試験においても,測定が可能であった28例における骨中ランタン濃度は投与開始前80.9±59.8ng/g,投与開始2年後1855.3±1338.3ng/gであり,同患者の血漿中ランタン濃度(投与開始前:0.0±0.07ng/mL,投与開始2年後:0.5±0.65ng/mL)よりも高かった9).
(注:本剤の承認された最高用量は1日2,250mgである.)
3. 代謝
本剤は体内で代謝を受けない.in vitro代謝試験において,ランタンは1A2,2C9/10,2C19,2D6及び3A4/5の各CYP分子種に対して阻害作用を示さなかった10).
4. 血漿蛋白結合率
in vitro試験において,ランタンのヒト血漿蛋白結合率は高かった(>99.7%)11).
★)チュアブル錠
日本人健康成人に本剤250及び1,000mgを単回投与した際のランタン薬物動態学的パラメータ(n=8,幾何平均値)
投与量 Cmax
(ng/mL) tmax※
(h) t1/2
(h) AUC
(ng・h/mL) 糞中回収率※※
(%)
250mg 0.156 4.00 7.8 1.56 59.5
1,000mg 0.192 5.25 19.2 3.69 66.9
※中央値 ※※算術平均値
臨床成績
1. 透析中の慢性腎不全患者を対象とした試験
(1) 比較試験
高リン血症を呈する血液透析患者259例(本剤★)126例,沈降炭酸カルシウム133例)を対象とした比較試験において,本剤を1日750mgから投与を開始し,1日2,250mgまで適宜増減した.その結果,血清リン濃度(Mean±SD)は,投与開始時8.35±1.38mg/dLから投与終了時5.78±1.44mg/dLと低下が認められた.また,血清カルシウム濃度(Mean±SD)は,投与開始時9.02±0.69mg/dL,投与終了時9.22±0.61mg/dLと変化は認められず,本剤の臨床的有用性が確認された12).
(2) 一般臨床試験
高リン血症を呈する腹膜透析患者45例を対象として本剤★)を1日750mgから投与を開始し,1日2,250mgまで適宜増減した結果,血清カルシウム濃度を上昇させることなく血清リン濃度(Mean±SD)が投与開始時7.16±1.21mg/dLから投与終了時5.54±1.31mg/dLと低下した13).
(3) 長期投与試験
高リン血症を呈する血液透析患者145例を対象として本剤★)を1日750mgから投与を開始し,1日4,500mgまで適宜増減して3年間投与した結果,血清リン濃度低下効果が維持された患者も認められた6).
(注:本剤の承認された最高用量は1日2,250mgである.)
2. 保存期の慢性腎臓病患者を対象とした試験
(1) 比較試験
高リン血症を呈する保存期の慢性腎臓病患者141例(本剤★)86例,プラセボ55例)を対象とした比較試験において,本剤を1日750mgから投与を開始し,1日2,250mgまで適宜増減した.その結果,血清リン濃度(Mean±SD)は,本剤投与群において,投与開始時6.17±1.30mg/dLから投与終了時5.14±1.43mg/dLと低下が認められた.一方,プラセボ投与群では,投与開始時は6.15±1.04mg/dL,投与終了時は6.10±1.05mg/dLであった.
投与開始時から終了時(8週時)の血清リン濃度変化量の最小二乗平均値の差[95%信頼区間]は-0.97mg/dL[-1.37mg/dL,-0.58mg/dL]であり,本剤のプラセボに対する優越性が示された(P<0.0001,共分散分析モデル)14).
(2) 長期投与試験
高リン血症を呈する保存期の慢性腎臓病患者123例を対象とした長期投与試験において,本剤★)を1日750mgから投与を開始し,最高1日2,250mgまで投与した結果,血清リン濃度低下効果が維持された患者も認められた.なお,本剤の投与期間(平均値±標準偏差)は173.6±121.6日であった7).
★)チュアブル錠
薬効薬理
1. 作用機序
炭酸ランタンは,消化管内で食物由来のリン酸イオンと結合して不溶性のリン酸ランタンを形成し,腸管からのリン吸収を抑制することにより,血中リン濃度を低下させる15).
2. リン結合作用
in vitro試験において,炭酸ランタンをリン酸ナトリウム溶液中で反応させた結果,リン除去率はpH3で97.5%,pH5で97.1%及び pH7で66.6%であった16).
3. 血清リン濃度低下作用
5/6腎摘出ラットに炭酸ランタンを6週間反復投与したとき,血清リン濃度は溶媒対照群に比して有意に低下した17).
4. 生物学的同等性試験
OD錠500mgとチュアブル錠500mgを,クロスオーバー法により日本人健康成人男子に1日3回4日間食直後に経口投与し(4日目のみ朝食直後に単回投与),生物学的同等性を検討した.
その結果,OD錠500mgはチュアブル錠500mgと生物学的に同等であることが示された18).
(下表参照)
投与開始前値及び治験1日目から3日目(3日間)の平均24時間尿中リン排泄量(n=19,算術平均値±算術標準偏差)
(単位:mmol)
OD錠500mg チュアブル錠500mg
投与開始前値※ 22.08±2.91 21.65±3.27
治験1日目から3日目の平均値 17.40±2.83 17.72±3.05
※:治験-2日目及び-1日目の平均24時間尿中リン排泄量
有効成分に関する理化学的知見
一般名
炭酸ランタン水和物(Lanthanum Carbonate Hydrate)JAN
化学名
Lanthanum carbonate hydrate
分子式
La2(CO3)3・xH2O(x=主として4)
分子量
529.90(4水和物)
性状
本品は白色~ほとんど白色の粉末である.
本品は水又は有機溶媒にはほとんど溶けない.
取扱い上の注意
本剤は吸湿性が