血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン,副腎皮質ホルモン,甲状腺ホルモン等)
臨床症状・措置方法
血糖が上昇する可能性があるため,血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること.
機序・危険因子
血糖降下作用が減弱される.
4. 薬剤名等
QT延長を起こすことが知られている薬剤(クラスIA抗不整脈薬(キニジン硫酸塩水和物,プロカインアミド塩酸塩等),クラスIII抗不整脈薬(アミオダロン塩酸塩,ソタロール塩酸塩等))
臨床症状・措置方法
QT延長等が起こるおそれがある.
機序・危険因子
これらの薬剤では単独投与でもQT延長がみられている.
5. 薬剤名等
ジゴキシン
臨床症状・措置方法
カナグリフロジン300mgとの併用によりジゴキシンのCmax及びAUCがそれぞれ36%及び20%上昇したとの報告があるため,適切な観察を行うこと.
機序・危険因子
カナグリフロジンのP-糖蛋白質阻害作用による.
6. 薬剤名等
リファンピシン,フェニトイン,フェノバルビタール,リトナビル等
臨床症状・措置方法
カナグリフロジンとリファンピシンとの併用によりカナグリフロジンのCmax及びAUCがそれぞれ28%及び51%低下したとの報告があるため,適切な観察を行うこと.
機序・危険因子
カナグリフロジンの代謝酵素であるUGT1A9及びUGT2B4をこれらの薬剤が誘導することにより,カナグリフロジンの代謝が促進される.
7. 薬剤名等
利尿作用を有する薬剤(ループ利尿薬,サイアザイド系利尿薬等)
臨床症状・措置方法
上記薬剤とカナグリフロジンの併用により,利尿作用が過剰にみられるおそれがあるため,必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること.
機序・危険因子
上記薬剤との併用により利尿作用が増強されるおそれがある.
副作用
副作用等発現状況の概要
国内第III相試験において,300例中47例(15.7%)60件の副作用(臨床検査値の異常も含む)が認められた.主な副作用は,頻尿,血中ケトン体増加,外陰部腟カンジダ症,便秘,口渇等であった.(承認時)
重大な副作用
1. 低血糖
低血糖症状が発現するおそれがある.他のDPP-4阻害剤で,スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ,意識消失を来たす例やカナグリフロジンの海外臨床試験では,インスリン製剤との併用で低血糖が報告されている.特に,インスリン製剤,スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合,低血糖のリスクが増加するおそれがあることから,これらの薬剤の減量を検討すること.また,他の糖尿病用薬を併用しない場合でも低血糖症が報告されている.低血糖症状が認められた場合には,糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと.(「慎重投与」,「重要な基本的注意1.」,「相互作用」,「臨床成績」の項参照)
2. 脱水(頻度不明)
脱水があらわれることがあるので,適度な水分補給を行うよう指導し,観察を十分に行うこと.口渇,多尿,頻尿,血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には,休薬や補液等の適切な処置を行うこと.脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されているので,十分注意すること.(「慎重投与」,「重要な基本的注意」,「相互作用」,「高齢者への投与」の項参照)
3. ケトアシドーシス(頻度不明)
ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意」の項参照)
4. 腎盂腎炎,敗血症(頻度不明)
腎盂腎炎があらわれ,敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと.(「重要な基本的注意3.」の項参照)
5. 腸閉塞(頻度不明)
腸閉塞があらわれることがあるので,観察を十分に行い,高度の便秘,腹部膨満,持続する腹痛,嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.(「慎重投与」の項参照)
6. 肝機能障害(頻度不明)
AST(GOT),ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
7. 間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎があらわれることがあるので,咳嗽,呼吸困難,発熱,肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には,速やかに胸部X線,胸部CT,血清マーカー等の検査を実施すること.間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと.
8. 類天疱瘡(頻度不明)
類天疱瘡があらわれることがあるので,水疱,びらん等があらわれた場合には,皮膚科医と相談し,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
その他の副作用
1. 精神・神経系
0.1~1%未満
浮動性めまい,感覚鈍麻
2. 消化器
1%以上
口渇,便秘
3. 消化器
0.1~1%未満
裂肛,消化器カンジダ症
4. 循環器
0.1~1%未満
心筋梗塞,高血圧,起立性低血圧
5. 泌尿器
1%以上
頻尿,多尿
6. 泌尿器
0.1~1%未満
膀胱炎,尿閉
7. 皮膚
1%以上
湿疹
8. 皮膚
0.1~1%未満
発疹,酒さ,足部白癬
9. 耳
0.1~1%未満
耳不快感
10. 生殖器
1%以上
外陰部腟カンジダ症
11. 生殖器
0.1~1%未満
亀頭包皮炎,外陰腟そう痒症,陰部そう痒症
12. 臨床検査
1%以上
血中ケトン体増加
13. 臨床検査
0.1~1%未満
血中ブドウ糖減少
14. 全身症状
0.1~1%未満
疲労
15. その他
0.1~1%未満
熱中症
上記の副作用があらわれた場合には,症状に応じて適切な処置を行うこと.
高齢者への投与
1.
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.(「重要な基本的注意2.」の項参照)
2.
高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れ