39;危険因子
本剤はα遮断作用を有するため、併用によりこれらの血管拡張作用による降圧作用を増強するおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
ハルナールカプセル承認時及び市販後の使用成績調査における調査症例4,724例中、ハルナールカプセルとの関連が疑われる副作用(臨床検査値異常を含む)は104例(2.2%)に発現し、主なものはめまい、胃不快感等であった。(ハルナールカプセル再審査結果通知:2003年11月)
重大な副作用
1. 失神・意識喪失(頻度不明)
血圧低下に伴う一過性の意識喪失等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し適切な処置を行うこと。
2. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、黄疸等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
精神神経系
0.1~5%未満
めまい、ふらふら感
精神神経系
0.1%未満
立ちくらみ、頭痛、眠気
精神神経系
頻度不明
いらいら感、しびれ感
循環器
0.1%未満
血圧低下、起立性低血圧、頻脈、動悸
循環器
頻度不明
不整脈
*過敏症注)
0.1%未満
そう痒感、発疹
*過敏症注)
頻度不明
蕁麻疹、多形紅斑
消化器
0.1~5%未満
胃不快感
消化器
0.1%未満
嘔気、嘔吐、口渇、便秘、胃重感、胃痛、食欲不振、下痢、嚥下障害
その他
0.1%未満
鼻閉、浮腫、尿失禁、咽頭灼焼感、全身倦怠感
*その他
頻度不明
味覚異常、女性化乳房、持続勃起症、射精障害、術中虹彩緊張低下症候群、霧視、視力障害、ほてり、熱感、灼熱感
その他の副作用の注意
注)投与を中止すること。
高齢者への投与
高齢者では腎機能が低下していることがあるので、腎機能が低下している場合は0.1mgから投与を開始し、経過を十分に観察した後に0.2mgに増量すること。0.2mgで期待する効果が得られない場合にはそれ以上の増量は行わず、他の適切な処置を行うこと。
適用上の注意
1. 薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
2. 服用時:
(1)
本剤は噛み砕かずに服用させること。[本剤はタムスロシン塩酸塩の徐放性粒を含有しており、噛み砕いた際に徐放性粒が壊れ、薬物動態が変わる可能性がある。]
(2)
本剤は舌の上にのせ唾液を浸潤させ舌で軽くつぶし、崩壊後唾液のみで服用可能である。
(3)
本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。
その他の注意
(1)
α1遮断薬を服用中又は過去に服用経験のある患者において、α1遮断作用によると考えられる術中虹彩緊張低下症候群(Intraoperative Floppy Iris Syndrome)があらわれるとの報告がある。
(2)
前立腺肥大症の診断・診療については、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考にすること。
薬物動態
1. 血漿中濃度
健康成人にハルナールD錠0.2mgあるいはハルナール0.2mgカプセルをそれぞれクロスオーバー法で単回経口投与した場合、タムスロシン塩酸塩の血漿中未変化体濃度は下記の図に示したとおりである1)。(「薬物動態の表」表1参照)
健康成人にハルナールカプセルを0.1~0.6mg経口投与したとき、血漿中未変化体濃度は投与後7~8時間にピークを示し、半減期は9.0~11.6時間であった2)。Cmax及びAUCは投与量にほぼ比例して上昇した。ハルナールカプセルを7日間連続経口投与したとき、半減期はやや延長したが、血漿中未変化体濃度推移は4日目で定常状態に達した3)。(「薬物動態の表」表2参照)
腎機能障害患者11名にハルナール0.2mgカプセルを経口投与したとき、血圧低下はみられなかったが、腎機能重度障害者の2名でタムスロシン塩酸塩の血漿中薬物濃度の上昇がみられた。この血漿中薬物濃度の上昇は、血漿中α1-AGP(α1酸性糖蛋白)との蛋白結合による可能性があり、血漿中薬物濃度とα1-AGP濃度の間には高い相関が認められた。
なお、タムスロシン塩酸塩の薬効あるいは副作用発現に直接関与すると考えられる非結合型薬物濃度は、血漿中α1-AGP濃度にかかわらず腎機能正常者のそれとほぼ同様であった4)。
2. 代謝・排泄
健康成人にハルナールカプセルを0.1~0.6mg経口投与したとき、投与後30時間までの未変化体の尿中排泄率は12~14%とほぼ一定であった2)。また、連続経口投与したときも尿中排泄率に大きな変動は認められなかった3)。
(注)本剤の承認された1日用量は、0.2mgである。なお、年齢、症状により適宜増減する。
3. 生物学的同等性
ヒトにハルナールD錠及びハルナールカプセルを経口投与した場合、それぞれの剤形で血漿中未変化体濃度の推移はほぼ同じであり、生物学的に同等である1)5)6)。
薬物動態の表
表1
製剤 投与量 Cmax(ng/mL) AUCt(ng・h/mL) t1/2(h) Tmax(h)
ハルナールD錠0.2mg 0.2mg 4.34±1.32 63.5±22.9 11.70±2.96 7.00±2.04
ハルナール0.2mgカプセル 0.2mg 4.71±1.81 62.0±20.8 10.27±3.27 7.83±2.42
表2 <ハルナールカプセルの臨床用量での値>
用量(mg) Tmax(h) Cmax(ng/mL) t1/2(h)
0.1 7.0 3.2 11.6
0.2 8.