シル療法の用法・用量と異なる
薬効薬理
1. in vitro試験5)
ヒト結腸癌細胞(COLO205)に対して、レボホリナートとして0.006μM濃度のホリナートを用いたin vitro試験で、フルオロウラシルの抗腫瘍効果増強作用が認められている。
2. in vivo試験(併用投与による抗腫瘍効果増強作用)6,7)
ヒト結腸癌細胞(KM20C、KM12C、Co-3)を移植したヌードマウスに対し、ホリナート(20mg/kg/day)とテガフール・ウラシル(テガフール20mg/kg/day)の併用でテガフール・ウラシル単独投与群に比較して抗腫瘍効果増強作用を示す。
3. 作用機序
テガフール・ウラシルはフルオロウラシルのプロドラッグであるテガフールにフルオロウラシルの分解阻害作用を有するウラシルをモル比1:4(テガフール:ウラシル)で配合した抗悪性腫瘍剤である。ホリナートの光学活性体(l体)であるレボホリナートはBiochemical Modulationによりフルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強させる。フルオロウラシルは活性代謝物であるフルオロデオキシウリジン一リン酸(FdUMP)が、チミジル酸合成酵素(Thymidylate synthase:TS)と結合し、TS活性を阻害することにより、チミジル酸合成を抑制しDNA合成を阻害する。レボホリナートは細胞内で還元され、5,10-CH2-THFとなる。この5,10-CH2-THFはFdUMP、TSと強固な三元複合体(Ternary complex)を形成し、TSの解離を遅延させることにより、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強させる。従って、ホリナートとテガフール・ウラシルの併用により、テガフールの分解産物であるフルオロウラシルの抗腫瘍効果が増強される。
有効成分に関する理化学的知見
※構造式
一般名
ホリナートカルシウム(Calcium Folinate)
(別名:ロイコボリンカルシウム)
※化学名
Monocalcium N-(4-{[(2-amino-5-formyl-4-oxo-1,4,5,6,7,8-hexahydropteridin-6-yl)methyl]amino}benzoyl)-L-glutamate
分子式
C20H21CaN7O7
分子量
511.50
性状
白色~淡黄色の結晶性の粉末である。
水にやや溶けにくく、メタノール又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。
取扱い上の注意
安定性試験8)
最終包装製品を用いたユーゼル錠の長期保存試験(25℃、相対湿度60%、3年)の結果、ホリナート錠25mg「タイホウ」は通常の市場流通下において3年間安定であることが確認された。
承認条件
結腸・直腸癌に対するホリナート・テガフール・ウラシル療法の有効性及び安全性の更なる明確化を目的とした十分なサンプルサイズを持つ無作為化比較試験を国内で実施すること。
包装
PTP包装:42錠(21錠×2)、84錠(21錠×2×2)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Shirao, K. et al.:J. Clin. Oncol., 22(17)3466(2004)
2)
Douillard, J.-Y. et al.:J. Clin. Oncol.,20(17)3605(2002)
3)
Carmichael, J. et al.:J. Clin. Oncol., 20(17)3617(2002)
4)
Damle, B. et al.:Clin. Cancer Res., 7 517(2001)
5)
岡部博之 他:ヒト結腸癌細胞株COLO205における5-fluorouracilの抗腫瘍効果に対するLV及び5-methyl tetrahydrofolateの効果増強濃度検討(in vitro), 大鵬薬品工業(株)社内資料,研究報告書No.204(2002)
6)
岡部博之 他:ヒト結腸癌株KM20Cのヌードマウス皮下移植モデルにおけるUFTの抗腫瘍効果に対するLV併用投与による効果増強用量の検討, 大鵬薬品工業(株)社内資料,研究報告書No.205(2002)
7)
岡部博之 他:ヒト大腸癌株のヌードマウス皮下移植モデルにおけるUFTの抗腫瘍効果に対するLV併用投与による効果増強の検討, 大鵬薬品工業(株)社内資料,研究報告書No.206(2002)
8)
平川由紀:ユーゼル錠25mgの安定性試験(長期保存試験),大鵬薬品工業(株)社内資料,研究報告書No.569(2016)
文献請求先
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岡山県備前市久々井字沖1775-1
販売提携
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