症状が緩解した場合には,速やかに経口抗菌剤の投与に切り替えることが望ましい.
3.
本剤は通常,点滴静注局所の血管痛や静脈炎の危険を軽減するため,希釈して緩徐に注入すること.すでに補液等が投与されている場合,側管に連結して投与することができる.ただし,薬剤によっては配合変化を生じることがあるので注意すること.[「適用上の注意」の項参照]
なお,著しい水分摂取制限がかかっている場合等,水分負荷がかけられない場合には希釈せずに投与することができるが,その際はできるだけ太い静脈から投与することが望ましい.
4.
本剤は主として腎臓から排泄されるが,腎機能が低下していることが多い高齢者あるいは腎機能障害患者・血液透析患者では,腎機能に十分注意し,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.[「薬物動態」の項参照]
〈参考〉
クレアチニンクリアランス(Ccr)(mL/min):30≦Ccr≦60
用法・用量:1回200mgを12時間毎に投与
クレアチニンクリアランス(Ccr)(mL/min):Ccr<30
用法・用量:1回200mgを24時間毎に投与
病状により必要と判断された場合には1回量として400mgを投与する.
なお,クレアチニンクリアランス値(mL/min)=[体重(kg)×(140-年齢)]/[72×血清クレアチニン値(mg/dL)],女性の場合はこれに0.85を乗ずること1).
5.
血液透析中に除去されるシプロフロキサシンは10%程度と大きな影響は受けない.血液透析中の患者への投与に際しては,必要に応じて低用量(200mg)を24時間毎に投与するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.[「薬物動態」の項参照]
6.
炭疽の治療には,臨床症状が緩解した場合には,速やかに経口剤投与に切り替え,計60日間投与することを,米国疾病管理センター(CDC)が推奨している.
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
本人又は両親,兄弟に気管支喘息,発疹,蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
2.
高度の腎障害のある患者[高い血中濃度が持続するので,慎重に投与すること.(「用法・用量に関連する使用上の注意」,「薬物動態」の項参照)]
3.
うっ血性心不全,腎不全,ネフローゼ症候群等,ナトリウムの摂取が問題となる患者[本剤には塩化ナトリウムが含まれている].
4.
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある.]
5.
重症筋無力症患者[症状を悪化させることがある.]
6.
高齢者[「用法・用量に関連する使用上の注意」,「高齢者への投与」の項参照]
7.
QT延長を起こすおそれのある患者[QT延長を起こすことがある.(「重大な副作用」の項参照)]
重要な基本的注意
本剤によるショック,アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので,次の措置をとること.
(1)
事前に既往歴等について十分な問診を行うこと.なお,抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること.
(2)
投与に際しては,必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと.
(3)
投与開始から投与終了後まで,患者を安静の状態に保たせ,十分な観察を行うこと.特に,投与開始直後は注意深く観察すること.
相互作用
本剤はチトクロームP450 1A2(CYP1A2)を阻害するので,本酵素で代謝される薬剤の代謝を阻害し,血中濃度を上昇させるおそれがある.
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
ケトプロフェン(皮膚外用剤を除く)
カピステン等
臨床症状・措置方法
痙攣を起こすことがあるので,併用しないこと.
機序・危険因子
併用により,ニューキノロン系抗菌剤のGABAA受容体への阻害作用が増強され,痙攣が誘発されると考えられている.
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者,腎障害のある患者では特に注意すること.
薬剤名等
チザニジン塩酸塩
テルネリン等
臨床症状・措置方法
チザニジンのCmaxが7倍,AUCが10倍それぞれ上昇し,血圧低下,傾眠,めまい等があらわれたとの報告がある.チザニジンの作用を増強させるおそれがあるので,併用しないこと.
機序・危険因子
チザニジンの肝での代謝を阻害し,チザニジンの血中濃度を上昇させると考えられている.
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
テオフィリン
アミノフィリン水和物
臨床症状・措置方法
テオフィリンのCmaxが17%,AUCが22%それぞれ上昇したとの報告がある2).テオフィリンの作用を増強させる可能性があるので,併用する場合にはテオフィリンを減量するなど適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
テオフィリンの肝での代謝を抑制し,クリアランスを減少させるためと考えられている.
肝障害のある患者,高齢者では特に注意すること.
薬剤名等
カフェイン
臨床症状・措置方法
カフェインの血中濃度が上昇することがある.
機序・危険因子
カフェインの肝での代謝を抑制し,クリアランスを減少させるためと考えられている.
薬剤名等
フェニル酢酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤
ジクロフェナク,アンフェナク等
プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤(ただし,皮膚外用剤以外のケトプロフェンとは併用禁忌)
ロキソプロフェン,プラノプロフェン,ザルトプロフェン等
臨床症状・措置方法
痙攣を起こすおそれがある.症状が認められた場合,両剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
機序・危険因子
併用により,ニューキノロン系抗菌剤のGABAA受容体への阻害作用が増強され,痙攣が誘発されると考えられている.
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者,腎障害のある患者では特に注意すること.
薬剤名等
シクロスポリン
臨床症状・措置方法
相互に副作用(腎障害等)が増強されるおそれがあるので,頻回に腎機能検査(クレアチニン,BUN等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること.
機序・危険因子
発現機序の詳細は不明であるが,相互に肝での代謝を抑制し,一方又は両方の血中濃度が上昇するためと考えられている.
肝障害のある患者,高齢者では特