注3)安全性解析対象集団、治験薬投与期間 +3日間を対象とした解析
2. 急性症候性静脈血栓塞栓症患者を対象とした臨床試験成績9)
日本を含む国際共同第III相二重盲検試験において、急性症候性静脈血栓塞栓症患者(有効性評価8,240例、安全性評価8,240例)に、ヘパリンによる初期治療注1)後、エドキサバン60mg(減量基準注2)を満たす患者では30mg)又は対照薬としたワルファリンナトリウムを1日1回、3~12ヵ月間経口投与した注3)。主要評価項目とした無作為割付後12ヵ月間での症候性静脈血栓塞栓症の再発(深部静脈血栓症、非致死性肺塞栓症、致死性肺塞栓症の複合エンドポイント)について、対照薬群に対するエドキサバン群の非劣性が検証された。
注1)エドキサバン群では低分子量ヘパリン(エノキサパリンナトリウム[以下、エノキサパリン、本適応は国内未承認])又は未分画ヘパリン、ワルファリン群では低分子量ヘパリン(エノキサパリン[本適応は国内未承認])又は未分画ヘパリンとワルファリンナトリウムを、PT-INRが規定の値に達するまで5~12日間投与した後、各治験薬に切り替えた。
注2)無作為割付時の体重60kg以下、CLCR30mL/min以上50mL/min以下、ベラパミル又はキニジン併用、及び無作為割付後のケトコナゾール(経口剤:国内未承認)、イトラコナゾール、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、又はドロネダロン(国内未承認)併用
注3)試験全体の投与終了日後にワルファリンに切り替える場合、PT-INRが2.0~3.0に到達するまで低分子量ヘパリン(エノキサパリン[本適応は国内未承認]、日本では未分画ヘパリン)又はフォンダパリヌクス[静脈血栓塞栓症の再発抑制は国内未承認]とワルファリンを併用した。
急性症候性静脈血栓塞栓症患者における症候性静脈血栓塞栓症再発及び大出血又は臨床的に重要な出血の発現率(国際共同第III相試験/全体集団)
VTE:静脈血栓塞栓症、DVT:深部静脈血栓症、PE:肺塞栓症
注1)mITT(治験薬を1回以上服薬した全被験者)、無作為割付日から12ヵ月後までを対象とした解析
注2)安全性解析対象集団、治験薬投与期間 +3日間を対象とした解析
a:非劣性の許容限界値はハザード比1.5と設定した。
なお、日本人集団(有効性評価209例、安全性評価209例)では次に示す成績が得られた。
急性症候性静脈血栓塞栓症患者における症候性静脈血栓塞栓症再発及び大出血又は臨床的に重要な出血の発現率(国際共同第III相試験/日本人集団)
VTE:静脈血栓塞栓症
注1)mITT(治験薬を1回以上服薬した全被験者)、無作為割付日から12ヵ月後までを対象とした解析
注2)安全性解析対象集団、治験薬投与期間 +3日間を対象とした解析
3. 人工膝関節全置換術施行患者を対象とした臨床試験成績10)
日本及び台湾で実施した第III相二重盲検試験において、人工膝関節全置換術施行患者(有効性評価594例、安全性評価703例)に、エドキサバン30mgを1日1回、11~14日間経口投与、又は対照薬としたエノキサパリン2,000IUを1日2回、11~14日間皮下注射した。静脈血栓塞栓症の発現率について、対照薬群に対するエドキサバン群の非劣性が検証された。大出血又は臨床的に重要な出血の発現率には、投与群間の有意な差は認められなかった。エドキサバン群で大出血は4例に発現し、その内訳は、ヘモグロビン量が2g/dLを超えて低下した症例が3例、4単位を超える輸血を必要とし、かつ、ヘモグロビン量が2g/dLを超えて低下した症例が1例であった。
人工膝関節全置換術施行患者における静脈血栓塞栓症及び大出血又は臨床的に重要な出血の発現率(日台第III相試験)
非劣性の許容限界値は5%と設定した。
4. 人工股関節全置換術施行患者を対象とした臨床試験成績11)
国内で実施した第III相二重盲検試験において、人工股関節全置換術施行患者(有効性評価503例、安全性評価604例)に、エドキサバン30mgを1日1回、11~14日間経口投与、又は対照薬としたエノキサパリン2,000IUを1日2回、11~14日間皮下注射した。静脈血栓塞栓症の発現率について、対照薬群に対するエドキサバン群の非劣性が検証された。大出血又は臨床的に重要な出血の発現率には、投与群間の有意な差は認められなかった。エドキサバン群で大出血は2例に発現し、いずれもヘモグロビン量が2g/dLを超えて低下した症例であった。
人工股関節全置換術施行患者における静脈血栓塞栓症及び大出血又は臨床的に重要な出血の発現率(国内第III相試験)
非劣性の許容限界値は8%と設定した。
5. 股関節骨折手術施行患者を対象とした臨床試験成績12)
国内で実施した第III相試験において、股関節骨折手術施行患者(有効性評価73例、安全性評価88例)に、オープンラベルでエドキサバン30mgを1日1回、11~14日間経口投与、もしくはエノキサパリン2,000IUを1日2回、11~14日間皮下注射した。静脈血栓塞栓症の発現率と、大出血又は臨床的に重要な出血の発現率は、次のとおりであった。エドキサバン群で大出血は1例に発現し、ヘモグロビン量が2g/dLを超えて低下した症例であった。
股関節骨折手術施行患者における静脈血栓塞栓症及び大出血又は臨床的に重要な出血の発現率(国内第III相試験)
a:参考として設定した群であり、統計学的な比較対照群ではない。
薬効薬理
1. 作用機序13)
エドキサバンはin vitroでヒトの活性化血液凝固第X因子(FXa)を競合的かつ選択的に阻害した。トロンビンなど、他の凝固関連因子のセリンプロテアーゼに対する阻害活性は弱かった。
2. 抗凝固作用13)
エドキサバンはin vitroでヒト血漿におけるPT、APTT及びトロンビン時間(TT)を延長した。その凝固時間延長作用の強さはPT>APTT>TTの順であった。
3. 血栓モデルにおける抗血栓作用14)
ラットの静脈血栓モデル、静脈うっ血血栓モデル、動静脈シャントモデル及び組織因子誘発DICモデルにおいて、エドキサバンは単回経口投与により用量依存的に血栓形成を抑制した。ラット静脈血栓モデルにおいて、エドキサバンは抗血栓作用を示す用量でAPTTに影響せずにPTを延長した。
4. 止血に及ぼす影響15)
ラット尾出血モデルにおいて、抗血栓用量よりも高い用量のエドキサバン、ワルファリン及びエノキサパリンは出血時間を有意に延長した。出血時間2倍延長用量(BT2)とラットの静脈血栓モデルにおける血栓形成50%抑制用量(ED50)との比(BT2/ED50)は、エドキサバンが10.5より大きく、エノキサパリンは3.4であった。
5. 血液凝固因子製剤による抗凝固作用のリバース16)
ヒト血漿でのエドキサバンによるin v