高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[外国において、妊娠中に本剤を大量に投与した患者から出生した新生児に禁断症状がみられたとの報告がある。また、動物実験(ラット)で難産、拙劣な哺育行動、出生児の生存率の低下及び体重増加の抑制が報告されている。]
2.
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(低出生体重児又は新生児には使用経験がない。乳児、幼児又は小児には使用経験が少ない。)。
適用上の注意
1. 筋肉内注射時
筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に配慮すること。
(1)
神経走行部位を避けるように注意して注射すること。
(2)
繰り返し注射する場合には、例えば左右交互に注射するなど注射部位をかえて行うこと。
(3)
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
(4)
注射部位に疼痛、硬結をみることがある。
2. 調製時
(1)
原則として他剤との混合注射は避けること。
(2)
バルビタール系薬剤(注射液)と同じ注射筒を使用すると沈殿を生ずるので、同じ注射筒で混合しないこと。
3. アンプルカット時
本品はワンポイントカットアンプルであるが、アンプルのカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。その際、カット部分で手指を傷つけないよう十分に注意すること。
<参考:アンプルのカット方法>
薬物動態
(参考:外国人である。)
(1) 血漿中濃度1)
術後患者にブプレノルフィン0.3mgを静脈内及び筋肉内投与し、ラジオイムノアッセイ法により血漿中濃度を測定した結果、静脈内投与の場合、初期段階は極めて急速に減少し初期半減期は約2分であり、その後は緩慢に減少した。筋肉内投与では投与後5分以内で最高濃度を示した。両投与経路とも血中濃度推移はほぼ同じであり、消失半減期は約2~3時間であった。
(2) 代謝、排泄2)
ヒト(成人男子、筋肉内投与)においてブプレノルフィンは主に肝臓で代謝され、グルクロン酸抱合あるいはN-脱アルキル化を受ける。
主排泄経路は胆汁を介した糞中排泄であり、糞中への排泄率は約70%で、残りは尿中へ排泄される。
(3) 薬物の肝酸化型代謝に関与するチトクロームP450分子種
主としてCYP3A4(in vitro)
臨床成績
国内延151施設で総計1,652例について実施された、3種の多施設共同二重盲検比較試験を含む臨床試験成績の概要は次のとおりである3~6)。
(1) 術後疼痛
術後疼痛に対しブプレノルフィンとして0.2mgあるいは0.3mgを筋肉内注射した時の有効率はそれぞれ88.5%(170/192例)、90.6%(58/64例)であった。また、二重盲検比較試験によって本剤の有用性が認められている。
(2) 癌性疼痛
癌性疼痛に対しブプレノルフィンとして0.2mgあるいは0.3mgを筋肉内注射した時の有効率はそれぞれ71.1%(64/90例)、91.7%(22/24例)であった。また、二重盲検比較試験によって本剤の有用性が認められている。
(3) 心筋梗塞疼痛
心筋梗塞疼痛に対しブプレノルフィンとして0.2mgを静脈内注射した時の有効率は90.0%(153/170例)であった。また、比較試験(封筒法)によって本剤の有用性が認められている。
(4) 麻酔補助
麻酔補助への応用試験においてブプレノルフィンとして4μg/kg、6μg/kg、8μg/kgを静脈内注射した時の有効率はそれぞれ50.0%(32/64例)、83.3%(80/96例)、83.9%(73/87例)であった。
薬効薬理
鎮痛作用
ブプレノルフィンは中枢神経系の痛覚伝導系を抑制することにより鎮痛効果を発揮し、化学刺激、熱刺激、圧刺激及び電気刺激を侵害刺激として用いたいずれの試験においてもモルヒネ、ペンタゾシンより強く、かつ長い鎮痛効果を示す。なお、モルヒネに対する拮抗作用はナロキソン塩酸塩とほぼ同程度かやや弱い7)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ブプレノルフィン塩酸塩〔Buprenorphine Hydrochloride(JAN)〕
化学名
(2S)-2-[(5R,6R,7R,14S)-17-(Cyclopropylmethyl)-4,5-epoxy-3-hydroxy-6-methoxy-6,14-ethanomorphinan-7-yl]-3,3-dimethylbutan-2-ol monohydrochloride
構造式
分子式
C29H41NO4・HCl
分子量
504.10
性状
白色~帯黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、水又はエタノール(99.5)にやや溶けにくい。
融点
約268℃(分解)
包装
レペタン注0.2mg:1mL×10管(ガラスアンプル入り)
レペタン注0.3mg:1.5mL×10管(ガラスアンプル入り)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Bullingham, R. E. S. et al.:Clin. Pharmacol. Ther., 28(5), 667-672, 1980
2)
Heel, R. C. et al.:Drugs, 17, 81-110, 1979
3)
阿部令彦ほか:医学のあゆみ, 121(5), 300-310, 1982
4)
田口鐵男ほか:医学のあゆみ, 121(13), 1160-1169, 1982
5)
山村秀夫ほか:臨床麻酔, 6(4), 383-392, 1982
6)
池田正男ほか:医学のあゆみ, 132(3), 228-247, 1985
7)
桧山隆司ほか:日薬理誌, 79(3), 147-162, 1982