TRESIBA FlexTouch(Insulin Degludec (Genetical Recombination))德谷胰岛素注射剂,トレシーバ注 フレックスタッチ
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作成又は改訂年月
**2016年9月改訂(第4版)
*2015年8月改訂
日本標準商品分類番号
872492
承認等
販売名
トレシーバ注 フレックスタッチ
販売名コード
2492419G1021
承認・許可番号
承認番号
22400AMX01393000
商標名
TRESIBA FlexTouch
薬価基準収載年月
2013年2月
販売開始年月
2013年3月
貯法・使用期限等
貯法
凍結を避け、2~8℃に遮光して保存する。
使用期限
外箱及び本体に表示の使用期限内に使用すること
規制区分
劇薬
処方箋医薬品
注意-医師等の処方箋により使用すること
組成
インスリン デグルデク(遺伝子組換え)(1筒(3mL)中)
300単位注)(1800nmol)
注)インスリン デグルデクの1単位は6nmolに相当する。
添加物(1筒(3mL)中)
フェノール:4.50mg
m-クレゾール:5.16mg
濃グリセリン:58.8mg
酢酸亜鉛(亜鉛含量として):98.1μg
塩酸:適量
水酸化ナトリウム:適量
識別(注入ボタンの色)
若草色
性状
剤形・性状
注射剤
本剤は無色澄明の液である。
pH
7.20~8.00
浸透圧比(生理食塩液に対する比)
0.8~1.2
一般的名称
インスリン デグルデク(遺伝子組換え)
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
低血糖症状を呈している患者
2.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
インスリン療法が適応となる糖尿病
効能又は効果に関連する使用上の注意
糖尿病の診断が確立した患者に対してのみ適用を考慮すること。
糖尿病以外にも耐糖能異常や尿糖陽性を呈する糖尿病類似の病態(腎性糖尿、甲状腺機能異常等)があることに留意すること。
用法及び用量
*,**通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を皮下注射する。投与量は患者の状態に応じて適宜増減する。他のインスリン製剤を併用することがあるが、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日4~80単位である。但し、必要により上記用量を超えて使用することがある。注射時刻は原則として毎日一定とするが、必要な場合は注射時刻を変更できる。
通常、小児では、1日1回皮下注射する。注射時刻は毎日一定とする。投与量は患者の状態に応じて適宜増減する。他のインスリン製剤を併用することがあるが、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日0.5~1.5単位/kgである。但し、必要により上記用量を超えて使用することがある。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
適用にあたっては、本剤の作用持続時間や患者の病状に留意し、患者の病状が本剤の製剤的特徴に適する場合に投与すること。
2.
**成人では、注射時刻は原則として毎日一定とするが、通常の注射時刻から変更する必要がある場合は、血糖値の変動に注意しながら通常の注射時刻の前後8時間以内に注射時刻を変更し、その後は通常の注射時刻に戻すよう指導すること。注射時刻の変更に際して投与間隔が短くなる場合は低血糖の発現に注意するよう指導すること(「重要な基本的注意」、【臨床成績】の項参照)。
3.
糖尿病性昏睡、急性感染症、手術等緊急の場合は、本剤のみで処置することは適当でなく、速効型インスリン製剤を使用すること。
4.
中間型又は持効型インスリン製剤から本剤に変更する場合は、以下を参考に本剤の投与を開始し、その後の患者の状態に応じて用量を増減するなど、本剤の作用特性(【薬物動態】の項参照)を考慮の上慎重に行うこと。
(1)
*成人では、Basalインスリン製剤を用いた治療、Basal-Bolus療法による治療及び混合製剤による治療から本剤に切り替える場合、目安として、前治療で使用していたBasalインスリンと同じ単位数から投与を開始する。その後、それぞれの患者の血糖コントロールに基づき調整すること。但し、Basal-Bolus療法による治療において、1日2回投与のBasalインスリン製剤から本剤に切り替える場合、減量が必要な場合もある。
(2)
*小児では、Basalインスリン製剤を用いた治療、Basal-Bolus療法による治療、持続皮下インスリン注入(CSII)療法及び混合製剤による治療から本剤に切り替える場合は、本剤投与量は前治療で使用していたBasalインスリン相当量を目安とするが、低血糖リスクを回避するため減量を考慮すること。その後、それぞれの患者の血糖コントロールに基づき調整すること(【臨床成績】の項参照)。
5.
