観察し、例えば2.25gの投与から開始するなど慎重に投与すること。
(2)
高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
2.
動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されているので、授乳中の婦人に投与する場合には授乳を中止させること。
小児等への投与
1.
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない(国内における使用経験がない)。
2.
乳・幼児(2歳未満)については下痢、軟便が発現しやすいので慎重に投与すること。
〔下痢・軟便の副作用発現率は2歳未満で57.7%(15例/26例)、2歳以上6歳未満で40.6%(13例/32例)であった〕
臨床検査結果に及ぼす影響
1.
本剤の投与により、ベネディクト試薬、フェーリング試薬等の還元法による尿糖検査では、偽陽性を呈することがあるので注意すること。
2.
直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。
過量投与
過量投与により、痙攣等の神経症状、高ナトリウム血症を起こすことがある。特に腎機能障害患者ではこのような症状があらわれやすい。なお、本剤の血中濃度は、血液透析により下げることができる。
**,*適用上の注意
1. 調製方法:
(1)
点滴静注に際しては補液に溶解して注射すること。また、静脈内注射に際しては注射用水、生理食塩液又はブドウ糖注射液に溶解し、緩徐に注射すること。
(2)
本剤2.25gバイアルにおいて、1バイアルを生理食塩液及び5%ブドウ糖注射液10mLに溶解した時の溶解後の液量は、いずれも11.5mL(196mg(力価)/mL)となる。
また、本剤4.5gバイアルにおいて、1バイアルを生理食塩液及び5%ブドウ糖注射液20mLに溶解した時の溶解後の液量は、それぞれ23.3及び23.4mL(193及び192mg(力価)/mL)となる。
(3)
点滴静注にあたっては、注射用水を使用しないこと(溶液が等張にならないため)。
(4)
溶解後は速やかに使用すること。
(5)
アミノグリコシド系抗生物質(トブラマイシン等)の混注により、アミノグリコシド系抗生物質の活性低下をきたすので、本剤と併用する場合にはそれぞれ別経路で投与すること。
2. 調製時:
(1) 配合変化10)
1)
下記製剤と配合すると、不溶物が析出することがあるので、配合しないこと。
ジェムザール注射用1g、サンラビン点滴静注用250mg、ユニカリックL輸液、ユニカリックN輸液、フェジン静注40mg
2)
下記製剤と配合すると、3時間後で著しい力価の低下を起こすことがあるので、配合しないこと。
アミゼットB輸液、キドミン輸液、フトラフール注400mg、5-FU注250協和、ネオフィリン注250mg
3)
下記製剤と配合すると、3時間後で著しい力価の低下を起こすことがあるので、これらの薬剤との直接の混合を避け、側管又はピギーバック方式により投与すること。
アミノレバン点滴静注、モリアミンS注、モリプロンF輸液、ネオアミユー輸液、アミノフリード輸液
4)
下記製剤と配合すると、3時間後で色調変化が認められることがあるので、配合後は速やかに使用すること。
パンスポリン静注用1g、ロセフィン静注用1g
(2) 調製時の注意
本剤の注射液調製時にショックを伴う接触蕁麻疹等の過敏症状を起こすことがあるので、本剤を調製する際には手袋を使用するなど、直接の接触を極力避けること。
3. 投与経路:
静脈内注射又は点滴静注のみに使用すること。
4. 静脈内投与時:
次のことから、静脈内注射にあっては注射部位、注射方法等に十分注意し、注射速度はできるかぎり緩徐にし、必要に応じて輸液等で希釈して注射すること。
(1)
静脈内注射により、血管痛、血栓又は静脈炎を起こすことがある。
(2)
ラットに大量の薬剤を急速に静脈内注射した場合、注射速度に起因したと考えられる死亡例が報告されている。
(3)
ウサギを用いた局所刺激性試験(筋肉・血管)において、注射局所に刺激性が認められた。
その他の注意
1.
外国において嚢胞性線維症の患者でピペラシリンの過敏症状の発現頻度が高いとの報告がある。
2.
併用により、ベクロニウムの筋弛緩作用を延長させるとの報告がある。
3.
幼若イヌを用いた反復投与毒性試験(生後2~4日のイヌに720mg/kg/日を5週間、あるいは生後52~64日のイヌに4,500mg/kg/日を7週間)で、散在性の腎嚢胞が認められたとの報告がある。
薬物動態
1. 血漿中濃度3,8,11)
健康成人に本剤(2.25g、4.5g及び6.75g)注4)を、30分点滴静注したときの血漿中濃度の推移及び薬物動態パラメータは図1のとおりであり、タゾバクタム(TAZ)、ピペラシリン(PIPC)の血漿中濃度は用量の増加に伴い上昇した。なお、4.5g、30分点滴静注反復投与時の薬物動態は変化せず、蓄積性はみられなかった。11)
(平均±標準偏差)
図1 健康成人における30分間点滴静注時の血漿中濃度
(表1参照)
注4)本剤の承認された成人の用量は1日9g(分2)~18g(分4)である。
小児細菌感染症患者に本剤112.5mg/kgを、30分かけて1日2回又は3回反復点滴静注した時の血漿中濃度の推移は、国内の臨床第I相試験で健康成人に本剤を4.5g、30分点滴静注した時の平均血漿中薬物濃度推移と類似していた(図2)。なお、年齢区分別薬物動態パラメータを検討した結果、TAZ、PIPCともに2歳未満の患者のAUC0~∞は他の年齢区分より高かった。Cmax、半減期(t1/2)は各年齢区分で類似していた。3)
小児発熱性好中球減少症患者に本剤90mg/kgを、30分以上かけて1日4回反復点滴静注した時の血漿中濃度は、小児細菌感染症患者と顕著な違いは認められなかった(図2)。また、小児発熱性好中球減少症患者と小児細菌感染症患者のt1/2、全身クリアランス(CLT)及び分布容積(Vd)には顕著な違いは認められなかった。8)
(平均±標準偏差)
図2 小児患者における30分間点滴静注時の血中濃度散布図
(表2参照)
2. 組織内移行12~21)
TAZとPIPCの配合比が1:4製剤において喀痰、肺、腎、