よる好中球減少症患者に対しては、がん化学療法剤の投与前24時間以内及び投与終了後24時間以内の本剤の投与は避けること。
4. 骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症に対する注意
骨髄異形成症候群のうち、芽球増加を伴う病型例は骨髄性白血病への移行の危険性が知られていることから、本剤の使用に際しては採取細胞についてin vitroで芽球コロニーの増加が認められないことを確認することが望ましい。
5. HIV感染症の治療に支障を来す好中球減少症に対する注意
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症患者への投与に際しては、投与期間は2週間を目安とし、さらに継続投与が必要な場合でも6週間を限度とする(本剤を6週間を超えて投与した場合の安全性は確立していない)。投与期間中は観察を十分に行い、必要以上に好中球数が増加しないよう慎重に投与すること(顆粒球系前駆細胞が減少し、本剤に対する反応性が減弱する可能性がある)。また、本剤を1週間以上投与しても好中球数の増加がみられない場合は投与を中止し、適切な処置を取ること。なお、本剤投与によりHIVが増殖する可能性は否定できないので原疾患に対する観察を十分に行うこと。
6. 免疫抑制療法(腎移植)に伴う好中球減少症に対する注意
免疫抑制療法(腎移植)に伴う好中球減少症患者に投与する場合には、観察を十分に行い、好中球数2,500/mm3(白血球数5,000/mm3)以上を維持するように投与量を調節すること。
7. 再生不良性貧血に伴う好中球減少症及び先天性好中球減少症に対する注意
本剤を自己投与させる場合、患者に投与法及び安全な廃棄方法の指導を行うこと。
(1)
自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。また、溶解時や投与する際の操作方法を指導すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること。
(2)
使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底すること。すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射針及び注射器を廃棄する容器を提供することが望ましい。
副作用
副作用等発現状況の概要
一変承認時(2001年12月)までの臨床試験における総症例1,776例中170例(9.6%)322件に副作用が認められた。その主な副作用は、発熱40例(2.3%)、背部痛24例(1.4%)、頭痛21例(1.2%)、骨痛18例(1.0%)、芽球増加(急性骨髄性白血病患者の場合)17例(1.0%)、発疹10例(0.6%)、肝機能異常7例(0.4%)、血小板減少7例(0.4%)、けん怠感7例(0.4%)、胸痛6例(0.4%)等であった。また、主な臨床検査値異常変動は、LDH上昇5.6%(96/1,729)、Al‐P上昇5.4%(91/1,696)、ALT(GPT)上昇2.2%(39/1,742)、AST(GOT)上昇1.4%(24/1,742)等であった。(一変承認時:2001年12月)
発売から1997年までの使用成績調査における安全性評価対象例6,000例中569例(9.5%)839件に副作用が認められた。その主な副作用は、LDH上昇216件(3.6%)、Al‐P上昇123件(2.1%)、ALT(GPT)上昇66件(1.1%)、発熱54件(0.9%)、AST(GOT)上昇39件(0.7%)、肝機能異常35件(0.6%)、背部痛34件(0.6%)等であった。(再審査結果時:2006年9月)
2000年から2004年までの使用成績調査(造血幹細胞の末梢血中への動員及び造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進)における安全性評価対象例1,309例中485例(37.1%)931件に副作用が認められた。その主な副作用は、LDH上昇333件(25.4%)、Al‐P上昇150件(11.5%)、背部痛92件(7.0%)、発熱57件(4.4%)、ALT(GPT)上昇46件(3.5%)、AST(GOT)上昇40件(3.1%)、骨痛39件(3.0%)等であった。(再審査結果時:2006年12月)
重大な副作用
1. **ショック、アナフィラキシー
頻度不明
ショック、アナフィラキシーを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 間質性肺炎
頻度不明
間質性肺炎が発現又は増悪することがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難及び胸部X線検査異常等が認められた場合には、本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
3. 芽球の増加
頻度不明
急性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群患者において、芽球の増加を促進させることがあるので、観察を十分に行い、芽球の増加が認められた場合には投与を中止すること。
4. 急性呼吸窮迫症候群
頻度不明
急性呼吸窮迫症候群が発現することがあるので観察を十分に行い、急速に進行する呼吸困難、低酸素血症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には本剤の投与を中止し、呼吸管理等の適切な処置を行うこと。
5. 脾破裂
頻度不明
造血幹細胞の末梢血中への動員を目的としてドナー及び患者に本剤を使用する場合には、過剰な作用に伴い脾破裂が発現する可能性があるので、血液学的検査値の推移に留意するとともに、腹部超音波検査等により脾臓への影響を観察し、脾腫が認められた場合は、必要に応じて本剤の減量、中止等の適切な処置を行うこと。
6. *毛細血管漏出症候群
頻度不明
毛細血管漏出症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、低血圧、低アルブミン血症、浮腫、肺水腫、胸水、腹水、血液濃縮等が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
以下のような副作用が認められた場合には、減量・休薬など適切な処置を行うこと。
1.皮膚
頻度不明
好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet症候群等)
2.皮膚
2%未満
皮疹・発疹、蕁麻疹、そう痒感
3.肝臓
2%未満
肝機能異常、ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇、γ‐GTP上昇、ビリルビン上昇
4.消化器
2%未満
嘔気・嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛※
5.筋・骨格系
2%未満
背部痛、骨痛、関節痛、胸痛
6.呼吸器