インスリン以外の他の糖尿病用薬から本剤に切り替える場合又はインスリン以外の他の糖尿病用薬と併用する場合は、低用量から開始するなど、本剤の作用特性(【薬物動態】の項参照)を考慮の上慎重に行うこと。
6.
*小児では、インスリン治療開始時の初期投与量は、患者の状態により個別に決定すること。
7.
本剤の投与開始時及びその後数週間は血糖コントロールのモニタリングを十分に行うこと。
併用する超速効型、速効型インスリン又は他の糖尿病用薬の用量や投与スケジュールの調整が必要となることがある。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
インスリン需要の変動が激しい患者
(1)
手術、外傷、感染症等の患者
(2)
妊婦(「妊婦・産婦・授乳婦等への投与」の項参照)
2.
次に掲げる低血糖を起こしやすい患者又は状態
(1)
重篤な肝又は腎機能障害
(2)
下垂体機能不全又は副腎機能不全
(3)
下痢、嘔吐等の胃腸障害
(4)
飢餓状態、不規則な食事摂取
(5)
激しい筋肉運動
(6)
過度のアルコール摂取者
(7)
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
(8)
血糖降下作用を増強する薬剤との併用(「相互作用」の項参照)
3.
低血糖を起こすと事故につながるおそれがある患者(高所作業、自動車の運転等の作業に従事している患者等)
重要な基本的注意
1.
インスリン製剤の使用上最も重要なことは、適応の決定と患者教育である。日常の糖尿病治療のためにインスリンを使用する場合、その注射法及び低血糖に対して患者自らも対処できるように十分指導すること。本剤の皮下からの吸収は、血流、体温、運動量等により異なるため、適切な注射法についても患者教育を十分行うこと。さらに、本剤の使用にあたっては、必ず添付の使用説明書を読むよう指導すること。また、すべての器具の安全な廃棄方法についても十分指導すること。
2.
投与を忘れた場合には、本剤の作用持続時間等の特徴から、気づいた時点で直ちに投与できるが、その次の投与は8時間以上あけてから行い、その後は通常の注射時刻に投与するよう指導すること(【臨床成績】の項参照)。
3.
2型糖尿病においては、急を要する場合以外は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分行ったうえで適用を考慮すること。
4.
低血糖を起こすことがあるので、注意すること。特に、食事を摂取しなかったり、予定外の激しい運動を行った場合、低血糖を引き起こしやすい。低血糖が無処置の状態で続くと低血糖昏睡等を起こし、重篤な転帰(中枢神経系の不可逆的障害、死亡等)をとるおそれがある。また、低血糖に関する注意について、患者及びその家族に十分徹底させること(「副作用」の項参照)。
5.
インスリンの用量が不足した場合、高血糖を起こすことがあるので、注意すること。
高血糖が無処置の状態で続くと悪心、嘔吐、眠気、潮紅、口渇、頻尿、脱水、食欲減退、呼気のアセトン臭、ケトアシドーシス、昏睡等を起こし、重篤な転帰をとるおそれがあるので、適切な処置を行うこと。
6.
*肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合はインスリン製剤を変更するなど適切な処置を行うこと。
7.
急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪、眼の屈折異常、治療後神経障害(主として有痛性)があらわれることがあるので注意すること。
8.
