投与を中止すること。
適用上の注意
静脈内注射により、血管痛を起こすことがあるので、注射速度はできるだけ遅くすること。
薬物動態
1.
血中濃度
本剤は高い血中ビタミンB1濃度を持続する(健康人)。1)
2.
体液・組織移行
本剤はリポイド易溶性で組織に対する親和性が強く、血球等によく移行する。また、体内貯留性がよい(健康人)。2,3)
3.
代謝
本剤は細胞内で速やかに非酵素的にビタミンB1に復元した後エステル化され、多量の結合型B1(コカルボキシラーゼ)を生成する(健康人)。4)
薬効薬理
1.
神経機能障害改善作用
ビタミンB1は神経組織の形態保持上重要であり、また、神経インパルス伝導に際してビタミンB1が遊離消費され5)、神経細胞内のコカルボキシラーゼは糖代謝に対する依存性が大きい神経細胞のエネルギー産生に関与していること6)等が示されている。
本剤は神経組織へ移行するとともに、神経細胞の増殖促進(in vitro)7)、神経再生促進(ウサギ)8,9)、骨格筋活動電位の増加(ラット)10)等の作用が認められており、ビタミンB1の欠乏又は代謝障害と関連する神経機能障害を改善する。
2.
心筋代謝障害改善作用
本剤はビタミンB1に比べて心筋細胞へのとりこみがよく、心筋内ではほとんどがコカルボキシラーゼとして存在すること(ラット)11)、麻酔イヌで心筋代謝障害改善作用が認められていること12)より、心筋内でコカルボキシラーゼとなって、心筋代謝障害を改善すると考えられている。
3.
腸管蠕動運動亢進作用
本剤は腸管蠕動運動亢進作用を示す(イヌ)13)が、この作用は腸管内アウエルバッハ神経叢内に存在すると考えられる腸運動亢進ノイロンへの作用によるとされている。14)なお、ビタミンB1ではこの亢進作用はほとんど認められていない。13)
有効成分に関する理化学的知見
化学構造式
一般名
フルスルチアミン塩酸塩(Fursultiamine Hydrochloride)〔JAN〕
*化学名
N-(4-Amino-2-methylpyrimidin-5-ylmethyl)-N-{(1Z)-4-hydroxy-1-methyl-2-[(2RS)-tetrahydrofuran-2-ylmethyldisulfanyl]but-1-en-1-yl}formamide monohydrochloride
分子式
C17H26N4O3S2・HCl
分子量
435.00
融点(分解)
160~161℃
*性状
フルスルチアミン塩酸塩は白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味は苦い。水、メタノール又はエタノール(95)に溶けやすい。結晶多形が認められる。
取扱い上の注意
【注意】
(1)
注射液使用時の一般的注意として、細菌等による汚染を避けるため、一部使用後の残液は使用しないこと。
(2)
アリナミンF注射液を吸引した注射筒に血液を吸引すると、赤血球が凝集するが、この凝集は可逆性で血清中では容易に解離する。
(3)
本品は「ワンポイントカットアンプル」を使用しているので、ヤスリを用いず、アンプル枝部のマーク(白)の反対方向に折り取ること。
包装
25mg・10mL : 50管
50mg・20mL : 50管
100mg・20mL : 50管
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Yano,R.: Med.Klin.,59 : 1396,1964.
2)
宮地一馬 : Alinamin Symposium,22,1961.
3)
福富久之 : ビタミン,33 : 144,1966.
4)
阿部達夫 : 日本臨牀,20 : 1957,1962.
5)
糸川嘉則 : ビタミン,49 : 415,1975.
6)
Muralt,A.: Ann.N.Y.Acad.Sci.,98 : 499,1962.
7)
成実重彦 他 : ビタミン,49 : 308,1975.
8)
中澤恒幸 他 : アリナミン基礎文献集,(3),117,1966.
9)
桐田良人 : 臨牀と研究,43 : 1889,1966.
10)
中原正雄 他 : 新薬と臨牀,15 : 1297,1966.
11)
Iida,S.: Biochem.Pharmacol.,15 : 1139,1966.
12)
佐々木一彦 : 久留米医学会雑誌,27 : 875,1964.
13)
中山 沃 他 : ビタミン,28 : 235,1963.
14)
福原 武 他 : ビタミン,31 : 494,1965.
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