に致命的な経過をたどることがあるので,以下の点に注意すること。
(1)
緊急時に十分処置できる医療施設及びがん化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。
なお,本剤の使用にあたっては,添付文書を熟読すること。
(2)
頻回に臨床検査(血液検査,肝機能検査,腎機能検査等)を行うなど,患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量,休薬,中止等の適切な処置を行うこと。骨髄抑制は用量依存的に発現する副作用であり,用量規制因子である。白血球減少の最低値は一般に,投与開始日より約2週間後1),2)にあらわれる。
(3)
化学療法を繰り返す場合には,副作用からの十分な回復を考慮し,少なくとも3週間の休薬を行うこと。ただし,胚細胞腫瘍に対する標準的な確立された他の抗悪性腫瘍剤との併用療法においては,16日間の休薬を行うこと。また,使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ,遷延性に推移することがあるので,投与は慎重に行うこと。
(4)
他の抗悪性腫瘍剤,放射線照射を併用する場合には,骨髄抑制等の副作用が増悪することがあるので,患者の状態を観察しながら,減量するなど用量に注意すること。
(5)
本剤の投与にあたってはG-CSF製剤等の適切な使用に関しても考慮すること。
2.
感染症,出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
3.
小児に投与する場合には,副作用の発現に特に注意し,慎重に投与すること。
4.
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には,性腺に対する影響を考慮すること(「その他の注意」の項の2.参照)。
5.
急性白血病の治療の場合,末梢血液及び骨髄所見を随時検査し,投与期間を短縮又は延長すること。
6.
本剤と他の抗悪性腫瘍剤の併用により,急性白血病(前白血病相を伴う場合もある),骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告があるので,十分に注意すること。3)~8)
7.
本剤と他の抗悪性腫瘍剤,放射線照射の併用により,肝中心静脈閉塞症(VOD)が発症したとの報告があるので,十分に注意すること。9),10)
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
抗悪性腫瘍剤,放射線照射
臨床症状・措置方法
骨髄抑制等の副作用を増強することがあるので,併用療法を行う場合には,患者の状態を観察しながら,減量するなど用量に注意すること。
機序・危険因子
ともに骨髄抑制作用を有する。
副作用
概要(再審査終了時までの集計)
総症例4,586例(承認時561例及び使用成績調査4,025例)における副作用及び臨床検査値異常の発現率は89.2%であり,主なものは白血球減少68.5%,貧血(赤血球減少及びヘモグロビン減少)51.8%,血小板減少46.0%,食欲不振49.5%,脱毛44.4%,嘔気39.9%,嘔吐30.3%,倦怠感19.4%,発熱10.2%,口内炎9.7%などであった。
重大な副作用
1. 汎血球減少(0.2%)等の骨髄抑制
汎血球減少,白血球減少,好中球減少,血小板減少,出血,貧血等があらわれることがあるので,頻回に血液検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には減量,休薬,中止等の適切な処置を行うこと。
2. **ショック(0.2%),アナフィラキシー(頻度不明)
ショック,アナフィラキシーを起こすことがあるので,観察を十分に行い,チアノーゼ,呼吸困難,胸内苦悶,血圧低下等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
3. 間質性肺炎(0.1%未満)
発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常,好酸球増多等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 肝臓
10%以上又は頻度不明
AST(GOT)上昇,ALT(GPT)上昇
2. 肝臓
1~10%未満
ビリルビン上昇,γ-GTP上昇,Al-P上昇,LDH上昇
3. 腎臓
1~10%未満
BUN上昇,クレアチニン上昇,尿蛋白
4. 消化器
10%以上又は頻度不明
悪心・嘔吐,食欲不振
5. 消化器
1~10%未満
口内炎,下痢,腹痛,便秘
6. 過敏症注
1~10%未満
発疹
7. 皮膚
10%以上又は頻度不明
脱毛
8. 皮膚
1%未満
紅斑,そう痒,色素沈着
9. 精神神経系
1~10%未満
頭痛
10. 精神神経系
1%未満
しびれ,一過性皮質盲
11. 循環器
1~10%未満
頻脈
12. 循環器
1%未満
心電図異常,不整脈,血圧低下
13. 電解質
1%未満
ナトリウム異常,クロール異常,カリウム異常,カルシウム異常
14. その他
10%以上又は頻度不明
倦怠感,発熱,注射部位反応※(発赤,腫脹,疼痛,壊死,硬結等)
15. その他
1%未満
顔面潮紅,浮腫,血清総蛋白減少,味覚異常
※:頻度不明
注:このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
高齢者への投与
高齢者では,一般に生理機能(骨髄機能,肝機能,腎機能等)が低下しており,本剤の投与で骨髄抑制等の副作用の発現率が高い傾向が認められているので,頻回に臨床検査を行い,用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
**妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また,妊娠する可能性のある女性及びパートナーが妊娠する可能性のある男性には,適切な避妊をするよう指導すること。[妊娠中に本剤を投与された患者で児の奇形が報告されており、動物実験(ラット,ウサギ)で催奇形性、胎児毒性が認められている。また,マウスに本剤10mg/kg以上を投与した結果,マウス精原細胞に染色体異常が認められたとの報告がある。]
2.
授乳婦に投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]