本剤は無色澄明な液剤であるため、速効型及び超速効型インスリン製剤と間違えないよう患者に十分な指導を行うこと。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
糖尿病用薬
ビグアナイド系薬剤
スルホニルウレア系薬剤
速効型インスリン分泌促進剤
α-グルコシダーゼ阻害剤
チアゾリジン系薬剤
DPP-4阻害薬
GLP-1受容体作動薬 等 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 血糖降下作用が増強される。
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 インスリン分泌促進、糖新生抑制作用による血糖降下作用を有する。
三環系抗うつ剤:ノルトリプチリン塩酸塩 等 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある。
サリチル酸誘導体:アスピリン、エテンザミド 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 糖に対するβ細胞の感受性の亢進やインスリン利用率の増加等による血糖降下作用を有する。また、末梢で弱いインスリン様作用を有する。
抗腫瘍剤:シクロホスファミド水和物 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある。
β-遮断剤:プロプラノロール塩酸塩、アテノロール、ピンドロール 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制する。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。
クマリン系薬剤:ワルファリンカリウム 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 機序不明
クロラムフェニコール 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 機序不明
ベザフィブラート 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する。
サルファ剤 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられている。腎機能低下、空腹状態の遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる。
シベンゾリンコハク酸塩、ジソピラミド、ピルメノール塩酸塩水和物 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(「副作用」の項参照)。 インスリン分泌作用を認めたとの報告がある。
チアジド系利尿剤:トリクロルメチアジド、シクロペンチアジド 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 カリウム喪失が関与すると考えられている。カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある。
副腎皮質ステロイド:プレドニゾロン、トリアムシノロン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
ACTH:テトラコサクチド酢酸塩 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 副腎皮質刺激作用により糖質コルチコイドの分泌が増加する。糖質コルチコイドは、糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
アドレナリン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 糖新生亢進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制による血糖上昇作用を有する。
グルカゴン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
甲状腺ホルモン:レボチロキシンナトリウム水和物、乾燥甲状腺 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
成長ホルモン:ソマトロピン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する。
卵胞ホルモン:エチニルエストラジオール、結合型エストロゲン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
経口避妊薬 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
ニコチン酸 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 末梢組織でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす。
濃グリセリン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する。
イソニアジド 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 炭水化物代謝を阻害することによる血糖上昇作用を有する。
ダナゾール 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 インスリン抵抗性を増強するおそれがある。
フェニトイン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 インスリン分泌抑制作用を有する。
蛋白同化ステロイド:メスタノロン 血糖降下作用の増強による低血糖症状(「副作用」の項参照)、又は減弱による高血糖症状(「重要な基本的注意」の項参照)があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 機序不明
ソマトスタチンアナログ製剤:オクトレオチド酢酸塩、ランレオチド酢酸塩 血糖降下作用の増強による低血糖症状(「副作用」の項参照)、又は減弱による高血糖症状(「重要な基本的注意」の項参照)があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
*,**成人:長期投与試験を含む臨床試験における安全性評価対象症例1098例(日本人725例)中、152例(13.8%)に229件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。日本人症例725例では93例(12.8%)に120件の副作用が認められた。全集団における主な副作用は、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪27例(2.5%)、重篤な低血糖22例(2.0%)、低血糖性意識消失15例(1.4%)及び体重増加15例(1.4%)であった(一変承認時)。
小児:臨床試験(主要期間26週間、延長期間26週間)における安全性評価対象症例174例(1~18歳)(日本人23例)中、47例(27.0%)に112件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。日本人症例23例では9例(39.1%)に19件の副作用が認められた。全集団における主な副作用は、注射部位反応9例(5.2%)、血中ケトン体増加7例(4.0%)及び重篤な低血糖5例(2.9%)であった(小児用法用量承認時)。
重大な副作用
1. 低血糖
低血糖(脱力感、倦怠感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、痙攣、意識障害(意識混濁、昏睡)等)があらわれることがある。
なお、徐々に進行する低血糖では、精神障害、意識障害等が主である場合があるので注意すること。また、長期にわたる糖尿病、糖尿病性神経障害、β-遮断剤投与あるいは強化インスリン療法が行われている場合では、低血糖の初期の自覚症状(冷汗、振戦等)が通常と異なる場合や、自覚症状があらわれないまま、低血糖あるいは低血糖性昏睡に陥ることがある。
低血糖症状が認められた場合には通常はショ糖を経口摂取し、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を経口摂取すること。
経口摂取が不可能な場合はブドウ糖を静脈内に投与するか、グルカゴンを筋肉内又は静脈内投与すること。
低血糖は臨床的にいったん回復したと思われる場合にも後で再発することがあるので、経過観察を継続して行うことが必要である。本剤の作用は持続的であるため、他の基礎インスリンの補充に用いる製剤と同様に、低血糖症状の回復が遅延するおそれがある。
2. アナフィラキシーショック(頻度不明)
アナフィラキシーショック(呼吸困難、血圧低下、頻脈、発汗、全身の発疹、血管神経性浮腫等)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 過敏症
頻度不明
アレルギー、蕁麻疹、そう痒感
2. *肝臓
頻度不明
肝機能異常注1)(AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等)
3. *神経系
0.4~5%未満
頭痛、めまい
4. *眼
0.4~5%未満
糖尿病網膜症の顕在化又は増悪
5. *注射部位
0.4~5%未満
注射部位反応注2)(疼痛、血腫、結節、熱感等)、リポディストロフィー(皮下脂肪の萎縮・肥厚等)
6. *,**その他
0.4~5%未満
血中ケトン体増加、体重増加
その他の副作用の注意
*注1)自発報告を含む副作用のため頻度不明
*注2)注射部位反応の症状の多くは軽度であり、治療の継続中に軽快又は消失している。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多く、低血糖が起こりやすいので、用量に留意し、定期的に検査を行うなど慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
本剤の妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。
妊娠した場合、あるいは妊娠が予測される場合には医師に知らせるよう指導すること。妊娠中、周産期、授乳期等にはインスリンの需要量が変化しやすいため、用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること。通常インスリン需要量は、妊娠初期は減少し、中期及び後期は増加する。
小児等への投与
*寛解期(ハネムーン期)の患者では減量を考慮すること。成長及び活動性に応じてインスリンの需要量が変化するので、投与量は患者の状態に応じて適宜増減すること。思春期の患者ではインスリン抵抗性が上昇するため、投与量が多くなることがある。
過量投与
1.
