最大値)
#1:1日目はAUCinf、21日目はAUC0-24h
#2:n=5
2. 食事の影響3)
外国人固形癌患者24例にトラメチニブ2mgを高脂肪・高カロリー食摂食後に単回経口投与した時の血漿中トラメチニブのAUC及びCmaxは絶食下に比べて、それぞれ約10及び70%低下した。
3. 分布4,5)
トラメチニブのヒト血漿蛋白結合率は96.3~98.6%であり、血液/血漿中濃度比は約3であった。(in vitroのデータ)
4. 代謝
(1) In vitro6,7)
トラメチニブは主にカルボキシエステラーゼにより脱アセチル化され、わずかにCYP3A4でも代謝された。
(2) In vivo8)
外国人固形癌患者2例に[14C]トラメチニブ(溶液)2mgを単回経口投与した時の血漿中には、未変化体が検出され(血漿中放射能の約50%以下)、代謝物として脱アセチル体、脱アセチル体の酸化体及び脱アセチル体のグルクロン酸抱合体が検出された。
5. 排泄8)
外国人固形癌患者2例に[14C]トラメチニブ(溶液)2mgを単回経口投与後の主排泄経路は糞中であり、放射能の糞中回収率は投与放射能の35%以上(総回収量の81%以上)、尿中回収率は投与放射能の9.0%以下(総回収量の19%以下)であった。放射能回収率は投与10日間後までで50%未満であった。
6. 相互作用
(1) In vitro9~12)
トラメチニブはCYP2C8、2C9及び2C19を阻害し(IC50:それぞれ0.34、4.1及び5.0μM)、CYP3A4及び2B6を誘導すると考えられた。また、Pgp及びBSEPの基質であり、Pgp、BCRP、OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3及びMATE1を阻害した(IC50:それぞれ5.5、1.1、1.3、0.94、1.34、2.58及び0.0609μM)。
(2) In vivo
ダブラフェニブ13)
外国人固形癌患者17例にトラメチニブ2mgの1日1回反復経口投与とダブラフェニブ150mgの1日2回反復経口投与を併用した時、血漿中ダブラフェニブのCmax及びAUCは、ダブラフェニブ単独投与時に比べて、それぞれ約16及び23%増加した。
(本剤の承認された用法・用量は【用法及び用量】の項を参照)
臨床成績
1. 日本人における成績
国内第I/II相臨床試験(MEK116885試験)1)
BRAF V600E/K変異注2)を有する(1)進行固形癌患者(第I相パート)及び(2)悪性黒色腫患者(第II相パート)(症例数:(1)6例及び(2)6例)を対象にトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を併用する第I/II相試験を実施した。第II相パートにおける奏効率注3)は83%(5/6例)であった。
注2)コンパニオン診断薬として製造販売承認されているTHxID BRAFキットを用いて検査された。
注3)RECIST(ver 1.1)ガイドラインによる治験責任医師判定に基づく判定(CR+PR)
2. 外国人における成績
(1) 海外第III相臨床試験(MEK116513試験、COMBI-v)14)
BRAF V600E/K変異陽性注2)の根治切除不能な悪性黒色腫患者704例を対象に、トラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を併用する群(併用療法群352例)とベムラフェニブ(1回960mgを1日2回連日投与)を投与する群(ベムラフェニブ群352例)と比較した第III相非盲検無作為化比較試験を実施した。全生存期間(OS)の中間解析において、ベムラフェニブ群と比較して併用療法群において統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan-Meier法で推定した中央値:併用療法群未到達、ベムラフェニブ群17.2ヵ月、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.53-0.89)、層別log-rank検定 p=0.005]。
全生存期間(OS)のKaplan-Meier曲線
(MEK116513試験ITT集団、2014年4月17日カットオフ)
(2) 海外第III相臨床試験(MEK115306試験、COMBI-d)
BRAF V600E/K変異陽性注2)の根治切除不能な悪性黒色腫患者423例を対象に、トラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を併用する群(併用療法群211例)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を投与する群(単剤療法群212例)を比較した第III相二重盲検無作為化比較試験を実施した。無増悪生存期間(PFS)の解析において、単剤療法群と比較して併用療法群において統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan-Meier法で推定した中央値:併用療法群9.3ヵ月、単剤療法群8.8ヵ月、ハザード比0.75(95%信頼区間:0.57-0.99)、層別log-rank検定 p=0.035]。15)なお、OSの最終解析において、Kaplan-Meier法で推定した中央値は併用療法群で25.1ヵ月、単剤療法群で18.7ヵ月であった[ハザード比0.71(95%信頼区間:0.55-0.92)]。15)
薬効薬理
1. 抗腫瘍効果
(1) In vitro
1)
トラメチニブは、BRAF V600E変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来細胞株(UACC-257、SK-MEL-1、COLO-829等)、BRAF V600K変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来細胞株(WW165、YUMAC、YULAC及びYUSIT1)及びBRAF V600D変異型を発現する悪性黒色腫由来WM-115細胞株の増殖を抑制した。16)
2)
トラメチニブを、BRAF阻害薬であるダブラフェニブと併用することにより、UACC-257、SK-MEL-1、COLO-829細胞株等に対する増殖抑制作用は各薬剤単独処理と比較して増強した。16)
(2) In vivo17)
トラメチニブは、BRAF V600E変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来A375P F11細胞株を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍増殖を抑制した。また、トラメチニブとダブラフェニブを併用投与することにより、各薬剤単独投与と比較して腫瘍増殖抑制作用が増強した。
2. 作用機序
トラメチニブは、MEK1及びMEK2の活性化並びにキナーゼ活性を阻害した。18)また、トラメチニブは、A375P F11細胞株を皮下移植したマウスの腫瘍組織において、MEKの基質であるERKのリン酸化を阻害した。19)
有効成分に関する理化学的知見
構造式
一般名
トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物(Trametinib Dimethyl Sulfoxide)