はP-糖蛋白質の基質であり,弱い阻害作用(99μmol/Lで42.5%阻害)を示した9).また,有機アニオントランスポーターOAT3に対して弱い阻害作用(IC50値:99.2μmol/L)を示した(in vitro)10).
カナグリフロジン
1)
健康成人(外国人,6例)に,[14C]標識カナグリフロジン192mgを単回経口投与したとき,投与後168時間までに,投与された放射能の32.5%が尿中に,60.4%が糞中に排泄された.投与後48時間までの尿中にカナグリフロジンは認められず,M5(13.3%)及びM7(17.2%)が認められた.また,糞中には,カナグリフロジン(41.5%),M7(3.2%)及びM9(7.0%)が認められた6).
(本剤の有効成分であるカナグリフロジンの承認された用法及び用量は100mgを1日1回である.)
2)
カナグリフロジンはP-糖蛋白質,多剤耐性関連蛋白質2及び乳がん耐性蛋白質の基質であり,P-糖蛋白質及び多剤耐性関連蛋白質2に対して弱い阻害作用(IC50値:19.3μmol/L及び21.5μmol/L)を示した(in vitro)11).
5. 腎機能障害者
テネリグリプチン(外国人のデータ)
腎機能障害者(32例)に,テネリグリプチンとして20mgを単回経口投与したとき,テネリグリプチンのCmax及びt1/2は腎機能障害の程度に応じた顕著な変化は認められなかった.一方,AUC0-∞は健康成人(Ccr>80mL/min,8例)と比較して,軽度腎機能障害者(50≦Ccr≦80mL/min,8例),中等度腎機能障害者(30≦Ccr<50mL/min,8例)及び高度腎機能障害者(Ccr<30mL/min,8例)でそれぞれ約1.25倍,約1.68倍及び約1.49倍であり,末期腎不全罹患者(8例)のAUC0-43hは健康成人(8例)と比較して,約1.16倍であった.また,血液透析によってテネリグリプチンは投与量の15.6%が除去された12).
カナグリフロジン
1) 腎機能障害を伴う2型糖尿病患者
中等度腎機能障害(30≦eGFR<50mL/min/1.73m2)を伴う2型糖尿病患者(12例)に,カナグリフロジンとして100mgを単回経口投与したとき,カナグリフロジンのAUC0-∞は腎機能正常2型糖尿病患者(eGFR≧80mL/min/1.73m2,12例)と比較して約26%上昇した.また,腎機能正常及び中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者における投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量(平均値[95%信頼区間])は86.592g[75.612-97.572]及び61.017g[49.362-72.671]であった13
2) 腎機能障害者(外国人のデータ)
腎機能障害者(37例)に,カナグリフロジンとして200mgを単回経口投与したとき,軽度腎機能障害者(eGFR60~89mL/min/1.73m2,10例),中等度腎機能障害者(eGFR30~59mL/min/1.73m2,9例)及び高度腎機能障害者(eGFR15~29mL/min/1.73m2,10例)のカナグリフロジンのCmaxは正常腎機能者(eGFR≧90mL/min/1.73m2,3例)と比較して,それぞれ約27%,約9%及び約10%低下した.また,AUC0-∞は正常腎機能者と比較して,それぞれ約15%,約29%及び約53%高かった.末期腎不全患者(8例)では,4時間の透析によってカナグリフロジンはほとんど除去されなかった.
また,正常腎機能者と軽度,中等度及び高度腎機能障害者における投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量(調整済み平均値)は,53.04,38.32,17.11及び4.27gであった13).
(本剤の有効成分であるカナグリフロジンの承認された用法及び用量は100mgを1日1回である.)
6. 肝機能障害者
テネリグリプチン(外国人のデータ)
肝機能障害者(16例)に,テネリグリプチンとして20mgを単回経口投与したとき,テネリグリプチンのCmaxは健康成人(8例)と比較して,軽度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア5~6)(8例)及び中等度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア7~9)(8例)でそれぞれ約1.25倍及び約1.38倍であり,AUC0-∞はそれぞれ約1.46倍及び約1.59倍であった14).なお,高度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア9超)での臨床試験は行われていない.
カナグリフロジン(外国人のデータ)
肝機能障害者(16例)に,カナグリフロジンとして300mgを単回経口投与したとき,軽度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア5~6)(8例)及び中等度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア7~9)(8例)のカナグリフロジンのCmaxは正常肝機能者(8例)と比較して,それぞれ約7%の上昇と約4%の低下が認められた.また,AUC0-∞は正常肝機能者(7例)と比較して,それぞれ約10%及び約11%高かった15).なお,高度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア9超)での臨床試験は行われていない.
(本剤の有効成分であるカナグリフロジンの承認された用法及び用量は100mgを1日1回である.)
7. 高齢者における薬物動態
テネリグリプチン(外国人のデータ)
健康な高齢者(65歳以上75歳以下,12例)と非高齢者(45歳以上65歳未満,12例)に,テネリグリプチンとして20mgを空腹時に単回経口投与したとき,Cmax,AUC0-∞及びt1/2の非高齢者に対する高齢者の幾何最小二乗平均値の比(90%信頼区間)は,それぞれ1.006(0.871-1.163),1.090(0.975-1.218)及び1.054(0.911-1.219)であり,ほぼ同様であった16).
カナグリフロジン
2型糖尿病患者を対象とした用量設定試験から,高齢者(65歳以上,71~73例)と非高齢者(65歳未満,217~225例)において用量補正した血漿中カナグリフロジン濃度のトラフ値及び投与12週後のAUC0-2.17hを比較した.その結果,高齢者のトラフ濃度の平均値は非高齢者よりも約10~30%高い値を示した17).
8. 薬物相互作用
テネリグリプチン(外国人のデータ)18)
(表3参照)
カナグリフロジン(外国人のデータ)19)
(表4参照)
(表5参照)
9. 心電図に対する影響(外国人のデータ)
健康成人にテネリグリプチンとして40mg又は160mgを1日1回4日間,反復経口投与したときのプラセボ補正したQTcI(個人ごとに補正したQTc)間隔変化の最大平均値(及び90%信頼区間上限値)は