徴候・症状
低血糖が起こることがある(「重要な基本的注意」の項4及び「副作用」の項参照)。
2.
処置
低血糖の起こる時間はインスリンの種類、量等により異なるため、低血糖が発現しやすい時間帯に特に経過を観察し、適切な処置を行うこと(「副作用」の項参照)。
適用上の注意
1. 投与時
本剤は他の薬剤との混合により、成分が分解するおそれがあるため、本剤と他の薬剤を混合しないこと。
2. 保存時
使用中は冷蔵庫に入れず、室温に保管し、8週間以内に使用すること。残った場合は廃棄すること。
3. 投与経路
静脈内及び筋肉内に投与しないこと。皮下注射したとき、まれに注射針が血管内に入り、注射後直ちに低血糖があらわれることがあるので注意すること。
4. 投与部位
皮下注射は、大腿、上腕、腹部に行う。同じ部位に注射を行う場合は、その中で注射場所を毎回変えること。前回の注射場所より2~3cm離して注射すること。
5. その他
(1)
本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。
[本剤はA型専用注射針との適合性の確認をペンニードルで行っている。]
(2)
本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合が認められた場合には、新しい注射針に取り替える等の処置方法を患者に十分指導すること。
(3)
インスリンカートリッジにインスリン製剤を補充してはならない。
(4)
注射後、注射針は廃棄すること。注射針は毎回新しいものを、必ず注射直前に取り付けること。
(5)
液に濁りが生じたり、変色している場合は、使用しないこと。
(6)
インスリンカートリッジにひびが入っている場合は使用しないこと。
(7)
1本のフレックスタッチを複数の患者に使用しないこと。
その他の注意
1.
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある1)。
2.
ピオグリタゾンと併用した場合、浮腫が多く報告されている。併用する場合には、浮腫及び心不全の徴候を十分観察しながら投与すること。
薬物動態
1. 1型糖尿病患者における薬物動態及び薬力学的プロファイル
(1) 日本人1型糖尿病患者2)
1型糖尿病患者22例に本剤0.4単位/kgを6日間1日1回皮下投与した。本剤は定常状態において平坦で安定したプロファイルを示し、本剤の半減期は18時間であった(作用持続化の機序は【薬効薬理】の項参照)。
1回の投与間隔(24時間)での本剤の曝露量は、投与開始後~12時間と投与後12時間以降で同様であった(AUC0-12h,SSとAUCτ,SSの比は0.53)。血中濃度は投与後2~3日で定常状態に達した。
また、定常状態(1日1回6日間投与後)における本剤の24時間平均グルコース注入速度(グルコースクランプにおけるGIR)推移プロファイルから、本剤の血糖降下作用は一定であり、平坦で安定していることが示された。
1回の投与間隔(24時間)での本剤の血糖降下作用についても、投与開始後~12時間及び投与後12時間以降で同様であった(AUCGIR,0-12h,SSとAUCGIR,τ,SSの比は0.48)。
本剤の作用持続時間は長く、検討したすべての患者において26時間を超えていた。
(2) 1型糖尿病患者における作用持続時間(参考:海外臨床試験)3)
1型糖尿病患者66例に本剤0.4、0.6及び0.8単位/kg(1用量22例)を1日1回8日間皮下投与し、本剤の作用持続時間を検討した(42時間グルコースクランプ)。
定常状態において、0.4単位/kgを投与した3例を除き、42時間のグルコースクランプ実施中にインスリンの追加注入が必要な血糖の上昇はみられず、本剤の作用持続時間は長く、42時間を超えていた。
2. 血糖降下作用の個体内変動(参考:海外臨床試験)4)
1型糖尿病患者に本剤(26例)又はインスリン グラルギン(27例)0.4単位/kgを1日1回12日間投与し、定常状態における血糖降下作用の日間の個体内変動を製剤間で比較検討した。血糖降下作用は、投与後6日、9日及び12日に評価した。
定常状態における本剤の血糖降下作用の日間の個体内変動係数(CV)はインスリン グラルギンの4分の1であった。1回の投与間隔における血糖降下作用(AUCGIR,τ,SS)のCV%は、本剤及びインスリン グラルギンでそれぞれ20%及び82%であった。また、投与後2~24時間における血糖降下作用(AUCGIR,2-24h,SS;クランプ開始時の静脈内注入インスリンの影響を受けない)のCV%は、本剤及びインスリン グラルギンでそれぞれ、22%及び92%であった。
