方法
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあることから、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること(【薬物動態】の項参照)。
機序・危険因子
本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、CYP3A誘導剤との併用により、本剤の代謝が亢進し血漿中濃度が低下する可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内第I/II相臨床試験の1回300mg1日2回投与例における安全性評価対象例58例中56例(96.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、血中ビリルビン増加21例(36.2%)、味覚異常、発疹各20例(34.5%)、AST(GOT)増加19例(32.8%)、血中クレアチニン増加18例(31.0%)等であった。(承認時)
重大な副作用
1. 間質性肺疾患
(1.7%)
間質性肺疾患があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
2. 肝機能障害
(頻度不明注3))
AST(GOT)、ALT(GPT)の増加を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬又は投与中止するなど適切な処置を行うこと。
3. 好中球減少(25.9%)、白血球減少(20.7%)
好中球数減少、白血球数減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬するなど適切な処置を行うこと。
4. 消化管穿孔
(頻度不明注3))
消化管穿孔があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行い、本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5. 血栓塞栓症
(頻度不明注3))
肺塞栓症等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
次のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
(頻度不明は※)
1. 精神神経系
20%以上又は頻度不明注3)
味覚異常(34.5%)
2. 精神神経系
10%未満
頭痛、末梢性ニューロパチー、傾眠
3. 消化器
20%以上又は頻度不明注3)
便秘、嘔吐※
4. 消化器
10%以上~20%未満
口内炎、悪心、下痢
5. 消化器
10%未満
歯周病、胃腸炎、腹痛
6. 循環器
10%未満
徐脈、心電図T波逆転
7. 呼吸器
10%以上~20%未満
上気道感染
8. 呼吸器
10%未満
肺炎、肺感染、咳嗽、気胸
9. 血液
20%以上又は頻度不明注3)
リンパ球数減少※、血小板数減少※
10. 血液
10%未満
貧血
11. 皮膚
20%以上又は頻度不明注3)
発疹(34.5%)、光線過敏症※
12. 皮膚
10%未満
爪の障害、爪囲炎、手掌・足底発赤知覚不全症候群
13. 筋骨格系
10%以上~20%未満
筋肉痛
14. 筋骨格系
10%未満
関節痛、筋痙縮
15. 肝臓
20%以上又は頻度不明注3)
血中ビリルビン増加(36.2%)、AST(GOT)増加(32.8%)、ALT(GPT)増加、LDH増加※
16. 肝臓
10%以上~20%未満
血中Al-P増加
17. 肝臓
10%未満
硬化性胆管炎
18. 腎臓
20%以上又は頻度不明注3)
血中クレアチニン増加(31.0%)
19. 腎臓
10%未満
腎機能障害
20. 眼
10%未満
眼乾燥、結膜炎、麦粒腫、黄斑症
21. その他
20%以上又は頻度不明注3)
血中CK(CPK)増加、高リン酸塩血症※
22. その他
10%以上~20%未満
けん怠感
23. その他
10%未満
血中トリグリセリド増加、浮腫、発熱、疲労、食欲減退、血中ブドウ糖増加、血中マグネシウム減少、高尿酸血症、細菌性前立腺炎、腫瘍出血
注3)国内第I/II相臨床試験以外で報告された副作用については、頻度不明とした。
高齢者への投与
一般に高齢者では、生理機能が低下していることが多いので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。妊娠可能な婦人には、適切な避妊を行うよう指導すること。[動物実験(ラット、ウサギ)において、胚・胎児の死亡、流産、内臓異常、骨格変異等が報告されている。]
2.
授乳中の婦人に投与することは避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[ヒト母乳中への移行については不明である。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[使用経験がない。]
適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
遺伝毒性試験において、異数性誘発作用が認められたが、遺伝子突然変異誘発性又は染色体構造異常誘発性は認められなかった。1)
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 反復投与時2)
150mgカプセル又は20/40mgカプセルを用いてALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者34例に1回300mgを空腹時(投与前2時間、投与後1時間絶食)に1日2回10日間反復経口投与したときの血漿中アレクチニブ濃度の推移と薬物動態パラメータ、20/40mgカプセルに対する150mgカプセルのCmax、AUClastの幾何平均値の比及びその90%信頼区間を以下に示した。
150mgカプセル又は20/40mgカプセルを300mg1日2回反復経口投与時(空腹時)の血漿中アレクチニブ濃度推移(平均値±標準偏差)
(300mg1日2回反復経口投与時(空腹時)の血漿中アレクチニブの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)参照)
(20/40mgカ