尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,このような場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
5. 間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎があらわれることがあるので,発熱,咳嗽,呼吸困難,肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には投与を中止し,速やかに胸部X線等の検査を実施し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと.
6. 肝機能障害,黄疸(いずれも頻度不明)
肝機能障害(AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,LDH,Al-P,ビリルビン上昇等),黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
その他の副作用
1. 精神神経系
0.1~5%未満
眠気,ふらつき,めまい,歩行失調,頭痛・頭重,言語障害
2. 精神神経系
0.1%未満
不眠,酩酊感,興奮,焦燥,振戦,眼症状(霧視,調節障害)
3. 精神神経系
頻度不明
健忘,刺激興奮注1),錯乱注1)
4. 呼吸器
0.1%未満
呼吸困難感
5. 循環器
0.1%未満
動悸,立ちくらみ
6. 消化器
0.1~5%未満
口渇,悪心・嘔気
7. 消化器
0.1%未満
食欲不振,胃・腹部不快感,嘔吐,腹痛,便秘,下痢
8. 過敏症注2)
0.1~5%未満
発疹
9. 過敏症注2)
0.1%未満
蕁麻疹,そう痒感
10. 過敏症注2)
頻度不明
紅斑
11. 骨格筋
0.1~5%未満
けん怠感,脱力感
12. 骨格筋
0.1%未満
易疲労感,筋弛緩等の筋緊張低下症状
13. その他
0.1%未満
発汗,排尿障害,浮腫,鼻閉
14. その他
頻度不明
乳汁分泌,女性化乳房,高プロラクチン血症,眼瞼痙攣注3)
その他の副作用の注意
注1)統合失調症等の精神障害者に投与すると逆に刺激興奮,錯乱等があらわれることがある.
注2)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること.
注3)本剤の投与中は観察を十分に行い,瞬目過多,羞明感,眼乾燥感等の眼症状が認められた場合には適切な処置を行うこと.
高齢者への投与
高齢者では,運動失調等の副作用が発現しやすいので,少量から投与を開始するなど慎重に投与すること.
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦(3カ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.〔動物実験により催奇形作用が報告されており,また,妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある.〕
2.
妊娠後期の婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.〔ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難,嘔吐,活動低下,筋緊張低下,過緊張,嗜眠,傾眠,呼吸抑制・無呼吸,チアノーゼ,易刺激性,神経過敏,振戦,低体温,頻脈等を起こすことが報告されている.なお,これらの症状は,離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある.また,ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている.なお,妊娠後期に本剤を連用していた患者から出生した新生児に血清CK(CPK)上昇があらわれることがある.〕
3.
分娩前に連用した場合,出産後新生児に離脱症状があらわれることが,ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている.
4.
授乳婦への投与は避けることが望ましいが,やむを得ず投与する場合は,授乳を避けさせること.〔ヒト母乳中へ移行し,新生児に体重増加不良があらわれることがある.また,他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)で嗜眠,体重減少等を起こすことが報告されており,また黄疸を増強する可能性がある.〕
小児等への投与
小児に対する安全性は確立していない.(使用経験が少ない.)
過量投与
1.
過量投与により運動失調,低血圧,呼吸抑制,意識障害などがあらわれることがある.
2.
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には,使用前にフルマゼニルの使用上の注意(禁忌,慎重投与,相互作用等)を必ず読むこと.なお,投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニルを投与された患者で,新たに本剤を投与する場合,本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化,遅延するおそれがある.
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること.〔PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている.〕
薬物動態
1. 血漿中濃度1)
(1) 単回投与
健康成人にデパス2mgを食後30分に経口投与した場合,吸収は良好で,最高血漿中濃度は約3時間後に得られ,血漿中濃度の半減期は約6時間であった.
(2) 反復投与2)
神経症の例にデパス1mg錠を1日3回食後30分から1時間に反復経口投与した場合,投与開始後7日,14日及び28日目の血漿中濃度はほぼ等しかった.
2. 代謝3)
代謝部位:肝臓
代謝経路:健康成人にデパスを経口投与した場合の尿中主代謝物は8位エチル基のα水酸化体(M III)及びそのグルクロン酸抱合体,1位メチル基の水酸化体(M VI)のグルクロン酸抱合体である.
3. 排泄3)
ヒトでは投与量の約53%が尿中に排泄され,そのうち主なものはM III及びそのグルクロン酸抱合体,M VIのグルクロン酸抱合体で未変化体は少なかった.
4. チトクロームP450の分子種4)
主代謝物であるM IIIを生成するP450分子種はCYP2C9,M VIを生成するP450分子種はCYP3A4である.
5. 蛋白結合率5)
93%
薬物動態の表
健康成人10人,2mg単回投与(平均値±SE)
tmax(h) Cmax(ng/mL) t1/2(h) AUC0~36h(ng・h/mL)
3.3±0.3 25±1.5 6.3±0