3. 高齢者における薬物動態(参考:海外臨床試験)5)
若年(19~34歳:平均年齢27.1歳)及び高齢(65~78歳:平均年齢67.8歳)の1型糖尿病患者に本剤0.4単位/kgを1日1回6日間投与し、定常状態における本剤の薬物動態を評価した。本剤の平坦で安定した薬物動態プロファイルは高齢者においても認められ、若年者及び高齢者の薬物動態プロファイルに違いは認められなかった。
(表1参照)
4. 小児における薬物動態(参考:海外臨床試験)6)
小児(8~11歳:平均年齢10.3歳)、青年期(12~17歳:平均年齢14.3歳)及び成人(18~57歳:平均年齢25.6歳)の1型糖尿病患者に本剤0.4単位/kgを単回投与した。本剤の薬物動態プロファイルの特性は小児及び青年期の患者においても認められた。総曝露量は成人患者より小児及び青年期患者において大きかった。
(表2参照)
5. 腎機能障害患者における薬物動態(参考:海外臨床試験)7)
腎機能障害の程度の異なる患者[クレアチニンクリアランス(mL/min)に基づく分類。軽度(50以上80以下)、中等度(30以上50未満)、重度(30未満)、末期(血液透析を必要とする患者)、各群6例]に本剤0.4単位/kgを単回投与し、薬物動態を比較した。腎機能障害患者と健康成人の本剤の薬物動態プロファイルに違いは認められなかった。
(表3参照)
6. 肝機能障害患者における薬物動態(参考:海外臨床試験)8)
肝機能障害の程度の異なる患者[Child-Pugh scoresに基づく分類。軽度:Grade A(5~6ポイント)、中等度:Grade B(7~9ポイント)、重度:Grade C(10~15ポイント)]に本剤0.4単位/kgを単回投与し、本剤の薬物動態を比較した。肝機能障害患者と健康成人の本剤の薬物動態プロファイルに違いは認められなかった。
(表4参照)
7. 投与部位による比較(参考:海外臨床試験)9)
健康被験者20例に本剤0.4単位/kgを大腿部、腹部、上腕部に単回皮下投与し、24時間グルコースクランプ下において、薬物動態プロファイル及び血糖降下作用を検討した。他のインスリン製剤投与後でもみられるように、本剤の総曝露量(AUC0-120h,SD)は、大腿部への皮下投与と比較し、腹部又は上腕部への皮下投与で6~7%大きかった。腹部又は上腕部と大腿部での本剤の曝露量の違いは血糖降下作用の差をもたらすものではなかった。
薬物動態の表
表1:高齢者における薬物動態(参考:海外臨床試験)5)
AUCτ,SS比
[95%信頼区間] Cmax,SS比
[95%信頼区間]
高齢者/若年者 1.04[0.73;1.47] 1.02[0.74;1.39]
高齢者 n=13、若年者 n=13
表2:小児における薬物動態(参考:海外臨床試験)6)
年齢層 AUC0-∞,SD比
[95%信頼区間] Cmax,SD比
[95%信頼区間]
小児/成人 1.48[0.98;2.24] 1.20[0.90;1.60]
青年/成人 1.33[1.08;1.64] 1.23[1.00;1.51]
小児 n=12、青年 n=13、成人 n=12
表3:腎機能障害患者における薬物動態(参考:海外臨床試験)7)
AUC0-120h,SD比
[90%信頼区間]
軽度/正常 1.12[0.77;1.63]
中等度/正常 1.12[0.78;1.60]
重度/正常 1.20[0.83;1.74]
末期/正常注) 1.02[0.74;1.40]
注)末期腎疾患を有する患者については、投与後68時間までの測定に基づき算出したAUC0-∞,SD
正常 n=6、 軽度 n=6、中等度 n=6、重度 n=6、末期 n=6
表4:肝機能障害患者における薬物動態(参考:海外臨床試験)8)
AUC0-120h,SD比
[90%信頼区間]
軽度/正常 0.95[0.77;1.16]
中等度/正常 1.00[0.82;1.22]
重度/正常 0.92[0.74;1.14]
正常 n=6、 軽度 n=6、中等度 n=6、重度 n=6
臨床成績
1. 1型糖尿病患者における試験:Basal-Bolus療法(国際共同治験)10) 11)
