;急速投与
(頻度不明)
《脳浮腫、肺水腫、末梢の浮腫》
《》:維持液でみられる副作用(第一次再評価結果その14、1978 年)
高齢者への投与
高齢者では心機能、腎機能及び糖代謝等の生理機能が低下しているので、投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
1. 調製時:
(1)
本剤はカルシウムを含有するため、クエン酸加血液と混合すると凝血を起こすことがあるので注意すること。
(2)
リン酸イオン及び炭酸イオンと沈殿を生じるので、リン酸又は炭酸を含む製剤と配合しないこと。
(3)
セファピリンナトリウム、アルベカシン硫酸塩、セフタジジムとの配合により、これら抗生物質の力価が低下することがあるので、配合後3時間以内に使用を終えること。
(4)
チオペンタールナトリウム及びカンレノ酸カリウムを直接若しくはピギーバック方式で混合した場合、沈殿生成や結晶析出を生じることがあるので、これら薬剤との直接若しくはピギーバック方式での混合を避け、側管(カンレノ酸カリウムは不可)若しくは別の静脈ラインから投与すること。
2. 投与前:
(1)
投与に際しては、感染に対する配慮をすること(患者の皮膚や器具の消毒)。
(2)
寒冷期には体温程度に温めて使用すること。
(3)
開封後直ちに使用し、残液は決して使用しないこと。
3. 投与時:
投与速度は患者の循環動態や尿量を観察しながら必要に応じ適宜調整すること。
その他の注意
一般薬理試験において、本剤をビーグル犬に急速投与(1mL/kg/分)した際、投与開始直後に酢酸ナトリウムの配合に起因する一過性の血圧の軽度低下、心電図R波電位の減高及び呼吸数の増加がみられた。
臨床成績
中等度手術侵襲患者を対象として実施した臨床試験における有効率は下表のとおりである1,2)。
対象
胃(亜)全摘術及び胆嚢摘出術等の手術患者
試験方法
オープン試験
有効率
84.2%(48/57)
対象
胃(亜)全摘術及び胆嚢摘出術等の手術患者
試験方法
群間比較試験(電話法)
有効率
81.9%(113/138)
薬効薬理
1. 循環動態維持効果3)
循環血液量の約30%を急速に脱血した急性大量出血モデルウサギに対して、本剤を脱血量の約3倍の60mL/kgを1時間で耳辺縁静脈から急速投与し、循環動態の維持効果をリンゲル液及び5%ブドウ糖加乳酸リンゲル液と比較検討を行った。その結果、脱血終了直後には血圧・心拍数・血流量は低下したが、本剤投与により回復し、血圧及び心拍数はその後良好に維持された。
2. 血清マグネシウム維持及び出納の改善効果4)
手術侵襲モデルウサギに対して、マグネシウム濃度の維持効果を、マグネシウムを含まない酢酸リンゲル液及び5%ブドウ糖加酢酸リンゲル液を対照として比較検討を行った。その結果、対照群では血清マグネシウムは低下する推移を示したが、本剤では術前のレベルが維持された。
3. 血糖の維持、肝臓グリコーゲン低下抑制効果(1%ブドウ糖の配合効果)
(1)
手術侵襲モデルウサギに対して、術直後より本剤を投与し、血清グルコース推移及び尿中グルコース排泄について、酢酸リンゲル液、5%ブドウ糖加酢酸リンゲル液を対照として比較検討を行った。その結果、5%ブドウ糖加酢酸リンゲル液では、血清グルコースは著しく上昇し、尿中に投与量の約30%のグルコース排泄がみられた。それに対し、本剤では酢酸リンゲル液と同様に尿中グルコース排泄はほとんどみられなかった4)。
(2)
手術侵襲モデルラットに対して、術直後より本剤を投与し、糖を含まない酢酸リンゲル液を対照として比較検討を行った。その結果、本剤では術前絶食により低下した血漿グルコースが上昇し、低血糖が是正され、肝臓グリコーゲン低下が抑制された。また、両群とも術前の絶食により血漿中の遊離脂肪酸及び総ケトン体が上昇したが、本剤においては血漿中の遊離脂肪酸及び総ケトン体が対照群に比し、有意に低値を推移した5)。
(3)
循環血液量の約30%を急速に脱血した急性大量出血モデルウサギに対して、本剤を脱血量の約3倍の60mL/kgを1時間で急速投与し、5%ブドウ糖加乳酸リンゲル液を対照として比較検討を行った。その結果、両群とも血清グルコースは上昇したが、5%ブドウ糖加乳酸リンゲル液でみられる多量の尿中グルコース排泄は、本剤ではほとんどみられなかった6)。
取扱い上の注意
1.
注射針はゴム栓の○印にまっすぐ刺すこと。斜めに刺すと注射針が容器頸部を貫通し、液漏れの原因となることがある。
2.
ソフトバッグ製品は、原則として連結管を用いたタンデム方式による投与はできない。
3.
包装内に水滴が認められるものや内容液が着色又は混濁しているものは使用しないこと。
4.
容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
包装
*フィジオ140輸液
250mL 20 袋 ソフトバッグ入り
500mL 20 袋 ソフトバッグ入り
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
岡田和夫,他:臨床と研究 1996;73(8):1867-1880
2)
岡田和夫,他:臨床と研究 1996;73(8):1881-1899
3)
禿 英樹,他:社内資料(薬効薬理)
4)
禿 英樹,他:医薬品研究 1996;27(4):145-154
5)
禿 英樹,他:薬理と治療 1996;24(3):605-613
6)
禿 英樹,他:医薬品研究 1995;26(12):991-1001
文献請求先
**主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
**株式会社大塚製薬工場 輸液DIセンター
**〒101‐0048 東京都千代田区神田司町2‐2
**TEL:0120‐719‐814
**FAX:03‐5296‐8400
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
販売提携
大塚製薬株式会社
東京都千代田区神田司町2-9
製造販売元
株式会社大塚製薬工場
徳島県鳴門市撫養町立岩字芥原115