妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。器官形成期のウサギに投与した実験で、母動物の摂餌量の低下、体重増加抑制、胎児体重の低下、骨化遅延及び胎児死亡率の増加が報告されている2)。器官形成期のラットに投与した実験で、胎児体重の低下が報告されている3)。]
2.
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。
[外国の臨床試験において、母乳中へ移行することが報告されている4)。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
薬物動態
1. 血漿中濃度・尿中排泄
健康成人男子(6例又は12例)に空腹時にミグリトール25、50、100mgを経口投与した時、血漿中ミグリトールは投与後2~3時間で最高値に達し、半減期は約2時間であった。用量とCmaxは比例関係を示さず、尿中排泄率は用量増加に伴い低下した5,6)。
また、健康成人男子(6例)に空腹時又は食直前にミグリトール100mgを経口投与した時、食直前投与の血漿中ミグリトールは空腹時投与と同じ半減期(約2時間)で消失したが、Cmax及びAUCは低下した。また、尿中排泄率は空腹時が約50%、食直前が約30%であった7)。
2. 反復投与時の血漿中濃度・尿中排泄
健康成人男子(12例)にミグリトール50又は100mgを1日3回8日間(8日目は朝1回)反復投与した時、ミグリトールの血漿中濃度は3~4日目でほぼ定常状態に達し、累積排泄率も3~4日以降ほぼ一定であり、反復投与による蓄積性はなかった8)。
3. 2型糖尿病患者の血漿中濃度(外国人における成績)
健康成人及び2型糖尿病患者(各12例)にミグリトール100mgを1日3回7日間反復投与した時、健康成人と2型糖尿病患者の血漿中ミグリトール濃度推移は一致し、2型糖尿病患者の反復投与による血漿中ミグリトール濃度推移の変化はなかった9)。
4. 代謝
ミグリトールは、体内において代謝を受けず、未変化体のまま主に腎臓から排泄される10)。
5. 腎機能障害患者における薬物動態(外国人における成績)
腎機能障害患者にミグリトール25mgを1日3回7日間反復投与した時、腎機能低下に伴いT1/2が延長した。また、クレアチニンクリアランスが30mL/min未満の患者では反復投与によりCmaxが増加した1)。
6. 透析患者における薬物動態(外国人における成績)
血液透析患者3例にミグリトール50mgを1日3回7日間反復投与した時、投与2、5及び7日目の透析前後で血漿中濃度が7.37~28.4μg/mLから1.62~4.50μg/mLに低下した(除去率:平均80.0~81.8%)11)。
7. 薬物相互作用
(1) チトクロームP450系への影響
ミグリトールはヒトチトクロームP450分子種(CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4)の代謝活性を阻害しなかった12)。また、ラットにミグリトール30、100、300mg/kg/dayを反復投与した時、肝重量、肝重量比、チトクロームP450量、アニリン水酸化活性及びアミノピリンN-脱メチル化活性は変化しなかった13)。
(2) 薬物相互作用試験
1) グリベンクラミド(外国人における成績)
健康成人男子6例に対し、グリベンクラミド5mg 1日1回及びミグリトール100mg(漸増)あるいはプラセボ1日3回をクロスオーバー法にて7日間併用投与した時、グリベンクラミドのAUC0-9h及びCmaxがプラセボと比較して、それぞれ25及び17%低下した14)。
また、2型糖尿病患者26例に対し、グリベンクラミド3.5mg 1日1回及びミグリトール100mgあるいはプラセボ1日3回を7日間併用投与した時、プラセボと比較してグリベンクラミドのAUC0-12hが12%低下し、Cmaxが10%増加した15)。
2) メトホルミン(外国人における成績)
健康成人男子12例に対し、ミグリトール100mgあるいはプラセボ1日3回をクロスオーバー法にて7日間反復投与時に、メトホルミン1000mgを単回投与した時、メトホルミンのAUC0-9h及びCmaxがプラセボと比較して、それぞれ12%及び13%低下した16)。
3) ジゴキシン(外国人における成績)
健康成人男子12例に対し、ジゴキシン0.3mg 1日1回反復投与時の定常状態においてミグリトール50及び100mgを1日3回7日間併用投与した時、単独使用時と比較しジゴキシンのCminは19及び28%低下し、尿中排泄量は19及び33%低下した17)。
また、2型糖尿病患者27例に対し、ジゴキシン0.2mg 1日1回反復投与時に、ミグリトール100mgあるいはプラセボ1日3回を14日間併用投与した時、プラセボと比較してジゴキシンのCminに影響を及ぼさなかった18)。
4) プロプラノロール(外国人における成績)
健康成人男子10例に対し、プロプラノロール40mg 1日3回反復投与時にミグリトール50及び100mgを1日3回7日間投与した時、単独使用時と比較しプロプラノロールのAUCは50及び100mgでそれぞれ30及び40%低下した。血糖値、心電図及び心拍出量には併用による影響が認められなかった19)。
5) ラニチジン(外国人における成績)
健康成人男子12例に対し、ラニチジン150mgを1日2回反復投与時にミグリトール100mg1日3回をクロスオーバー法にて7日間投与した時、単独使用時と比較しラニチジンのAUC及びCmaxがそれぞれ40及び47%に低下した。一方、ミグリトールのAUC及びCmaxには影響が認められなかった20)。
6) ピオグリタゾン
健康成人男子16例に対し、ピオグリタゾン30mgを1日1回8日間反復投与した後、さらにミグリトール50mg 1日3回を併用して5日間反復投与した時、ピオグリタゾン単独投与時に対する併用時のピオグリタゾン未変化体及び活性代謝物を含めた活性化合物合計のAUCの比はそれぞれ0.975、0.992、Cmaxの比はそれぞれ0.955、0.977であり、ピオグリタゾンのAUC及びCmaxに影響は認められなかった21)。
その他、ミグリトールとニフェジピン、ワルファリン、フェニトインとの薬物相互作用試験においても薬物動態学的