Basal-Bolus療法を実施中の1型糖尿病患者456例[本剤群:303例(日本人:124例)、インスリン デテミル群:153例(日本人:62例)]を対象とし、26週間投与試験を実施した。本剤又はインスリン デテミルを1日1回夕方(夕食開始時から就寝前まで)に、インスリン アスパルト(Bolusインスリン)を各食直前に投与した。試験実施中、本剤及びインスリン デテミルの投与量は、平均朝食前血糖値(血糖自己測定)に基づいて継続的に調節した。インスリン デテミル群では、投与後8週以降、必要に応じて1日2回投与を可とした。
HbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤のインスリン デテミルに対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は-0.09%であった。空腹時血糖値(FPG)の低下量は本剤群で大きかった。
低血糖(血糖値が56mg/dL未満であった低血糖及び第三者による処置が必要な低血糖)の患者あたりの発現件数は、26週にわたって両群で同様であった。夜間低血糖(0:01から5:59に発現した低血糖)の患者あたりの発現件数は、最初の4週間は両群で同様であったが、それ以降の期間ではインスリン デテミル群と比較して本剤群で少なかった。夜間低血糖の患者あたりの年間発現件数はインスリン デテミル群と比較して本剤群で少なかった。
有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。
上記試験をさらに26週間延長して、長期安全性を検討した試験では、血糖コントロールが52週まで維持され、本剤投与後に予期しない安全性上の問題は認められなかった。
2. インスリン治療歴のない2型糖尿病患者における試験:本剤の1日1回投与と経口糖尿病薬との併用療法(アジア共同治験)12)
インスリン治療歴のない2型糖尿病患者435例[本剤群:289例(日本人:89例)、インスリン グラルギン群:146例(日本人:44例)]を対象とし、26週間投与試験を実施した。本剤又はインスリン グラルギンは、経口糖尿病薬(メトホルミン、スルホニルウレア薬、グリニド薬又はα-グルコシダーゼ阻害薬)の併用下で1日1回投与した。試験実施中、本剤及びインスリン グラルギンの投与量は、平均朝食前血糖値(血糖自己測定)に基づいて継続的に調節した。
HbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤のインスリン グラルギンに対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は0.11%であった。FPGの低下量は両群で同様であった。維持期間(投与後16週以降と定義:インスリン投与量が安定し、安定した血糖コントロールが得られたと考えられる時点以降)における低血糖及び夜間低血糖(低血糖の定義は【臨床成績】の項1と同様)の患者あたりの年間発現件数は、インスリン グラルギン群と比較して本剤群で少なく、低血糖及び夜間低血糖の発現件数の比(本剤/インスリン グラルギン)の推定値[95%信頼区間]は、それぞれ0.63 [0.42;0.94]及び0.52 [0.27;1.00]であった。有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。
3. 注射のタイミングの検討
(1) **インスリンによる治療を受けている日本人2型糖尿病患者における試験13)
経口血糖降下薬の併用又は非併用下で持効型インスリンによる治療を受けている2型糖尿病患者458例[本剤の注射時刻を変更可能な群(変更可能群):229例、本剤を固定時刻に注射する群(固定時刻群):229例]を対象とし、26週間投与試験を実施した。変更可能群では、毎日ほぼ同じ時刻に注射すべきであるが、必要な場合は、合意した注射時刻から±8時間の範囲で注射時刻を変更してもよいこととした。固定時刻群では、試験期間を通して本剤を毎日同じ時刻に注射することとした。
各投与群の全投与回数に対し、予定された注射時刻と実際の注射時刻の差が2時間以内であった割合は、変更可能群で87.3%、固定時刻群で97.0%、2~4時間以内の場合は、変更可能群で6.8%、固定時刻群で1.9%、4~8時間以内の場合は、変更可能群で5.4%、固定時刻群で1.0%であった。
HbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤の注射時刻を変更可能とした投与の本剤の固定時刻での投与に対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は0.08%であった。FPGの低下量は両群で同様であった。確定低血糖及び確定夜間低血糖の単位時間あたりの発現件数並びにそれらの発現した被験者の割合に、変更可能群と固定時刻群との間に明らかな違いは認められなかった。有害事象及びその他の安全性評価項目に群間で明らかな違いは認められなかった。
(2) **1型糖尿病及び2型糖尿病患者における試験(参考:海外臨床試験)14) 15)
1型糖尿病患者(Basal-Bolus療法)及び2型糖尿病患者[経口糖尿病薬(メトホルミン、スルホニルウレア薬、グリニド薬又はピオグリタゾン)との併用療法]に本剤を1日1回夕食時に投与、又は注射時刻を曜日により変更して投与した(投与期間:26週間)。注射時刻を変更した場合では、月水金曜日には朝(前回投与から8~12時間後)、火木土曜日には夕方(前回投与から36~40時間後)、日曜日には夕方(前回投与から24時間後)に投与した。
両試験の結果、本剤の注射時刻を変更した場合においても、HbA1cを指標とした長期血糖コントロールは改善された(本剤を1日1回夕食時に投与した場合に対して非劣性)。また、注射時刻を変更した場合においても、夜間低血糖(低血糖の定義は【臨床成績】の項1と同様)の発現に明らかな違いは認められなかった。
4. *小児1型糖尿病患者における試験:Basal-Bolus療法(国際共同治験)16)
小児(1~18歳未満)1型糖尿病患者350例[本剤群:174例(日本人:23例)、インスリン デテミル群:176例(日本人:32例)]を対象とし、26週間投与試験を実施した。前治療のインスリン療法からインスリン アスパルト(Bolusインスリン)と本剤又はインスリン デテミルを用いたBasal-Bolus療法に、BasalインスリンとBolusインスリンの比が30:70から50:50の間になるように切り替えた。本剤は1日1回一定の時刻に、インスリン デテミルは承認されている用法・用量に従って1日1回又は2回投与した。インスリン デテミル群では1日1回投与から1日2回投与への変更を可とした。インスリン アスパルトは各食直前に投与した。試験実施中、本剤及びインスリン デテミルの投与量は、3日間の朝食前血糖値(血糖自己測定)の最低値に基づいて継続的に調節した。
投与後26週のHbA1cを指標とした血糖コントロールについて、本剤のインスリン デテミルに対する非劣性が検証された(非劣性マージン:0.4%)。群差の推定値は0.15%であった。26週の投与期間中の空腹時血糖値(FPG)は、本剤群では低下し、インスリン デテミル群では上昇した。低血糖注1)及び夜間低血糖(23:00から7:00に発現した低血糖)の患者あたりの年間発現件数は両群で同様であった。重大な低血糖[国際小児・思春期糖尿病学会(ISPAD)2009の定義による]の患者あたりの発現件数は、最初の4週ではインスリン デテミル群と比較して本剤群で多い傾向がみられた。ケトーシス(1.5mmol/L超)を伴う高血糖(250mg/dL超)はインスリン デテミル群と比較して本剤群で少なく、患者あたりの年間発現件数の比(本剤/インスリン デテミル)は0.36(95%信頼区間[0.17;0.76])であった。有害事象及びその他の安全性評価項目について、本剤群で安全性上の問題は認められなかった。抗体発現はわずかにみられたが、臨床的な影響はなかった。
上記試験をさらに26週間延長して、長期安全性を検討した。延長期間においても本剤群のHbA1cの低下は維持された。投与後52週のHbA1cの低下量は両群で同様であり、群差の推定値は-0.01%(95%信頼区間[-0.20;0.19])であった。延長期間中、本剤投与後に予期しない安全性上の問題は認められなかった。
本剤群の試験開始前及び試験期間中のインスリン投与量は以下のとおりであった。
薬効薬理
作用機序
インスリン デグルデクは、製剤中では可溶性のダイへキサマーとして存在するが、投与後、皮下組織において会合して、可溶性で安定なマルチヘキサマーを形成し、一時的に注射部皮下組織にとどまる。インスリン デグルデクモノマーはマルチへキサマーから徐々に解離するため、投与部位から緩徐にかつ持続的に血中に吸収され、長い作用持続時間をもたらす。さらに、皮下注射部位及び血中で脂肪酸側鎖を介してアルブミンと結合し、作用の持続化に寄与する17)。
