れがある。
(2) 高齢者では、下痢、軟便の発現が全身状態の悪化につながるおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(3) 高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない〕
2. 本剤投与中の授乳は避けさせること。〔本剤はヒト母乳中への移行が認められている〕
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。〔使用経験が少ない〕
臨床検査結果に及ぼす影響
1. テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬、クリニテストによる尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
2. 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
その他の注意
腎臓への影響3)~5)
イヌに2,000mg/kg以上を単回経口投与、または250mg/kg以上を単回静脈内投与した結果、血中の尿素窒素及びクレアチニンが上昇し、腎毒性が認められた。この変化は、イヌに2,000mg/kgを4週間反復経口投与した際には4週間投与後の方が投与初期に比べて軽度であり、26週間反復経口投与した後の腎臓には認められなかった。
薬物動態
1. 血漿中濃度6)~8)25)26)
(1) 健常成人に150、300、600mg(力価)を空腹時単回経口投与後約1~1.4時間にそれぞれ2.4、6.2、7.4μg/mLの最高血漿中濃度に到達し、その半減期は投与量に依存せず一定で約1時間であった。なお、腎機能障害患者では血漿中濃度の上昇及び半減期の延長が認められている。
(2) 健常成人に300mg(力価)を食後単回経口投与した時、最高血漿中濃度到達時間が空腹時投与より約1時間遅延したが、最高血漿中濃度、半減期および血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)にほとんど差は認められなかった。
(「健常成人における空腹時単回経口投与時の薬物動態パラメータ(平均±SD)」の表参照)
(3) 市販後臨床試験において、高齢患者(66~90歳)に1回150mg(力価)1日3回、4~8日連続経口投与した時の最終投与後(食後)の薬物動態パラメータを健常成人と比較すると、最高血漿中濃度は低下し、最高血漿中濃度到達時間及び半減期は延長した。
(「高齢患者における連続経口投与時の薬物動態パラメータ(平均±SD)」の表参照)
2. 組織内移行9)~16) 患者喀痰、抜歯創浸出液、皮膚組織、扁桃組織、上顎洞粘膜組織、女性器組織、眼瞼皮下組織及び前立腺組織等への移行が認められた。なお、乳汁中へわずかに移行する。
3. 代謝6) 吸収されたファロペネムは代謝を受けずに尿中に排泄される他に、腎に存在するDehydropeptidase-I(DHP-I)により代謝された後に尿中に排泄される。ヒトの血漿及び尿中には抗菌活性を有する代謝物は認められていない。
4. 排泄6) 主として腎より排泄され、健常成人(空腹時)における150、300、600mg(力価)経口投与時の尿中排泄率(0~24時間)は3.1~6.8%で、最高尿中濃度は0~2時間でそれぞれ21.7、57.6、151.5μg/mLであり、12時間以降はほとんど検出されなかった。
健常成人における空腹時単回経口投与時の薬物動態パラメータ(平均±SD)
n Cmax
(μg/mL) Tmax
(h) T1/2
(h) AUC
(μg・h/mL)
150mg/ヒト
(空腹時) 6 2.36±1.01 0.96±0.46 0.76±0.14 3.95±2.06
300mg/ヒト
(空腹時) 6 6.24±2.86 1.04±0.40 0.85±0.23 11.73±8.31
600mg/ヒト
(空腹時) 6 7.37±1.97 1.42±0.49 1.08±0.19 19.59±6.37
300mg/ヒト
(食後) 6 4.25±1.58 2.08±0.49 1.01±0.22 9.75±4.63
高齢患者における連続経口投与時の薬物動態パラメータ(平均±SD)
n Cmax
(μg/mL) Tmax
(h) T1/2
(h) AUC
(μg・h/mL)
150mg/高齢患者
(食後) 17 1.09±0.43 2.29±1.16 2.42±3.09 5.03±2.57
臨床成績
各種細菌感染症に対する承認時までの臨床試験は、3種類の二重盲検比較試験(細菌性肺炎17)、複雑性尿路感染症18)、皮膚感染症19))を含む総数2,019例を対象に検討され、以下の成績を得た。
疾患領域名 感染症名 感染症別有効率(%) 領域別有効率(%)
皮膚感染症 285/324(88.0)
表在性皮膚感染症 52/60(86.7)
深在性皮膚感染症 112/120(93.3)
リンパ管・リンパ節炎 12/12(100)
慢性膿皮症 108/131(82.4)
ざ