のβ1(摘出心房筋)遮断作用及びβ2(気管平滑筋)遮断作用のpA2値は、それぞれ6.31及び3.91である(in vitro)。15)
3)
ランジオロール塩酸塩のα1及びα2受容体に対するKi値は、それぞれ81.5及び180.1μMであり、α受容体にはほとんど作用しない(in vitro)。15)
(2) β遮断作用の持続性
イソプロテレノール投与による心拍数増加に対して、ランジオロール塩酸塩は用量に応じた心拍数増加抑制作用を示し、抑制作用の消失半減期は11分から18分である(イヌ)。一方、同モデルにおいてプロプラノロール塩酸塩の抑制作用の消失半減期は60分以上である。15)
(3) 不整脈に対する作用
交感神経電気刺激誘発頻脈及びイソプロテレノール誘発頻脈、ハロセン・アドレナリン誘発の不整脈あるいはアコニチン誘発不整脈に対して、ランジオロール塩酸塩は用量に応じて抑制作用を示す(イヌ)。16)
(4) 頻脈時の心拍出量減少に対する作用
アドレナリン投与による頻脈と低心拍出量に対して、ランジオロール塩酸塩は心拍数を減少させることにより、心拍出量の減少を改善する。この作用は、拍動時間が長くなることで一回拍出量が増加するためであると考えられるが、過量投与した場合には逆に心拍出量を減少させる可能性がある(イヌ)。17)
(5) その他の作用
1)
膜安定化作用(MSA:membrane stabilizing activity)及び内因性交感神経刺激作用(ISA:Intrinsic sympathomimetic activity)は認められない(in vitro)。15,18)
2)
イソプロテレノール処置によるレニン分泌及び糖代謝の亢進に対して有意な変化を及ぼさない。一方、プロプラノロール塩酸塩はイソプロテレノール処置によるレニン分泌及び糖代謝の亢進を有意に抑制する(イヌ)。19)
(6) 薬力学的薬物相互作用
ジギタリス製剤、クラスI抗不整脈剤、クラスIII抗不整脈剤、カルシウム拮抗剤及び麻酔剤との併用によって、ランジオロール塩酸塩の心拍数減少、PR間隔延長、平均血圧低下のいずれかが相乗的に増強される(イヌ)。20)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ランジオロール塩酸塩(Landiolol Hydrochloride)
化学名
(-)-[(S)-2,2-Dimethyl-1,3-dioxolan-4-yl]methyl 3-{4-[(S)-2-hydroxy-3-(2-morpholinocarbonyl-amino)ethylamino]propoxy}phenylpropionate monohydrochloride
構造式
分子式
C25H39N3O8・HCl
分子量
546.05
性状
白色の結晶性の粉末で、水、メタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすい。
融点
約125℃
分配係数
0.23(pH6.0、n-オクタノール/緩衝液)
0.56(pH7.0、n-オクタノール/緩衝液)
2.7(pH8.0、n-オクタノール/緩衝液)
包装
オノアクト点滴静注用50mg:5バイアル、10バイアル
*オノアクト点滴静注用150mg:5バイアル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
中島光好ほか:臨床医薬,16:1531,2000
2)
村上 眞ほか:Drug Metab.Pharmacokinet.,20:337,2005
3)
高畑武功ほか:Drugs R D,6:385,2005
4)
恒川 健ほか:薬物動態,12:31,1997
5)
中出 進ほか:CYP分子種への影響(社内資料)
6)
吉矢生人ほか:臨床医薬,13:4949,1997
7)
吉矢生人ほか:臨床医薬,18:1049,2002
8)
吉矢生人ほか:臨床医薬,16:1557,2000
9)
裏辻悠子ほか:臨床医薬,13:5009,1997
10)
妙中信之ほか:Am.J.Cardiovasc.Drugs,13:353,2013
11)
小野薬品工業:〈手術後〉前期第II相試験成績(社内資料)
12)
妙中信之ほか:Clin.Drug Investig.,33:505,2013
13)
永井良三ほか:Circ.J.,77:908,2013
14)
榊原陵治ほか:β受容体に対するKi値(社内資料)
15)
代谷 務ほか:基礎と臨床,31:2913,1997
16)
代谷 務ほか:基礎と臨床,31:2925,1997
17)
代谷 務ほか:頻脈時の心拍出量減少改善作用(社内資料)
18)
村木克彦ほか:J.Pharmacol.Exp.Ther.,278:555,1996
19)
代谷 務ほか:基礎と臨床,31:2967,1997
20)
代谷 務ほか:薬力学的薬物相互作用(社内資料)
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
小野薬品工業株式会社 くすり相談室
〒541-8564 大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号
電話 0120-626-190
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売
小野薬品工業株式会社
大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号