障害のある患者[循環血液量を増すことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。]
4.
アシドーシスのある患者[症状が悪化するおそれがある。]
5.
糖尿病の患者[ブドウ糖の組織への移行が抑制されているので、高血糖を生じ症状が悪化するおそれがある。]
6.
薬物過敏症の既往歴のある患者
重要な基本的注意
1.
本剤は500mLあたりアミノ酸を15g(窒素として2.35g)、非蛋白熱量として150kcal を含んでいるが、本剤のみでは1 日必要量のカロリ-補給は行えないので、本剤の使用は短期間にとどめること。
2.
経口摂取不十分で、本剤にて補助的栄養補給を行う場合には、栄養必要量及び経口摂取量などを総合的に判断して、本剤の投与を行うこと。
3.
手術後における本剤の単独投与はできるだけ短期間(3~ 5 日間)とし、速やかに経口・経腸管栄養ないし他の栄養法に移行すること。
4.
本剤は500mLあたりビタミンとしてビタミンB1のみを0.96mg(チアミン塩化物塩酸塩として)含んでいるが、患者の状態に応じて、他のビタミンを投与(ビタミンB1の追加投与を含め)すること。
副作用
副作用等発現状況の概要
消化器手術の術後患者を対象とした臨床第III相試験において、医学的に有害であると判断された副作用症例は50例中8例(16.0%)で、発現件数は11件であった。内訳は、自他覚的副作用が7 例8 件(血管痛が3 件、静脈炎が4 件、胸部不快感が1 件)、臨床検査値異常変動が1 例3件(AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al‐P上昇が各1件)であった。【臨床成績】の項を参照。(承認時、2006年)
重大な副作用
ショック注)(頻度不明):
ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、血圧降下、胸内苦悶、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注)チアミン塩化物塩酸塩注射剤でみられる副作用
その他の副作用
過敏症
(頻度不明)
[発疹等] 注2,3)
消化器
(0.1 ~ 5%未満)
[悪心・嘔吐] 注1)
循環器
(0.1~5%未満)
胸部不快感
循環器
(頻度不明)
[動悸等] 注2)
肝臓
(0.1 ~ 5%未満)
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al‐P上昇、[総ビリルビンの上昇] 注1)
大量・急速投与
(頻度不明)
[脳浮腫、肺水腫、末梢の浮腫、高カリウム血症、水中毒] 注4)、[アシドーシス] 注2)
その他
(5%以上)
血管痛、静脈炎
その他
(頻度不明)
[悪寒、発熱、熱感、頭痛] 注2)
注1)糖・電解質・アミノ酸製剤でみられる副作用
注2)総合アミノ酸製剤でみられる副作用(第一次再評価結果その15、1979 年)
注3)チアミン塩化物塩酸塩注射剤でみられる副作用
注4)維持液でみられる副作用(第一次再評価結果その14、1978 年)
その他の副作用の注意
副作用が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しており、肝・腎・心等の機能障害を伴うことが多いので、投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。)
2.
授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。(授乳中の投与に関する安全性は確立していない。)
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
1. 調製方法:
用時に外袋を開封し、必ず隔壁を開通して上室液と下室液を十分に混合すること(上室液又は下室液は単独で投与しないこと)。
混合方法(必ず混合すること)
必ず下室を押して隔壁を開通すること。上室を押すと開通確認カバーが開かない。
[開封]
(1)バッグを外袋より取り出す。
[開通]
(2)すぐに下室を両手で押して隔壁を開通する。開通と同時に開通確認カバーが開く。
(本品に輸液を混注する場合は、開通後に行うこと。)
[混合]
(3)開いた開通確認カバーを外し、上室と下室を交互に押して、よく混合する。
2. 調製時:
(1)
配合変化試験の結果から、次のような製剤を配合する場合は、沈殿等の外観変化を生じることがあるので注意すること。
1)
酸性側又はアルカリ性側で安定化されている製剤
2)
水に難溶性の製剤
3)
カルシウム塩又はリン酸塩を含む製剤
(2)
本剤はカルシウム塩を含有するため、クエン酸加血液と混合すると凝血を起こすおそれがあるので注意すること。
(3)
外袋を開封したもの及び上室液と下室液を混合したものは速やかに使用すること。
3. 投与前:
(1)
隔壁が開通されていることを必ず確認すること。
(2)
尿量は1日500mL又は1 時間あたり20mL以上あることが望ましい。
(3)
投与に際しては、感染に対する配慮をすること(患者の皮膚や器具消毒)。
(4)
寒冷期には体温程度に温めて使用すること。
(5)
使用後の残液は決して使用しないこと。
4. 投与時:
(1)
投与速度は、通常、成人500mL あたり120分を基準とし、高齢者、重篤な患者等には更に緩徐に注入すること。
(2)
血管痛があらわれた場合には、注射部位を変更すること。また、場合によっては投与を中止すること。
(3)
**本剤の血管外漏出が原因と考えられる皮膚壊死、潰瘍形成が報告されているので、点滴部位の観察を十分に行い、発赤、浸潤、腫脹などの血管外漏出の徴候があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(4)
ビタミンB1の光分解は短時間では起こりにくいが、状況に応じて遮光カバーを用いる等、注意すること。また、その他ビタミン剤等を混合した場合には、ビタミンの光分解を防ぐため、遮光カバーを用いる等、十分に注意すること。
薬物動態
(参考)ラット
14C標識したブドウ糖を含