外循環路内の凝血(残血)が管理可能と判断されたときには、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウムの使用を速やかに検討し、本剤を漫然と使用しないこと。
3. **ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止に使用する場合
(1)
本剤の投与開始から10分程度で活性化全血凝固時間(ACT)を測定し、術後4時間まではACTが250~450秒となるように持続投与量を調節すること。患者の状態により、術後4時間以降の抗凝固療法の継続の要否を判断するが、その後も抗凝固療法の継続が必要な場合は、0.7μg/kg/分に減量後、適宜aPTTを測定し、aPTTが投与前値の1.5~3倍程度となるよう持続投与量を適宜調節し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
(2)
本剤のクリアランスが低下している肝機能障害のある患者に対して術後4時間以降も抗凝固療法が必要な場合は、0.2μg/kg/分に減量するなど注意すること。aPTTが目標とする範囲に達するまでは、適宜aPTTを測定し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
(3)
本剤による治療開始及び投与量変更時には、以下の表を参考に投与すること。
本剤を10mLに希釈し、6μg/kg/分で投与する場合の投与速度
本剤を20mLに希釈し、0.7μg/kg/分あるいは0.2μg/kg/分で投与する場合の投与速度
(4)
術後4時間以降も抗凝固療法を継続する必要があり、本剤を0.7μg/kg/分に減量後、aPTTが投与前値の3倍を超えた場合は、本剤の投与を中止すること。本剤投与を再開する場合には、aPTTが治療域(投与前値の1.5~3倍以下)に回復したことを確認し、再開時の投与量は、投与中止前の1/2の用量を目安にすること。
4. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制に使用する場合
(1)
本剤のクリアランスが低下している肝機能障害のある患者、又は出血のリスクのある患者に対しては、低用量(0.2μg/kg/分)から投与を開始するなど注意すること。
(2)
本剤による治療開始時には、以下の表を参考に投与を開始すること。
本剤を20mLに希釈し、0.7μg/kg/分あるいは0.2μg/kg/分で投与する場合の投与速度
(3)
本剤投与開始後は、aPTTを投与前値の1.5~3倍の範囲かつ100秒以下となるように用量を調節すること。なお、出血のリスクのある患者ではaPTTが、投与前値の1.5~2倍となるように用量を調節すること。
(4)
本剤投与開始2時間後及び本剤の投与量の変更2時間後を目安にaPTTを測定し、投与量を調節する。肝機能障害がある患者又は出血のリスクがある患者に対しては、本剤投与開始あるいは投与量変更6時間後にもaPTTを測定することが望ましい。aPTTが目標とする範囲に達するまでは、適宜aPTTを測定し、目標とする範囲に達した後は1日に1回aPTTを測定すること。
(5)
aPTTが投与前値の3倍又は100秒を超えた場合は、本剤の投与を中止すること。本剤投与を再開する場合には、aPTTが治療域(投与前値の1.5~3倍かつ100秒以下)に回復したことを確認し、投与中止前の1/2の用量を目安に開始すること。
(6)
本剤を使用することにより血小板数が回復し、安定した場合には、経口抗凝固薬(ワルファリン等)による治療の開始を考慮すること。なお、ワルファリンに切り替える場合は、本剤とワルファリンを5日間程度併用すること。本剤とワルファリンとの併用時は、aPTT及びプロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)をモニタリングすること。なお、本剤とワルファリンとの相互作用によりPT-INRが延長することから、本剤中止後にPT-INRが短縮することに注意すること。
(7)
経口抗凝固療法への移行が困難な患者を除き、本剤を漫然と使用しないこと。(国内外の臨床試験において本剤投与期間は概ね7~14日間であった。また、国内で実施された臨床試験では、ワルファリンへの切り替えができなかった患者1例での投与期間は最長35日であった。)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
出血の可能性のある患者(消化管潰瘍、内臓の腫瘍、消化管の憩室炎、大腸炎、亜急性細菌性心内膜炎、脳出血の既往歴のある患者、血小板の減少している患者、重症高血圧症、重症糖尿病の患者、手術後の患者等)[出血を起こすおそれがある。]
2.
**抗凝固薬、血小板凝集抑制作用を有する薬剤、血栓溶解薬又はフィブリノーゲン低下作用を有する酵素製剤を投与中の患者[これらの薬剤と併用することにより、出血傾向の増強があらわれるおそれがある(「相互作用」の項参照)。]
3.
重篤な肝障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
血液凝固能検査等の出血管理を十分に行いつつ使用すること。
2.
脳血栓症の患者に使用する場合、本剤の投与により出血性脳梗塞、脳内出血を助長する可能性があるので、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、出血が認められた場合には直ちに投与を中止すること(「警告」の項参照)。
3.
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制に使用する場合、下記の点に留意すること。
(1)
本剤を投与する際には、血小板数、aPTT及びプロトロンビン時間(PT)等を観察しながら、出血のリスクを考慮して慎重に投与すること(「用法及び用量に関連する使用上の注意」の項参照)。
(2)
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型の患者のうち、脳塞栓又は脳塞栓のおそれのある患者に対しては、治療上の有益性と出血性脳梗塞等の危険性を十分に勘案し、適応を検討すること(「禁忌」の項参照)。
(3)
播種性血管内血液凝固症候群(DIC)に対する本剤の有用性は確認されていないので、基礎疾患、合併症等を十分に確認し、鑑別を行うこと。
(4)
本剤投与中に肝機能障害が発現した場合は、投与継続によるリスクとベネフィットを慎重に判断し、投与継続の可否を検討すること。また、投与を継続する場合は、肝機能及びPT、aPTTを頻回に検査し、観察を十分に行うこと。
4.
**ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型(発症リスクのある場合を含む)における経皮的冠インターベンション施行時の血液の凝固防止に使用する場合、本剤のクリアランスが低下している肝機能障害、又は出血のリスクのある患者に対する本剤の使用経験の報告はないことから、このような患者で