治療で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(154例)を対象に,テネリグリプチン又はプラセボを1日1回24週間投与した.結果は次表のとおりであった.本試験において低血糖の副作用は認められなかった21).
(表6参照)
2. *カナグリフロジン上乗せ検証的試験
食事療法及び運動療法に加えてテネリグリプチン単剤治療で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(138例)を対象に,カナグリフロジン又はプラセボを1日1回24週間投与した.結果は次表のとおりであった.本試験において低血糖の副作用は認められなかった22,23).
(表7参照)
3. 長期投与試験
食事療法及び運動療法に加えてテネリグリプチン単剤治療で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者(153例)を対象に,カナグリフロジンを1日1回52週間投与した.テネリグリプチン20mg+カナグリフロジン100mg併用投与により,HbA1c(NGSP値)が低下し52週間にわたって安定した血糖コントロールが得られた.52週時における投与前からのHbA1c(NGSP値)の変化量(平均値±標準偏差)は-0.99±0.84%であった.低血糖の副作用発現割合は1.3%(2例/153例)であった24).
臨床成績の表
表6 テネリグリプチン上乗せ検証的試験(24週時)の結果
カナグリフロジン100mg
+プラセボ カナグリフロジン100mg
+プラセボ カナグリフロジン100mg
+テネリグリプチン20mg カナグリフロジン100mg
+テネリグリプチン20mg カナグリフロジン100mg
+テネリグリプチン20mg
投与前 投与前からの変化量 投与前 投与前からの変化量 プラセボとの差
HbA1c(%) 8.09±0.85
(n=77) 0.00±0.08 7.98±0.80
(n=77) -0.94±0.08 -0.94±0.11♯
[-1.16,-0.72]
空腹時
血糖(mg/dL) 151.0±25.0
(n=76) 10.0±2.8 148.5±21.2
(n=77) -5.6±2.7 -15.6±3.9♯
[-23.3,-7.9]
食事負荷後
2時間血糖
(mg/dL) 232.6±45.6
(n=65) 2.3±4.5 232.2±44.7
(n=73) -35.3±4.3 -37.6±6.2♯
[-49.9,-25.2]
投与前:平均値±標準偏差,投与前からの変化量及びプラセボとの差:調整済み平均値±標準誤差 ♯p<0.001,[ ]は両側95%信頼区間 HbA1c:NGSP値
表7 カナグリフロジン上乗せ検証的試験(24週時)の結果
テネリグリプチン20mg
+プラセボ テネリグリプチン20mg
+プラセボ テネリグリプチン20mg
+カナグリフロジン100mg テネリグリプチン20mg
+カナグリフロジン100mg テネリグリプチン20mg
+カナグリフロジン100mg
投与前 投与前からの変化量 投与前 投与前からの変化量 プラセボとの差
HbA1c(%) 7.87±0.83
(n=68) -0.10±0.10 8.18±0.90
(n=70) -0.97±0.10 -0.88±0.14♯
[-1.15,-0.60]
空腹時
血糖(mg/dL) 167.0±33.6
(n=67) 3.9±3.5 173.9±30.6
(n=69) -34.9±3.4 -38.8±4.9♯
[-48.5,-29.2]
食事負荷後
2時間血糖
(mg/dL) 247.1±56.0
(n=61) -9.2±5.1 256.1±45.6
(n=67) -60.1±4.9 -50.9±7.1♯
[-64.9,-36.9]
投与前:平均値±標準偏差,投与前からの変化量及びプラセボとの差:調整済み平均値±標準誤差 ♯p<0.001,[ ]は両側95%信頼区間 HbA1c:NGSP値
薬効薬理
2型糖尿病モデルであるZucker Diabetic Fatty(ZDF)ラットを用いた糖負荷試験において,テネリグリプチン及びカナグリフロジンの単回併用投与は,それぞれの単独投与と比較して,血漿中活性型グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)濃度を増加させ,血糖値上昇の抑制を増強した25).
テネリグリプチン
1) 作用機序
GLP-1は,食事に応答して消化管から分泌され,膵臓からのインスリン分泌を促進し,グルカゴン分泌を抑制することで,食後血糖を調節している26).テネリグリプチンは,ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)活性の阻害によりGLP-1の分解を抑制し,活性型GLP-1の血中濃度を増加させることにより,血糖低下作用を発揮する27).
2) 薬理作用
1. DPP-4阻害作用及びGLP-1分解抑制作用
1.
テネリグリプチンはヒト血漿中DPP-4活性を濃度依存的に阻害し,そのIC50値は1.75nmol/Lであった(in vitro)27).
2.
テネリグリプチンはラット血漿中の活性型GLP-1の分解を濃度依存的に抑制した(in vitro)27).
3.
インスリン抵抗性及び耐糖能異常を示す肥満モデルであるZucker Fattyラットを用いた糖負荷試験において,テネリグリプチンは単回投与により血漿中活性型GLP-1濃度及び血漿中インスリ