枢神経興奮薬
エフェドリン塩酸塩
マオウ等
臨床症状・措置方法
過度の中枢神経刺激作用があらわれることがある。(「過量投与」の項参照)
副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
併用により中枢神経刺激作用が増強される。
2. 薬剤名等
交感神経刺激剤(β刺激剤)
イソプレナリン塩酸塩
クレンブテロール塩酸塩
ツロブテロール塩酸塩
テルブタリン硫酸塩
プロカテロール塩酸塩水和物等
臨床症状・措置方法
低カリウム血症、心・血管症状(頻脈、不整脈等)等のβ刺激剤の副作用症状を増強させることがある。
副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
心刺激作用をともに有しており、β刺激剤の作用を増強するためと考えられる。
低カリウム血症の増強についての機序は不明である。
3. 薬剤名等
ハロタン
臨床症状・措置方法
不整脈等の副作用が増強することがある。また、連続併用によりテオフィリン血中濃度が上昇することがある。
副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
テオフィリンとハロタンの心臓に対する作用の相加又は相乗効果と考えられる。
4. 薬剤名等
ケタミン塩酸塩
臨床症状・措置方法
痙攣があらわれることがある。
痙攣の発現に注意し、異常が認められた場合には抗痙攣剤の投与等適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
痙攣閾値が低下するためと考えられる。
5. 薬剤名等
シメチジン
メキシレチン塩酸塩
プロパフェノン塩酸塩
アミオダロン塩酸塩
エノキサシン水和物
ピペミド酸三水和物
塩酸シプロフロキサシン
ノルフロキサシン
トスフロキサシントシル酸塩水和物
パズフロキサシンメシル酸塩
プルリフロキサシン
エリスロマイシン
クラリスロマイシン
ロキシスロマイシン
チアベンダゾール
チクロピジン塩酸塩
ベラパミル塩酸塩
ジルチアゼム塩酸塩
フルボキサミンマレイン酸塩
フルコナゾール
ジスルフィラム
**デフェラシロクス
臨床症状・措置方法
テオフィリンの中毒症状があらわれることがある。(「過量投与」の項参照)
副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
機序・危険因子
肝薬物代謝酵素が阻害され、テオフィリンクリアランスが低下するため、テオフィリン血中濃度が上昇すると考えられる。
6. 薬剤名等
アシクロビ