本剤の主な薬理作用は、グルコース代謝の調節である。本剤を含むインスリン製剤は、インスリンレセプターに結合し、特異的な作用を発現する。インスリンレセプターに結合したインスリンは、骨格筋及び脂肪細胞における糖の取り込みを促進し、また肝臓におけるグルコース産生を阻害することによって血糖値を降下させる。さらに、脂肪細胞における脂肪分解及び蛋白質分解を阻害し、蛋白質合成を促進する。
有効成分に関する理化学的知見
1. 一般名
インスリン デグルデク(遺伝子組換え)[命名法:JAN]
Insulin Degludec (Genetical Recombination)[命名法:JAN]
2. 分子式
C274H411N65O81S6
3. 分子量
6,103.97
4. 構造式
5. 性状
白色の粉末である。
*承認条件
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
包装
1筒3mL(100単位/mL)
トレシーバ注 フレックスタッチ:2本
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Herings, R.M.C. et al.:Lancet, 345, 1195 (1995)
2)
トレシーバ注 第1相試験(NN1250-1996)(社内資料)
3)
トレシーバ注 第1相試験(NN1250-1993)(社内資料)
4)
Heise T. et al.:Diabetes Obes Metab, 14, 859 (2012)
5)
*Korsatko S. et al.: Drugs Aging, 31, 47 (2014)
トレシーバ注 第1相試験(NN1250-1994)(社内資料)
6)
*Biester T. et al.: Pediatr Diabetes, 15, 27 (2014)
トレシーバ注 第1相試験(NN1250-1995)(社内資料)
7)
*Kiss I. et al.: Clin Pharmacokinet, 53, 175 (2014)
トレシーバ注 第1相試験(NN1250-1990)(社内資料)
8)
*Kupcova V. et al.: Clin Drug Investig, 34, 127 (2014)
トレシーバ注 第1相試験(NN1250-1989)(社内資料)
9)
*Nosek L. et al.: Clin Drug Investig, 34, 673 (2014)
トレシーバ注 第1相試験(NN1250-1992)(社内資料)
10)
*Davies MJ. et al.: Diabetes Obes Metab, 16, 922 (2014)
トレシーバ注 第3相試験(NN1250-3585)(社内資料)
11)
トレシーバ注 第3相試験(NN1250-3725)(社内資料)
12)
*Onishi Y. et al.: J Diabetes Investig, 4, 605 (2013)
トレシーバ注 第3相試験(NN1250-3586)(社内資料)
13)
**トレシーバ注 第3相試験(NN1250-4060)(社内資料)
14)
Meneghini L. et al.: Diabetes Care, 36, 858 (2013)
トレシーバ注 第3相試験(NN1250-3668)(社内資料)
15)
Mathieu C. et al.: J Clin Endocrinol Metab, 98(3), 1154 (2013)
トレシーバ注 第3相試験(NN1250-3770)(社内資料)
16)
*Thalange N. et al.: Pediatr Diabetes, 16(3), 164 (2015)
トレシーバ注 第3相試験(NN1250-3561)(社内資料)
17)
Jonassen I. et al.:Pharm Res, 29, 2104 (2012)
文献請求先
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製造販売元
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